狙うは全世界!? ブーム直撃世代も安心　大人も楽しめる『美少女戦士セーラームーン Crystal』【第一話レビュー】

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――ジメジメ蒸し蒸し、鬱陶しい梅雨空と台風をスカッとアニメでぶっ飛ばせ！　7月より放映開始された2014夏の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ　闇夜の千本ノック」！　※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【5日（土）編】

■『美少女戦士セーラームーン Crystal』
第1話「うさぎ -SAILORMOON-」

『美少女戦士セーラームーン Crystal』公式サイトより。

　武内直子の原作マンガを境宗久監督、制作・東映アニメーションによりアニメ化。

　区立十番中学校に通う月野うさぎは、泣き虫でちょっとドジっ子だけど元気あふれる2年生。月の王女と地球の王子が逢瀬する夢を見た朝、額に三日月模様をもつ不思議な猫と出会う。実はこの黒猫・ルナは滅亡した月の王国をよみがえらせるため、幻の銀水晶とプリンセスを探し求めていたのだ。うさぎはルナに選ばれ、愛と正義のセーラー美少女戦士セーラームーンへと変身することに！

『美少女戦士セーラームーン20周年プロジェクト』の一環として再アニメ化を果たした本作。セーラームーンと言えば、世間がクールジャパンうんぬん騒ぎ出すはるか以前に「日本製戦う美少女アニメ」というアイコンをワールドワイドに知らしめた偉大な先達。今回はニコニコ動画による世界同時配信かつ原作マンガに沿ったアニメ化であり、旧作アニメ放映と同時にコミックスも全世界的に発売されヒットしていた事実を踏まえての、全世界規模で“セーラームーンリブート”を仕掛ける戦略が垣間見えると言えます。

　さて本編ですが、原作マンガを極力そのままアニメにスライドするという、『ジョジョの奇妙な冒険　スターダストクルセイダース』と似た方法論で作られています。

　ACT1「うさぎ -SAILORMOON-」はコミックス初回エピソードなので、ほぼ無印第1話のまんまな内容でした（古参は『セーラームーンR』『セーラームーンS』など、後のシリーズと区別するため第一シリーズを無印と呼ぶのです！）今見るとゲームセンターがブームだったりと日常描写はめちゃ古く感じます。時代設定も90年代のままなんでしょうか？　それにしても『泣き虫うさぎの華麗なる変身』ってホントよく出来たサブタイトルだなあと改めて感心しました……って、ってあれ？　ただ武内直子のシャープな描線は、旧作のセル画＋フィルム撮影の質感よりも今回のデジタルペイントのほうがよりイメージに近く表現されていると感じました。

　この春、プレミアムバンダイからセーラームーンをモチーフにしたコスメ用品など、さまざまなグッズが発売されるや否や即完売が続くという異常事態が続いています。これらの商品の購買層は当時ファンだった20代半ばの女性がメインターゲットになっており、まさにブーム直撃世代がそのままスライドしている模様。そうした意味で『美少女戦士セーラームーン Crystal』こそ「大人の鑑賞に耐えうるアニメ」がとうとう登場した！　と全世界に胸を張って宣言できる作品なのではないでしょうか。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『愛天使伝説ウェディングピーチ』『魔法騎士レイアース』

（文／出口ナオト）