アニメ業界人が語る、ひそひそ秘話 【第1回】

“1話切り”は気にしていない!? 作り手側が意識する新作テレビアニメ第1話のポイントとは?

――日夜アニメが放送・放映され、盛り上がりを見せるアニメ文化。そんな中、アニメに関する事件や風聞、ムーブメントが話題になることも数知れず。それでは、実際にアニメの“中の人”はそんな万物事象をどう見ているのか? アニメ業界に身を置く安康頂一(仮名)が、大きな声ではいえないあんなこと、こんなことをひそひそと語ります。

1407_animehiso1_m.jpgイメージ画像:名作に学ぶアニメのつくり方(玄光社)

 夏クールの新アニメがスタートする7月。さっそくネットでは放送されたばかりの作品について「第1話がどうだったか」という話題で盛り上がっていますね。同じ作品に対しても視聴者の賛否・着目する点がそれぞれ違っていておもしろいです。

 では、作り手(制作・製作者)はアニメ第1話のどこに注力し、何を受け手(視聴者)に伝えようとしているのか。ギョーカイの隅っこに身を置く者として少し語らせてもらおうと思います。

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 アニメシリーズの初期段階で作り手側が意識するのは、大きく分けて3つの要素です。「主人公のキャラクター」「世界観」「ジャンル」、これらを視聴者へ効果的に伝えられるかどうか。このうち、第1話で最も重視されるのは「主人公のキャラクター」です。

 どんなに平凡でも、逆に突拍子もない主人公でも“これまで”があるわけで、そこになんらかの変化が訪れることで主人公も視聴者も知らない“これから”が動き出す。そのターニングポイントが、視聴者の目撃する第1話なわけです。

 そこから2話、3話と続く中で、

・どんな主人公が(キャラクター)
・どんな法則の支配する世界に投げ込まれ(世界観)
・どんな物語を繰り広げるのか(ジャンル)

 をうまく絡み合わせ、作り手は作品の基礎知識を視聴者に提示していきます。
 (ジャンルとは、ここでは「恋愛もの」「友情もの」「群像劇」「復讐劇」「成長譚」といった物語の類型を指します)

 第1話の役割を視聴者にイメージしてもらいやすいのは、ロボットアニメですね。お話の進み具合によっていくつかのパターンに分けられます。

・主人公がロボットと出会う
・主人公がロボットに乗る
・主人公がロボットに乗って戦おうとする
・主人公がロボットに乗って戦う
・主人公がロボットに乗って戦って勝つ

 もちろん「主人公が最初からパイロットをしている設定」など例外もたくさんありますが、ロボットアニメでは「第1話で上記のどこまでやっているか」がひとつの試金石になります。

 ビデオグラムを売る側(製作側)は、できるだけ「戦って勝つ」ところまでやっておいたほうが視聴者へのツカミになると考えがちです。でも、そのせいで視聴者のキャラクター理解(≒主人公への感情移入)が置いてけぼりになっては本末転倒なので、どのパターンがベストなのかは一概に言えません。

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