“声援”以外に出来ることを! 「児童ポルノ」呼称変更キャンペーンに垣間見える限界

 4月25日に本サイトでも報じた署名活動「児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください」(記事参照)が、苦しい道を歩んでいる。発案者による徒手空拳の活動は続いているが、それに対するマンガ・アニメファンのリアクションは「声援」だけなのだろうか――。

 署名キャンペーンサイト「change.org」を利用して行われているこの活動は、簡単にいえば、「児童ポルノ」という名称によって法律の本来の目的が不明瞭になっている状況の改善を求めるものだ。

 児童ポルノ法の法律名、そして条文中でも使われている「児童ポルノ」の部分を「児童性虐待記録物」と変更するだけでも効果は高いだろう。「児童ポルノ」が、実際の児童への性虐待の記録物を対象にしているという認識が浸透し、マンガ・アニメなどの創作物までもが面白半分に「児童ポルノ」と呼ばれている状況が変わると思われるからだ。

 しかし、4月12日に同キャンペーンが始まってから、5月8日時点での署名数は8000人超。目標の2万人までは、まだまだ遠い状況である。
 
 それでも、この署名活動には注目すべき点がある。それは、この活動はほぼ一人の男によって告知活動、そして集まった署名を議員に渡すことまでが行われているからである。この活動を始めたのは、フリーライターの廣田恵介氏だ。廣田氏は、この署名活動の真の目的を次のように語る。

「ボクもなにか議員とのコネがあるわけではありません。でも、署名を集めて議員会館を訪問して、集まった署名を手渡すことはできています。それを通じて、一人のオタクがどこまでやれるかを見せているんです。ぜひ、大勢の人にボクの真似をしてほしいんです」

 実のところ、多くの声援、そして署名の呼びかけをツイッターなどで拡散する人はいる。けれども、実際に廣田氏のように、なにがしかリアルで自分が出来る活動を見つけて、能動的に動き出す人はほとんどいない。

「“この議員に接触してはどうでしょう”という意見をツイッターを使って提案して来る人もいましたが、あなたが行くべきだと答えました。そのほうがボクの手間も省けるし、なによりその人にとって貴重な体験にもなると思うんです」

 署名の実数は停滞から微増を行き来する状況が続く。果たして、本当に当初の目標の2万筆を達成できるかは、廣田氏も「読み切れない」と話す。

「(このキャンペーンについて)ボク個人がやっていることなので警戒心もあるでしょうし、冷めた雰囲気も感じます。それに、新聞報道などで二次元規制の項目が外れたことで、早くも“完全勝利”のように話す人もいます。けれど、これだったもう署名しなくていいと思っている人は、後悔しないでほしいものです」

 これまでも、児童ポルノ法などマンガ・アニメの表現の自由をめぐる問題に注目が集まった時に、新たな“運動”を起こそうという人は存在した。けれどそれは、半ば誇大妄想的に“団体”を立ち上げることをいきなりぶち上げるとか、とにかくトンデモなことが多かった。

 それに対して、廣田氏の活動は最初から群れることをしない点で注目に値する。もうツイッターに書き込む手を止めて、なにか自ら出来ることを考える時期がやってきているのではないか?
(取材・文/昼間 たかし)
 
■「児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください。」キャンペーンページ
http://www.change.org/ja/キャンペーン/衆議院-参議院の全国会議員721名-児童ポルノではなく-児童性虐待記録物-と呼んでください

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