祝!宝塚100周年企画 ヅカヲタ女医の「アモーレ!宝塚ソング」第2回

真矢みきさまが歌う「レビュー、明日への希望」に床ずれ治癒のための“栄養補給”の精神を学ぶ

 宝塚ヲタの女医、wojo(ヲジョ)です、こんにちは。諸事情により、第1回目が掲載されたリアルサウンドさんから、今後はこちらのおたぽるさんでお世話になることになりました。今後ともよろしくお願いいたします。

【第1回】
宝塚歌劇団は来年100周年
宝塚が深く愛される秘密 涼風真世らが歌い継いだ名曲から読み解く
http://realsound.jp/2013/11/post-177.html

 さて今回は、wojoが心打たれた、真矢みきさんの一曲をご紹介したいと思います。1997年花組『ザッツ・レビュー』というお芝居(ミュージカル)の主題歌です。

 真矢さんは現在女優としてご活躍で、09年に実施された明治安田生命の調査では「理想の女性上司」No.1に選ばれ、非宝塚ファンからも人気でいらっしゃいますね(ちなみに最新の13年度でも3位)。

 そんな真矢さん、宝塚時代も若手スターの頃からすでに大変な人気で、両側の八重歯がチャームポイント、弟キャラのやんちゃさが持ち味でした(その八重歯は、トップご就任直前に残念ながら抜歯……)。その真矢さんが花組トップにご在任中の97年に、東京・日比谷にあった旧東京宝塚劇場が閉館。その記念すべき最終公演が、真矢さんが主演なさったミュージカル『ザッツ・レビュー』だったのです。

 舞台は昭和3年、真矢さん扮する春風泰平が、宝塚の舞台に立とうと秋田県の角館から上京したものの、女性しか宝塚の舞台には立てないことがわかり、宝塚の演出家を目指すという物語です。しかし泰平さんはケンカの最中に、お寺にある大香炉のようなものに頭をぶつけたことがきっかけで失明してしまい、結局演出家にはなれない……という、全体的に見ると少々ツッコミどころ満載なストーリーで、上演当時20代そこそこだったwojoの同年代のファンの中には、「なんだこの芝居は!」「金返せ!」などと怒り出す人もいました。ですが、その泰平さんが折に触れ歌う「レビュー、明日への希望」が、実に素晴らしいのです。

「心に憂いを感じた時に、レビューは優しく癒してくれる♪」
「花のレビュー夢のレビュー明日への希望が燃え盛る♪」

 私も上演当時は、真矢さんのお歌がお世辞にもお上手じゃないなど、些末なことに気を取られていたものです。しかし、そんな私もアラフォーになり、人生うまくいかないことのほうが多いんだと薄々わかり始めた頃からは、逆に人生の応援歌になりました。くじけてもレビューが元気をくれる、レビューの存在意義ってここにあったのか、と。泰平さんがいつも少し音程を外してしまうのも、東北出身の純朴な感じが出ていてむしろいい、と好意的に思えてしまうほどです。

 上演当時に激怒したwojoの友人の一人は現在バツイチ子持ちですが、最近CSチャンネル「スカイ・ステージ」での『ザッツ・レビュー』再放送を視聴し、「人知れず悲しみに沈んだ時にもレビューは力を与えてくれる」との歌詞に号泣しておりました。安穏とした時分には良さがわからず、少し辛酸を嘗めると心の琴線を刺激する。「レビュー、明日への希望」は、苦労人好みの1曲のようです。

 みなさん、床ずれ(褥瘡・じょくそう)ってご存じでしょうか? 寝たきりなどで皮膚に持続的に圧迫が加わると血流障害が起き、皮膚の組織が壊死してしまうものです。重症になるとその壊死部位を切除することになりますが、栄養状態が悪いことも床ずれができることの要因になります。マニアックなたとえになりますが、この床ずれの治療でいうと「レビュー、明日への希望」は、患部を切除するような侵襲性はありません。どちらかというと、床ずれの治癒を促進するための栄養補給です。栄養ですので、別に健康な人にも害はありません。しかし、床ずれがある方にとっては、治癒に向けてとても大きな力を発揮するのです。

 この曲は11年に開催された『タカラヅカスペシャル』というイベントで若手男役たちにより歌われたりはしていましたが、長年にわたり脈々と歌い継がれるような伝説的な1曲にまでは至っていません。しかし、宝塚ファンの密かな心の1曲にはなり得ているのです。CSでの『ザッツ・レビュー』の再放送の回数も、心なしか多い気がいたします。

 wojoは最近、意に沿わない異動命令を受けました。その後しばらく、泰平さんによる純朴な節回しの『ザッツ・レビュー』の中のあの曲が、私の頭の中でキラキラと鳴り響いておりました。失明しても前向きさを失わなかった泰平さんにならい、「次の病院では看護師さんに優しくしてもらえるかもしれない!」とポジティブ思考を心掛けています。

■wojo(ヲジョ)
都内某病院勤務のアラフォー女医。宝塚ファン歴20年で、これまでに宝塚に注いだ“愛”の総額は1000万円以上。医者としての担当科は内科、宝塚のほうの担当組は月組。5月某日、銀座にある有名な“宝塚バー”に友人と行ってきました。トイレに行った友人がいつまでたっても出てこないため心配になって見にいったら、トイレの壁一面に貼られた、涼風真世さんなど90年代に活躍された宝塚の方々の写真に見入ってしまっていたとか。本当にステキな場所でした……。

ザッツ・レビュー [ビデオ]

ザッツ・レビュー [ビデオ]

“床ずれ治療のような名曲”という褒め言葉です。

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