“BiSという物語”の終焉 3時間半、全49曲ノンストップライブ!【BiS解散ライブレポ2】

2014.07.11

3時間全49曲を歌いきったBiS。

 7月8日に、BiSの集大成となる『BiS解散LIVE「BiSなりの武道館」』が、横浜アリーナで行われた。
BiSライブレポ1

歴代のメンバーで「nerve」を熱唱。

 オープニングの曲は、BiSの代表曲「nerve」。現在のメンバー、プー・ルイ、ヒラノノゾミ、カミヤサキ、テンテンコ、ファーストサマーウイカ、コショージメグミの6人に、ヨコヤマリナ、ナカヤマユキコ、ミチバヤシリオの3人の歴代メンバーも登場。残念ながら、現在は寺嶋由芙として活動しているテラシマユフ、ワキサカユリカ、終身名誉メンバーのJKの姿は見られなかったが、いきなりのサプライズに、会場はまるでこれが最後の曲かのように、大盛り上がり。会場を埋め尽くす研究員(BiSのファン)たちは、一同に両腕と片足を挙げて体を後ろに反らす“エヴィゾリ”の振り付けで、のっけから踊りまくる。

 曲が終わり、メンバーがはけると、早速、研究員からアンコールの声が。「nerve」→メンバーがはける→アンコールの流れは、2012年7月29日に行われた大阪ワンマンライブ「Be my BiS」を思い出させてくれる。その時のライブは、「nerve」を4回連続で歌うだけで、もしアンコールがなければ、ライブがそこで終わっていたという衝撃的な内容だった。

 メンバーがステージから去った後に登場したのは、なぜかマネージャーの渡辺淳之介とサウンドプロデューサーの松隈ケンタ。2人は研究員に足踏みと手拍子を求める。「ちゃんとやらないと終わらないよ〜」と煽るも、なかなか揃わず。どうやら、会場が広すぎて揃わないようだ。想定外の事態だったが、2人はそのまま足踏みと手拍子に合わせ、ロックバンド、QUEENの「We Will Rock You」を歌いだし、会場も大合唱を始める。これから始まるBiSのライブの演出かと期待を高めるも、なんと2人が気持ち良さそうに歌っただけでコーナー(?)は終了。

 何をしたかったのかと研究員たちが疑問に思う中、続いてスクリーンにVTRが流れる。メンバー紹介とともに、「ここで死にましょう」(プー・ルイ)、「楽しい、100%のライブをしたいです」(ヒラノノゾミ)、「星になる」(カミヤサキ)、「出来ない!そんなモノは無いんだ!!!」(テンテンコ)、「準備はよろしいですか?」(ファーストサマーウイカ)、「\へーっくし/」(コショージメグミ)と、メンバーからのメッセージが映し出され、いよいよライブ本編がスタートした。

 ラストシングルの「FiNAL DANCE」から始まり、4曲目「MMGK」でおなじみの“おっぱい”コールで盛り上がり、8曲目の「STUPiG」には横浜アリーナのゆるキャラ、ヨコアリくんも登場。13曲目「MURA-MURA」では、超絶プレミアムチケットの研究員たちがメンバーに向けてメッセージを書いた横断幕を掲げた。

「IDOL」でカミヤサキが10万円席にダイブ。

 あまりの熱狂に気にしていなかったが、気づけばすでにメンバーは10曲以上、連続して歌い続けている。2013年9月20〜21日には、シングル「Fly / Hi」で24時間耐久のイベントを行った事もあるBiSだけに、「もしやノンストップライブなのでは?」との思いがよぎる。手元にあったプレス用のセットリストを見ると、そこには49曲が載っていた。本当に49曲をノンストップで踊りながら歌ったら、伝説だ。だが、16曲目の「あの頃」くらいから、少し疲れが見え始めるメンバーたち。18曲目「デモサヨナラ」を歌い終わると、ヒラノノゾミとテンテンコが、ステージに置かれていた大きな「S(どくろマーク)S」と書かれた赤いボタンをオン。何かネタが始まるのかと思えば、スクリーンに3分からのカウントダウンと“休憩中”の文字が映し出され、ステージは暗転。赤い警報灯が光り出した。
恐らく、ここで多くの研究員が、彼女たちが本気でノンストップライブをやろうとしているのだと気づいたはずだ。

 19曲目「IDOL is DEAD」から、ライブ再開。メジャーデビュー曲で2012年7月13日にはスクール水着でライブをした26曲目の「PPCC」、王道アイドル路線に変更するというダマし企画を行った29曲目「IDOL」、メンバーののどちんこを映したグロテスクなPVで話題になった31曲目の「primal.」など、BiSの節目となる曲が始まると、研究員から「お〜」という歓声が上がる。最新曲から遡っていく今回のセットリストは、BiSの歴史を研究員それぞれが追体験しているようだった。

風船が投下され、会場はますます盛り上がる。「パプリカ」で騎乗位を交互に行う2人。

 いよいよクライマックスの47曲目「レリビ」では、研究員たちが用意した風船が投下され、メンバーがアリーナの通路に歩き出す。すると、まるで磁石に吸い寄せられるかのように、6000円席の研究員たちも客席から通路へと押し寄せ、腕を伸ばす。時に、他のアイドルファンから怖がられる事もあった熱狂的過ぎる研究員たちだったが、解散ライブの彼らを見ていると、どれだけBiSを愛してきたのか、その一途な気持ちが伝わってくる。きっと、研究員たちは、BiSと出会った事で新しい世界を知ったのだろう。ラストは、現在の6人のメンバーによる「nerve」。会場が一体となって最後の“エヴィゾリ”を楽しんだ。

「ありがとうございました、BiSでした。バイバーイ!」

 最後までMC無しで、解散ライブを終えたBiS。アップテンポなロックチューンの曲が多い中、全49曲を約3時間半歌い続けた。今まで、イベントもセンセーショナルな企画で話題を呼んできたBiSだが、最後は“アイドル”の本気の姿を見せてくれるライブだった。そして、「prima.2」に乗って、エンドロールが流れる。まるで“BiS”というひとつの壮大な映画が終わったかのように。メンバーをはじめとする関係者の名前が次々に流れ、研究員の温かい拍手がわき起こる中、最後にある名前が記された。

「世界を変えられちゃった
研究員」

ファンを愛し、ファンに愛されたBiSの伝説がここに幕を閉じた。

BiSの物語が幕を閉じた。

(取材・文/桜井飛鳥、写真/外林健太)

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