BLで売れっ子作家になるにはどうすればいいの? ヤマシタトモコ、佐藤秀峰らに学ぶ

 BL界では作品よりも作家買いする読者が多いため、かつてBLマンガ家は爆発的な大ヒットとまではいかなくても安定した成果が残せていた。しかし時代も変わり、今や一大市場となったBLで作家として生き残っていくことはなかなか難しい。それは、10年以上もBLを描いてきた天城れのも同じ。そんな彼女は、4月10日に発売されたコミックエッセイ『BL描いても売れません -マンガ家やめてもいいですか-』(リブレ出版)で、担当から「売れてない天城さんの本はただただ倉庫代を食うだけ」と言われ、なんとその本が粉砕機に入れられて断裁される様を見学させられる。そして、その悲しみを繰り返さないために売れっ子作家などをゲストに招き、「売れっ子になるにはどうしたらいいんだよ、教えろよ!」と迫っているようなので、そこから売れっ子作家自身が語る“売れっ子になるためのポイント”を紹介してみよう。

 まずはBLだけでなく、社交ダンスマンガの『BUTTER!!!』(講談社)や“女”を描いた『ひばりの朝』(祥伝社)など、青年誌や女性向け雑誌でも活躍するヤマシタトモコから。自分より3つも年下のヤマシタに対して、体育会系の年功序列的な考え方が抜けない天城は、先輩キャラとして接する。しかし、結局ヤマシタから「卑屈さを隠さずパワーにして作品にして晴らす!」という教えをもらうのだ。自称「卑屈のデパート」というヤマシタは、「同じ卑屈でいるんなら作品にして晴らす方が気持ちいい」そう。「天城さんも“愛されたい”“嫌われたくない”とか思わず自分が面白いと思ったものをどーんと描きましょうよ!」と明るくアドバイスする姿を見ると、年齢など関係なく、彼女のほうが先輩に見えてくる。

 また、映画化作品も持つマンガ家の古泉智浩は、池袋コミュニティカレッジで四コマやショートマンガを教える講座で講師を務め、マイナー作家が売れるための研究も行っている。そんな彼は当時デビュー10年目の天城に「もう自分の作品が一流メジャーになる夢などお捨てなさい」と、現実を突きつけてくる。その上で彼女に合った売れるための方法として、「売名をしなさい」とアドバイス。「作品が有名じゃなければ自分を有名にすればいい!」と、みうらじゅんや杉作J太郎らを例に挙げて、積極的にいろんな所へ行って顔出しすることを勧める。たしかに、エッセイマンガも手掛ける天城にとってネタのためにも外に出ていくことは必要なので、この方法は合っているのかもしれない。

 さらに、映画化もされた『海猿』(講談社)や『ブラックジャックによろしく』(講談社/『新ブラックジャック~』は小学館)で知られる佐藤秀峰にも、売れる極意を尋ねている。当初、天城は佐藤に対して怖そうというイメージがあったようだが、実際に会ってみると優しい紳士だったとか。売れっ子作家に売れる極意を聞きたいと言うと、「いやいや…僕はもう超売れっ子とかそんなんじゃないですよ…」ととても謙虚に答えていた。さらに「僕がいつか筆を置いた時にスタッフに退職金を支払うために…まだまだ頑張りたいとは思っているんです」と口にし、誰よりもスタッフのことを考えていることもわかった。この謙虚さとスタッフ思いなところは、ぜひ見習いたいところだろう。

 天城は実際にもらったアドバイスを実践し、売れっ子作家になることができるのか? 彼女のこれからにも注目したい。
(文/田口いなす)

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