トキワ荘の思い出に『3月のライオン』秘話まで! 「第18回手塚治虫文化賞」贈呈式レポート

2014.06.03

手塚治虫氏の実子で、株式会社手塚プロダクション取締役の手塚眞氏も登壇。
(撮影/浜田六郎)

“日本マンガ界の芥川賞”ともされる「手塚治虫文化賞」。第18回を迎えた同賞の贈呈式が、5月30日に朝日新聞本社浜離宮ホールにて行われた。今年は例年に勝る盛況で、会場には溢れんばかりの人々が詰めかけていた。

 今回、大賞に選ばれたのは羽海野チカ氏の『3月のライオン』(白泉社)。過去2回のノミネートを経て、今年見事に大賞を受賞した。斬新な才能に贈られる新生賞には今日マチ子氏の『みつあみの神様』(集英社)など4作品、優れた4コママンガや短編集に贈られる短編賞は、施川ユウキ氏の『オンノジ』(秋田書店)など3作品が選ばれた。本賞主催の朝日新聞社が選ぶ特別賞には藤子不二雄(A)氏【編注:(A)は丸囲みのA】の『まんが道』(中央公論新社など)『愛…しりそめし頃に…』(小学館)が選出され、今年初めての試みとなる「一般読者の一票から選ばれる」読者賞には小山宙哉氏の『宇宙兄弟』(講談社)が名を連ねた。

 大賞にノミネートされた10作品と一次選考の結果は以下の通り。なお、大賞は下記上位10作品の中から最終選考委員会の審議によって選ばれる。

【手塚治虫文化賞】
1.『3月のライオン』羽海野チカ/11点
2.『銀の匙 Silver Spoon』荒川弘/10点
3.『羊の木』原作:山上たつひこ 作画:いがらしみきお/6点
4.『I【アイ】』いがらしみきお/5点
『失恋ショコラティエ』水城せとな/5点
『進撃の巨人』諫山創/5点
『どうぶつの国』雷句誠/5点
『町でうわさの天狗の子』岩本ナオ/5点
『みつあみの神様』今日マチ子/5点

【特別賞】
愛…しりそめし頃に…』 藤子不二雄(A)

【選考委員】
あさのあつこ(作家)、竹宮惠子(マンガ家・京都精華大学学長)、中条省平(学習院大学文学部教授)、永井豪(マンガ家)、中野晴行(マンガ編集者)、ブルボン小林(コラムニスト)、ジャクリーヌ・ベルント(東京精華大学マンガ学部教授)、ヤマダトモコ(マンガ研究者)

 贈呈式では、まず大賞の羽海野チカ氏が緊張した面持ちで登壇。上品かつ華やかなベージュのシフォンドレスが、控えめな羽海野氏によく似合っている。手塚氏の代表作であるマンガ『鉄腕アトム』を模したプライズ・アトムのブロンズ像を授与されると、感無量といった様子で「今日この場に立たせていただけたことが、とても嬉しいです」と述べた。続いて、「私が初めて自分で買ったマンガが手塚先生の『リボンの騎士』でした。ドレスも動物も本当に可愛くて、マネてたくさん描きました」と手塚治虫マンガへの想いを語り、「小さい頃、どうしても人の輪に入れない子どもでした。でもマンガはいつもそばにいてくれました。今度は私が、そういう子たちのそばにいられるようなマンガを描けたらいいなと思います」と微笑んだ。

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