誰も語らないパチンコの中のアニメ 第5回

もはや公式二次創作!? 『CRルパン三世』がつかんだ、“パチンコで物語を描く”可能性

2014.05.11

――アニメの製作費がパチンコの売上で成り立つなど、今やパチンコとアニメ・マンガといったコンテンツの関係は、切っても切り離せないものとなっている。しかしこれまで、パチンコ台で流れるアニメについて語られることは、ほとんどなかった。この連載では、そんな〈誰も語らないパチンコの中の“アニメ”〉<映像コンテンツとしてのパチンコ>について考える。

【第4回】
原作の再現を試みた『CRめぞん一刻』…ドラマ性を追求したパチンコがヒットを生めない理由とは?

 前回はパチンコと物語が、遊戯の特性的にも相性が悪いという話をした。コンテンツの入れ物としてのパチンコ機は、物語を表現するのに十分な実力を持っている。個人的な感想が許されるのであれば、前回触れた『CRめぞん一刻』シリーズは、遊戯しながら涙ぐんでしまうほどいい出来だった。

 だが、一度エンディングまでたどり着いてしまえば、物語は終わりだ。快感をループさせなくてはならないパチンコという遊戯において、こういったタイプの達成感は決して相性がいいとはいえないだろう。ドラマに特化したパチンコ機がなかなかメインストリームになりえなかったのは、そういう背景もあったかもしれない。

 そんな中、2013年の暮れに登場したのが『CRルパン三世 ~消されたルパン~』だった。

 もともと『ルパン三世』はパチンコとアニメのタイアップ機の先駆けといわれるタイトルであり、『アントニオ猪木』シリーズと並んで、パチンコ・スロットメーカーである平和の代表作のひとつだ。そういう意味で、そもそも歴史的シリーズといってもいいし、新作が出るたびに一定の話題を呼んできた。

 特に05年の『CRルパン三世 タマダス島に眠る財宝』以降は、積極的にドラマ性を取り込んでおり、それぞれが1本の映画のようにストーリーを持つ作品となっている。『タマダス島~』は、ルパン、不二子、銭形の3バージョンを同時リリースし、それぞれの機種で三人三様の視点で同じ物語を追うという非常に凝ったつくりだった。そして、10年の『CRルパン三世 徳川の秘宝を追え』では、全編描き下ろしの完全オリジナルストーリーと銘打って、連チャン中にストーリーが進んでいく映画的な演出を取り込んでいる。以前この連載で「CR『エヴァ』シリーズは、『新世紀エヴァンゲリオン』の世界を再現することを目指した」と書いたが、そういう文脈で語るならば、『CRルパン』シリーズは、『ルパン三世』という物語の新しい作り手となったといってもいい。完全なアニメーション作品とはいいがたいにせよ、すでに本シリーズはルパン三世の新作ストーリーの担い手になっている。

 おそらく、『ルパン三世』という作品自体が、パチンコと相性のいい作品だったという理由もあるだろう。『北斗の拳』シリーズについて書いたときにも触れたが、パチンコという遊戯は、その遊戯時間の大半をドラマと無縁の演出と過ごすことになる。だから、ドラマ性だけではなく、日常パートが重要になってくる。

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