姫乃たまの耳の痛い話 第8回

地下アイドルとしてブレイクした妻をジェラシーの目で見つめるファン夫の苦悩の日々

2014.07.13

――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛~い”業界事情をレポートします。

今回は、奥さんがアイドルになってしまった方のお話です。

 こんにちは。東京都は下北沢の(売れない)地下アイドル・姫乃たまです。

 なんと前回の記事(「推しがAV女優になろうとも……テレビでアイドルとして歌う日を一緒に夢見続けたファンの切なる思い」)を読んでくださった読者の方から、「アイドルだけじゃなくて男性の話も聞いてくれるんですか?」と、ご連絡をいただきました。実際にお話を伺った今回の記事は、題するなら、「僕の嫁さんは地下アイドル」です。

 この言葉だけ聞くと、夢溢れるイメージビデオのようですが、現実はそんなにいい事ばかりじゃないようでして……。

 地下アイドルの中には結婚していることや、子持ちであることをカミングアウトしている「ママドル」がいます。「アイドルなんだから、そこは普通、隠すものじゃないの?」と、驚かれるかもしれません。

 もちろん、本人が清純が売りのアイドルで、ファンが彼女の処女性を心から願って信じており、出産してからも本人にアイドル活動を続けたい意思がある場合は隠すこともあります。そういう時は、楽曲制作などを理由に不自然じゃない長期休暇をとりますが、稀なケースです。

 この連載でも何度か書きましたが、アイドルだって、ファンと結婚することもあります。

 一度、こんな話を聞いたことがあります。私のファンの方が、気になっていたアイドルを見に行くために、あるイベントに足を運んだ時のこと。突然、そのイベントに毎回出演している“レギュラーアイドル”のひとりと、常連ファンの結婚式が始まったといいます。そのイベントの関係者、ファン、アイドル、全員が顔見知りで、お立ち台のような小さいステージで新郎新婦が祝福されていたそうです。

 結婚や子持ちをカミングアウトしても、変わらず活動できるところが、地下アイドルの面白さでもあると思います(もちろん、全く何も変わらないわけじゃないですけどね……)。

 今回、お話をしにきてくださった31歳の男性は、「結婚後に奥さんが地下アイドルになった」というあまり聞かないパターンですが、実は、秘密にされているだけで、案外珍しくはないのかもしれません。彼の奥さんも、結婚していることは公にしていないとのことでした。

 会うやいなや「あの、この話あんまり面白くないですけどいいですか?」と言われ、「いや、困るよ」と思いましたが、彼は話し始めました。
 
 3つ年下の奥さんとは、共通のアイドルを応援していたことがきっかけで結婚したそうです。

「嫁は今でいうオタサーの“姫”ってやつで、周りも割と彼女に本気だったので、付き合った当時も内緒にしてました」

 その後、周囲に秘密にしたまま、ふたりの関係は順調に深まっていきます。結婚することが決まった時も、お互い特に結婚式に憧れもなかったので、親族と大学時代の友人にハガキで知らせるだけで済ませたそうです。

 以降、新婚時代のノロケ話は大幅に割愛しますが、結婚して数年が経った昨年、奥さんが急に好きなアイドルのコピーユニットを結成すると言い始めたのです。ここから結婚生活の歯車は狂い始めました。

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