日本雑誌協会も唖然 「有害図書指定」への恐れだけで新人マンガ家を切り捨てたコアミックスの罪

“有害図書になりそうだから”という理由で、連載が開始二日前に中止に! 『進撃の巨人』(講談社)の元・アシスタントであるマンガ家・やまもとありさ氏に降りかかった前代未聞の事件が注目を集めている。

 やまもと氏のブログによれば、氏の初となる連載は6月29日からコアミックスのWebマンガサイト「ぜにょん」で開始される予定で、5話分の原稿と5枚のカラー、何話分かのネームを制作していた。

 ところが、直前になり「ぜにょん」の単行本発売を委託されている徳間書店が「有害図書指定」にあたる可能性があるとして、出版できないと判断。これを受けて、「ゼノン側は単行本が出せないものには連載させても意味が無い」として、中止を決めたとされている。(やまもとありさ氏のブログ:http://blog.livedoor.jp/slice_sareta/archives/38910895.html

 やまもと氏の報告に対して、『進撃の巨人』の作者である諫山創氏は自身のブログに「連載開始二日前に連載中止」というタイトルで記事をアップし、「タダじゃ済まされることじゃありませんがタダで起きるべきでもないと思います」と怒りを述べると共に「読みたいと、求めることが自由なら青少年ではない僕はやまもとさんのその漫画が読みたいです!」と、やまもと氏にエールを送っている。(諫山創氏のブログ:http://blog.livedoor.jp/isayamahazime/archives/8436506.html

 コアミックスは、2000年に元「週刊少年ジャンプ」(集英社)の編集長である堀江信彦氏が代表取締役として設立された会社で、出版のほかマンガ家の北条司氏、原哲夫氏、次原隆二氏などのコンテンツのライセンス管理も行っている。実績ある編集者が代表を務め、著名なマンガ家も参加する企業としては、あまりにお粗末な“マンガ家の切り捨て”に見える。

 編集者ならば、出版できるように書き直しなどの策を練ればよいものを、安易に連載中止にしてしまった経緯はどういうものなのか。コアミックスに電話したところ、電話に出た人物は「少々お待ち下さい」と言い、待たせること2分あまり。「現在、担当者が不在」との回答であった。ほかにも取材の申込みはあるが、同様の対応を取っている様子で、どうも電話の向こうから編集部の焦燥を感じた。

 徳間書店の関係者によれば、コアミックスとの折衝は書籍営業部が担当しているという。あくまで仮定に過ぎないが、徳間書店側が、昨今の東京都青少年健全育成条例による不健全図書指定の状況をもとに、やまもと氏の作品が全年齢向けでの販売が困難という判断を行ったところ、編集部が前代未聞の反応を示したのではないかと思われる。

 いずれにしても「週刊少年ジャンプ」を最大部数にした人物が率いるコアミックスにもかかわらず、「ぜにょん」編集部の対応に疑問符がつくのは事実。すでに5話分の原稿を完成させているやまもと氏に、どこかの出版社が救いの手を差し伸べることを願って止まない。

 なお、日本雑誌協会関係者に電話で話を聞いたところ、まだ事件については把握していなかった。そこで、事件の概要について説明したところ、深いため息をついていた。
(取材・文/昼間 たかし)

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