Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第13回【前編】

『はだしのゲン』こそ“原爆を擬似的に体験できる装置”! 忘れないために書き留めらた真実とは

 実際にその目で見て、その耳で聞いた人が語るエピソードはとても力強い。どんな些細なことでも、匂い立つようなリアリティがあり、聞いていてとてもドキドキした。しかし、その感動とは裏腹に、広島にドンという名のドヤがあったことも、そこに人が生きていたことも、もうほとんど忘れられていることに焦燥感を感じた。

 原爆が落ちた痛みも、きっとそのうち忘れてしまうだろう。それは寂しいけれど、生きている社会ならば仕方がないことではある。

 しかし書き留めることで、忘却に歯止めをかけることはできる。

『はだしのゲン』を読めば、誰でも広島に何が起こったのかを追体験することができる。大勢が住む街のど真ん中に、核兵器が落とされるとどうなるのかが、嫌でもわかる。

“原爆を擬似的に体験できる装置”

 それがはだしのゲンという作品の本質だと思う。

 作中には、作者の願い、祈り、呪いが目一杯こめられている。ここまで強烈な思いが詰まった作品はめったにない。少々考え方が違ったりしても、読まなければもったいないよな〜と思う。

 ……と、ここまでの感想は「ジャンプ」で掲載された第一部のものである。

 実は、それ以降は今まで読んだことがなかったのだ。僕と同じように、はだしのゲンを最後まで読んだことがないという人もいらっしゃるのではないだろうか?

 それでは次回は、はだしのゲン第二部のレビューで会いましょう!!

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『裏仕事師 儲けのからくり』(12年、三才ブックス)『ホームレス大博覧会』(13年、鹿砦社)など。近著に、マンガ家の北上諭志との共著『デビルズ・ダンディ・ドッグス』(太田出版)、『ゴミ屋敷奮闘記』(鹿砦社)。
●公式ブログ<http://ameblo.jp/rumrumrumrum/

『はだしのゲン』こそ“原爆を擬似的に体験できる装置”! 忘れないために書き留めらた真実とはのページです。おたぽるは、人気連載漫画作品レビュー連載の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!