覚えておくと超便利!? 「Aランの34エンドで転がりを……」飛行機撮影には欠かせない“暗号”を解読せよ！

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──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。

CANON EOS5DⅢ EF70-200mm f/2.8L IS II SS 1/1000 f6.3 ISO100
成田空港の有名撮影ポイント「さくらの山」から撮影。
ここは成田空港のA滑走路の16エンドにある公園だ。
夏場を中心とした南風運用時、下りも転がりも撮れる素晴らしい場所である。

＃飛行機撮影現場で交わされるディープな用語 Vol.4

　ディープな撮影用語も最終回となりました。

　最後は、飛行機撮影に関わる部分の、ディープな用語をお伝えしましょう。これを知っていれば、ベテランの方との会話にもある程度ついていけると思いますよ！

　まず、飛行機撮影に出かける行為自体を「出撃」と言うことは以前お伝えしましたが、空港などに出撃した場合、どこの場所で撮影するかを伝えるために「Aランの34エンドで転がりを……」と言うことがあります。「Aラン」というのはAランウェイの略。ランウェイ＝滑走路が複数ある空港では、滑走路ごとにA・B・Cなどと識別するためのアルファベットなどが割り振られていることが多くなっています。

　また、滑走路の端にはその磁方位（の1/10の数字）を示す番号が指定されており、この番号で滑走路のどちら側にいるかを伝達することが可能です。たとえば、「34（スリー・フォー）エンド（＝末端部分）」と言われれば、滑走路34側の末端部分の撮影ポイントという意味になります。海上空港や滑走路が海に突き出している空港を除き、だいたいはこのランウェイエンドに撮影ポイントが点在。細かく伝える場合は、さらに順光側なのか逆光側なのかなどの情報を加えることもあります。

　最後に「転がり」の意味。これは、撮影対象となる機体の状態を表します。「転がり」は、機体のタキシング（地上走行）シーンや離陸待機シーンなど、飛んでいない状態を指します。当コーナーの盟友、蘭木流子（乱気流子）先生が先日アップデートしたマンガの中にもあった通り、「上がり」は離陸シーンを撮影する場合、「下り（おり）」は着陸シーンを撮影する場合に用いられます。派生型として、短い滑走で上がる様を「ドッカン上がり」。長く滑走している様子を「引っ張る」などと言います。

　機体のアングルについても特有の言い方があり、「真横」「正面」などのほか、機体を後ろから追いかけるように撮る「後追い」、真横になる前のやや正面気味のカットを「シチサン（7:3）」などと呼称。飛行中の旋回シーンなどのカットは「ヒネリ」と呼びます。そのほか、夜間の撮影にワンポイントを与えてくれる赤い衝突防止灯はアンチコリジョンライトを略して「アンコリ」、または「アンチコ」。夏場の撮影において存在感を増す陽炎は「メラメラ」。視程が良く空気感のある撮影結果を得られる場合は「ヌケ」が良いなどと言います。

　これらの本分は情報伝達を素早くするためのものが多いですが、飛行機撮影現場に集う仲間内で生まれたものも多く、それぞれの仲間内や土地によって言い方もさまざまです。玄人っぽい言い方をマスターし、さらに飛行機撮影を楽しんでくださいね。

　さて、次回からはより飛行機撮影の実践的な内容へ踏み込んでいきますが、これらの用語を躊躇なく使用していく予定ですのでよろしくお願いします！

CANON EOS5DⅢ EF70-200mm f/2.8L IS II SS 1/800 f6.3 ISO100
もともとは自動車撮影から来たと思われる「シチサンカット」。
自動車とは比率が違うため、飛行機では厳密に7:3ではない。
だいたい斜め前から撮影されたカットという認識でOKだろう。

CANON EOS5DⅡ EF70-200mm f/2.8L IS II SS 1/10 f2.8 ISO1600
こちらは赤い衝突防止灯が点灯したタイミングで撮影された「アンコリショット」。
赤は警戒感を高める色であるため、締まったイメージとしたい時に重宝する。

●A☆50/Akira Igarashi

フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中！　ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。