2014年秋スタート!富野ガンダム新作『ガンダム Gのレコンギスタ』の行方を占う

 1979年に誕生したアニメ『機動戦士ガンダム』シリーズ。今なお“ガンダム”の描きだす世界は多くのファンを惹きつけ、OVA『機動戦士ガンダムUC』完結、『ガンダムビルドファイターズ』第2期決定、7月からはギャグマンガ『機動戦士ガンダムさん』が短編アニメとして放送スタートし、さらにアニメ版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』企画が進行中(http://www.gundam-the-origin.net/)など、35周年となる今年もガンダムにまつわる動きは活発だ。

 そこへ6月23日、ファン待望のニュースが飛び込んできた。かねてからコード名『Gレコ』と呼ばれてきた、富野由悠季氏が総監督を務める最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』(以降、Gレコと表記)のPVや各種情報が公式サイト(http://www.g-reco.net/)にて大量に解禁されたのだ。“生みの親による最新ガンダム”、“富野監督のガンダムアニメとしては『機動戦士Ζガンダム A New Translation』以来9年ぶり”、“リメイクではない同監督のガンダムとしては『∀ガンダム』以来14年ぶり”などインパクトは大きい。アニメ専門誌「アニメ ビジエンス」のインタビューによれば放送期間は2クールになるという。これまで“富野ガンダム”は4クール程度が主流となっており、なにげにこれも富野ガンダムとしては初の試みだ。

 公式サイトで公開された新情報は、新作PVからストーリー、キャラクター、メカニック、スタッフ&キャスト、用語集、関連商品……と多岐にわたる。

 まず目を引くのは物語の時代設定。『機動戦士ガンダム』などでアムロやシャアが活躍した宇宙世紀から1000年あまり後の「リギルド・センチュリー」を舞台とし、西暦→宇宙世紀と続いてきたガンダムの紀年法が“西暦→宇宙世紀→リギルド・センチュリー”へと更新された。富野監督が手がけたガンダムは『∀ガンダム』を除きこれまですべて宇宙世紀だったため、いきなりの新時代登場に驚かされる。軌道エレベータ「キャピタル・タワー」が重要な役割を果たす世界観で、若き主人公のベルリ・ゼナム、ヒロイン役と思われるアイーダ・レイハントン、そして出自不明の高性能モビルスーツ「G-セルフ」が物語に深く関わってくるようだ。

 主役モビルスーツ G-セルフのビジュアルも公開されており、個人的な第一印象は「思っていたより保守的だな」というもの。伝統のトリコロールカラーに、『ガンダム00』のエクシアを思いおこさせるようなボディバランス。各種バックパック換装によりさまざまな局面に対応できるというギミックも『ガンダムSEED』系の“ストライカーパック”を連想させる。これでも十分に個性的なのだが、14年前の髭モビルスーツ(∀ガンダム)があまりに先鋭的すぎるデザインだったためか若干肩透かしを食らった感はいなめない。これについては公式サイト更新直後からネット上でも「微妙」という声が目立ったが、新作ガンダムが冷ややかに反応されるのはファンの間では恒例行事。“動くとカッコいい!”が富野ガンダムの真骨頂なので期待できるだろう。

 さて、気になるのは『Gレコ』の作風だ。富野ガンダム――というか富野監督の作風は時期によって大きく変わり、ファンは便宜上「黒富野」「白富野」と呼び分けたりしている。過去の富野アニメは『伝説巨神イデオン』『Zガンダム(TV版)』『Vガンダム』のようにラストで主人公含むメインキャラが全滅、または廃人化することが多かった。いわゆる「皆殺しの富野」「黒富野」だ。この作風が1998年の『ブレンパワード』からは目に見えて変化し、『∀ガンダム』『OVERMANキングゲイナー』では主要キャラのほとんどが生存したままドラマを描き切った。日常シーンや人間関係も丁寧に描写し、希望を抱かせるラストから「白富野」と呼ばれる。

 『Gレコ』が『キングゲイナー』の流れを引き継ぐなら、作風としては明るく活発な白富野寄りになると思われる。キャラクターデザインの吉田健一氏、メカデザインの安田朗・山根公利氏といった主要スタッフが『キングゲイナー』と共通しており、公式サイト上にある直筆メッセージにも「元気のGだ!!」と書かれている。だが一方で、PVの第1弾と第2弾には生死に関わりそうなシリアス系の映像・セリフも散見され、無条件で“明るい作風”と決めつけるわけにはいかないようだ。主役ガンダムが所属不明という点、そしてよく見ると作品タイトルが歴史用語のレコンキスタ(Reconquista=再征服)ではなく“レコンギスタ(Reconguista)”になっている点など、現時点では作風のみならずストーリー根幹・テーマに関わる部分も謎が多い。

 10月の放送スタートに先がけて8月23日より、第1~3話をまとめた特別先行版のイベント上映が全国13館で催される。起源にして最新の“富野ガンダム”を誰より早く目撃したい人は先行上映に足を運ぶか、9月8日からの特別先行版配信をチェックしておきたい。
(文/浜田六郎)

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