「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」【2014年 夏】

レトロ志向でアラフォーお姉さま方を燃え上がらせる!? 『少年ハリウッド』【第一話レビュー】

――ジメジメ蒸し蒸し、鬱陶しい梅雨空と台風をスカッとアニメでぶっ飛ばせ! 7月より放映開始された2014夏の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」! ※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【5日(土)編】

■『少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 49-
第1話「僕たちの自意識」

 原作・シリーズ構成・脚本を橋口いくよ、黒柳トシマサ監督、アニメ制作・ ZECXSによるオリジナルグループアイドルアニメ。

 伝説のアイドル「少年ハリウッド」の解散から15年。劇場「ハリウッド東京」に集められ日々レッスンを続ける十代の少年たちがいた。さまざまな事情と理由によってこの場に集まった彼らだったが、事務所のシャチョウからついに新生「少年ハリウッド」としての活動が決まったことを告げられる。

 小学館文庫から刊行されている小説版の世界観を元に、原作者の橋口いくよさん自らシリーズ構成を担当するオリジナルストーリーの男性アイドルアニメ。公式HPでは出演声優陣読み上げによるあらすじ紹介など、異様に力の入った推しを感じさせてくれます。なのに地上波の提供枠はキングレコード一社というのはどうしたことか。

 始まってまず目を引くのは異様にフォトリアルな背景。現代の東京を舞台にしている作品はたくさんありますが、ここまで取り込み風のクッキリした質感で風景描写をしているアニメはなかなか見当たりません。キャラクターデザインの90年代風絵柄も含め、“実写志向の作品を作るぞ!”という気概の現れでしょうか。

 中盤は稽古場に集まったメンバーがひたすら自己紹介の練習を続ける描写が、これでもかと繰り返されます。女性アイドルならともかく、リアル等身の男性キャラが振り付きでキメッキメポーズを行うのは昭和の戦隊ヒーローの大げさな名乗りにしか見えず、じわじわと笑いがこみ上げてくるのを押さえられません。各人に「ハリウッドカラー」なるイメージ色が設定されているのも戦隊風です。どうやらシャチョウからのムチャぶりレッスンは毎回用意されているようで、要するに『タイムボカン』シリーズにおける悪玉トリオおしおきシーンのごときお約束なのだな、と納得しました。

 コンセプトは明らかに女性向けであり、作画レベルも高いのに内容と絵柄がやや重めで最近の流行に合わないのはどうしたものかと思いましたが、ひょっとしてこのレトロ志向はかつて『鎧伝サムライトルーパー』や『絶愛-1989-』『炎の蜃気楼』などにドハマリしたアラフォー(ひょっとしてアラフィフ)のベテランお姉さま方のくすぶり続けていた腐女子魂を再び熱く燃え上がらせるための回春アニメなのかな、と感じた次第です!

【こんな作品のファンにもオススメ】
うたの☆プリンスさまっ♪』『KAIKANフレーズ

(文/出口ナオト)

エナメルを塗った魂の比重<鏡稜子ときせかえ密室> (講談社文庫)

エナメルを塗った魂の比重<鏡稜子ときせかえ密室> (講談社文庫)

『鎧伝サムライトルーパー』と聞くと、これを思い出してしまう。

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