「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」【2014年 夏】

“ロボットアニメ”の枠内に収まらない!? スタッフ陣の真の狙いが気になる『アルドノア・ゼロ』【第一話レビュー】

――ジメジメ蒸し蒸し、鬱陶しい梅雨空と台風をスカッとアニメでぶっ飛ばせ! 7月より放映開始された2014夏の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」! ※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【5日(土)編】

■『ALDNOAH ZERO -アルドノア・ゼロ-
第1話「火星のプリンセス -Princess of VERS-」

 Olymous Knights原作、ストーリー原案・虚淵玄、あおきえい監督、アニメ制作・A-1 Pictures+TROYCAによるSFロボットアニメ。

 アポロ計画の調査によって月面と火星をつなぐハイパーゲートが発見された。地球から送り込まれた火星開拓民団はやがてヴァース帝国を名乗り地球との戦争が開始されるが、月面ゲートの暴走事故などが重なったこともあり西暦2000年に休戦となる。そして2014年、日本の新芦原市では火星の皇女アセイラム姫を迎える親善パレードの準備が進められていた。軍事教練でロボット兵器・カタフラクトの操縦を学ぶ高校生の界塚伊奈帆は、同級生のカーム・クラフトマン、網文韻子らとパレードを見物にやって来るが、そこには恐るべき謀略が仕込まれていたのだった……。

『白銀の意思 アルジェヴォルン』に次ぐ今期のロボットアニメ枠二作目。冒頭から「地球に帰還する異星の王女」「地球と植民地惑星の星間戦争」「月面で発見された古代遺跡」などなど、さまざまな作品からのオマージュとおぼしきシチュエーションが続出。過去の事件の重要キーワードとして「種子島」が出てくると、いったいどの作品を指しているのかな? といくつも候補が浮かんだりしてしまいました。

 作画のレベルは相当に高く、キャラクターデザイン原案の志村貴子さんの絵柄をかなり再現していると感じました。残念ながら1話ではロボットアクションはほとんどなかったものの、ラストの火星軍の世界襲撃シーンは劇場版作品なみのCGで、迫力十分なカタストロフィを描いていました。

 さて文頭で本作をロボットアニメと紹介しましたが、タイトルに冠されている“アルドノア”は火星で発見された古代のテクノロジーの名称であり、『マジンガーZ』『機動戦士ガンダム』などロボットの名をタイトルに課している作品とは異なった命名方式です。毎回のサブタイトルが海外SF小説由来なのを含め、これは案外と本作全体を貫く大きなテーマと関わっているように感じます。ジャンルの枠こそリアルロボット物のカテゴリーになぞらえていますが、スタッフ陣の真の狙いはもっと大局的な戦争の俯瞰やエネルギー争奪問題に向かっていくのかもしれません。

 ともあれ、戦争に巻き込まれる少年少女たちのサバイバルを描く王道ロボット物に化けるか、途中で価値観の大逆転する虚淵玄脚本のマジックにまんまとハマってみるか、どちらなりとも楽しめそうな期待の一作だといえるでしょう。

【こんな作品のファンにもオススメ】
機動戦士ガンダムUC』『翠星のガルガンティア

(文/出口ナオト)

ROBOTICS;NOTES ELITE (通常版)

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種子島は舞台になりやすいですからね。

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