姫乃たまの耳の痛い話 第4回

仕切りもタイムキーパーも受付も接客もお仕事です!? “地下アイドル”の立ち位置とその扱いを問う

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 戸惑った顔で会場に戻ってきた私に気を遣ったのか、また別の知らないアイドルが「無理だったら、音源のチェックだけでもいいですよ」と声をかけてきましたが、どのみち音源チェックだけでもセットリストはバレてしまうので、滅多に見せるものでもないし……どうせやるなら面白くやろう!と、結局、リハーサルも人に見せるようにきっちりやりました。

 正直、マンガを読んだりご飯を食べたりしている人たちの前でリハーサルをするのは複雑な気持ちでした。マイク越しに「このイベントはいつもこうなの?」と聞くと、夢中で何かを食べていた観客が顔をあげて、メガネを曇らせながら、「はい」みたいな、「はあ」みたいな返事をしてきました。

 しかし、足を運んでくれている観客に内部の事情は関係ありません。私たちはきちんとライブをするだけです。もうすぐ開演の時間だし、「気を取り直して頑張ろう」と、思った矢先、またもや知らないアイドルから、今度は「すいません、受付やってくれませんか?」と言われました。

 いやいや、ちょっと待ってくださいよ!

 だいたい、なんでさっきからリハーサルのタイムキーパーも仕切りも女の子がやってるんですか。しかも、よく見ると私のことを誘ってくれた子も演者全員に挨拶したり、セットリスト表を配ったりして忙しそうだぞ……。

 これは……もしかしてスタッフさんいないの?

(ああ、なんてひどいんだ。通常の地下アイドルライブはもっとしっかりしてますからね! 安心して遊びに来てくださいね。)

 これを見かねた音響と照明をひとりで担当していた男性が、受付とチケット代の管理まで始めて、もうあ然。おーい、主催者でてこーい。

 本番が始まってからも、「今からアイドルたちがメニュー持ってくのでご飯注文してくださーい」という聞いてないイベントが始まったり(え、私も持って行かなきゃいけないの?)、「500円払えば、その場で好きな妖精さんが可愛い声で台詞を言ってくれます!」というアナウンスもあり(これは妖精じゃないからやらなくて大丈夫だよね……?)、場を仕切る主催者がいないせいかアイドルたちが盛り上がり、聞いてないよ!のオンパレードでした。

 終演後に誘ってくれたアイドルの子から謝られ、なんでこの子が謝罪までしなくちゃいけないのかと怒りに打ち震えていたところ、「姫乃ちゃんお疲れ様ー。元気い?」と、ようやくのんきに顔を出してきた主催者が、そこそこ長い知り合いだったのでひっくり返りました。

 彼とはあれから会っていません。地下アイドルって、なんなんでしょうね。

●姫乃たま
1993年、下北沢生まれ。日本の地下アイドル。都内でのライブ活動を中心にライター、司会、DJとして活動しているミス器用貧乏。売れる兆しなし。
[地下アイドル姫乃たまの恥ずかしいブログ]http://himeeeno.hatenablog.com/
[姫乃たまのあしたまにゃーな]http://ameblo.jp/love-himeno/
[twitter]https://twitter.com/Himeeeno

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