アニメ業界人が語る、ひそひそ秘話 【第1回】

“1話切り”は気にしていない!? 作り手側が意識する新作テレビアニメ第1話のポイントとは?

 また、「主人公のキャラクター」「世界観」「ジャンル」以外に、第1話でプラスアルファの要素があるとすれば「謎」が挙げられます。全体のストーリーを貫き通す謎の存在をにおわせることも、初期話数のポイントとなります。

 序盤にこれだけ気を配っているのは、1話だけ見て視聴を継続しない“1話切り”を恐れているからと思われるかもしれませんが、実は、作り手側は“1話切り”をそれほど心配してはいません。主人公の魅力を最大限描けるよう工夫しつつも、「どのみち受け付けない人は受け付けないよ」という、作り手から視聴者に対する「見切り」もまた存在します。いずれにしても主人公が気に入ってもらえなければ継続視聴してもらうことは難しいでしょうから、当然「主人公のキャラクター」を描くことに力を入れるわけです。

 そういえば最近はネットの普及で“1話切り”したアニメがその後話題になっているのを知って悔しがる視聴者も多いようで、尻上がりに盛り上がる作品に対して、ネットの口コミなどを通じて視聴者の揺り戻しも散見されます。作り手もそういった状況を認識することで、受け手との共犯関係は濃くなりつつあるように感じますね。

【まとめ】

 作り手側は、初期話数で「どんな主人公が」「何(誰)と出会い」「どんな未来に向かうのか?」に興味をもってもらえることを重視しています。1~2クールの作品ならせめて3話までには、これらを簡潔に表現できていなくてはいけません。視聴者としては、そこが成功しているアニメは良作になる可能性が高いと考え、視聴を続けるかどうかの判断ポイントにしてもいいのではないでしょうか。

 好みや楽しみ方は人それぞれだと思いますが、新アニメを観るときは「この作品の作り手は、第1話で何をどこまで伝えようとしているだろう?」ということも気にかけてみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

■安康頂一
 仮名。都内某アニメスタジオに制作進行として勤務、現場の辛酸をベロベロ舐め尽くしたのち、同業別職種に転じる。現在はギョーカイの深海底でひっそりとコンテンツの明かりをともすその日暮らしのチョウチンアンコウ。

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