BLのカップリングがより広がる!? “攻め”同士が結ばれる過程を描いたBL3選!

 BLでは、お互いに惹かれあっていても、“攻め”同士ということで結ばれないカップルも少なくない。しかし、中には攻め同士だったけど付き合ってうまくいっているカップルもいる。彼らはどんなきっかけで惹かれあい、どうやってその役割を決定していくのだろうか。『3秒後には、欲しがりのキス』(海王社/GUSH COMICS)や『海より深い愛はどっちだ』(新書館/ディアプラス文庫)、『抱けるもんなら抱いてみろ!』(角川書店/角川ルビー文庫)といった近刊のBL作品から、その過程を見てみよう。

1405_bl_3sec.jpg3秒後には、欲しがりのキス(海王社/GUSH COMICS)

 まず、失恋がきっかけになって、普段なら絶対に近づかないタイプに手を出すのは、BLでも変わらないよう。『3秒後には、欲しがりのキス』では、10年越しの片思いから失恋し、バーで飲んでいた怜が、男ながらとても美人な黒田に声をかけられ、ぬくもりがほしくてそのままホテルに行ってしまう。しかし、黒田は失恋を慰める口実で近づき、相手が混乱している間に最後までやってしまうのだ。明らかに“受け”っぽい、細身でキレイな黒田のようなタイプなら、相手を油断させて自分が主導権を握ることもできるかもしれない。

1405_bl_umi.jpg海より深い愛はどっちだ(新書館/ディアプラス文庫)

 また、攻め×攻めカップルが受けを決めるときによくやるのが、勝負ごと。『海より深い愛はどっちだ』には、お互いノンケ同士で、親友だった大学生の類と壮太が登場するのだが、実は彼らはそれぞれ相手のことを「かわいい」「抱きたい」と思っていた。そこで、“三番勝負で先に二勝したほうが相手を抱く”というルールで、寿司を何皿食べられるかという大食い競争やPK戦で戦う。でも、最終的には勝敗がつく前に壮太が「類を失うぐらいなら、抱かれた方がましだ」と思うようになるのだ。

 本気で好きだからこそ、抱く側とか抱かれる側とか関係なく、ひとつになりたいと思えたのだろう。それに、壮太は自分が類に譲って抱かれる方にまわったので「俺のが類より器がでかい」と思っているし、「体は類に抱かれとっても、心は俺が抱いてるってことやろ」と、気持ちだけは自分の方が優位にあると思っている。体は譲っても、気持ちまで受けになったわけではないので、お互いに対等だと思えれば攻め×攻めカップルでも成り立つのだろう。

1405_bl_dakeru.jpg抱けるもんなら抱いてみろ!(角川書店/角川ルビー文庫)

 そして、同じ勝負でももっとわかりやすいのが、先にイッた方が抱かれるというもの。『抱けるもんなら抱いてみろ!』でも、製薬会社のMR(医療情報担当者)として働く瀬野は、医師の鈴本から「先に相手を満足させた方に主導権を与えるっていうのはどうだ?」と提案される。そもそも、「抱けるか抱けないか」「具合が良いか悪いか」「後腐れがないかどうか」で相手を選んできた瀬野だが、鈴本は生まれて初めて一目惚れした相手。「お互い相手の顔が好みなのに、このまま何もしないで終わるのは勿体ないだろ?」と鈴本に言われ、たしかにマイノリティな性癖の自分たちにとってはチャンスだし、勝てばいいだけのことだからと、かなり気持ちが揺らぐ。さらに、担当病院の医師である鈴本から、勝てば主導権に加えて「一ついう事を聞かせる権利」をちらつかされたら、MRの瀬野が惹かれてしまうのも無理はない。彼らのように、絶対に“攻”じゃなきゃイヤだというタイプには、とにかく自信家が多いのも特徴だ。負けず嫌いだし、自分が負けるなんてこれっぽっちも思っていないので、こういった勝負ごとで徹底的に相手を打ちのめして、服従させようとする。

 相手がどんな人だろうと、好きになってしまうのは仕方がないこと。しかし、その後、“攻め”同士だということがわかっても結ばれるためには、どちら側かということなど抜きにして、相手のことが好きだと思えたかどうか。自分が“受け”にまわったとしても、ひとつになりたいと思えたかが重要になってくるのだろう。そう考えると、案外本当に男らしいのは“受け”のほうだったりするのかもしれない。

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