Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第11回

『ドラゴンボール』は最後のほうはネタ切れ感半端ない!と思っていたが、読み返すと最後まで面白かった件

2014.05.15

――今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

(イラスト/村田らむ)

 7編にわけて紹介してきた、名作プレイバック『ドラゴンボール Kindleカラー版』も今回の魔人ブウ編で最終回である。

 思えば、『ドラゴンボール』が始まった当初、僕は小学校6年生だったのに、そろそろ大学を卒業する歳になった。まあ、相変わらずモテてはいなかった。

 セル編が終わり、『ドラゴンボール』の主人公は、孫悟空から孫悟飯にバトンタッチした。

 一般社会ではスーパーマン以上の力を持つ孫悟飯が、高校生活を送る話である。普段は地味な高校生が、ダサいスーパーヒーローに変身して、悪を退治する。鳥山明の短篇にありがちなストーリーである。つまらなくはないのだが、正直僕の周りでは評判はよくなかった。

 物語に揺さぶりをかけるために、主人公を孫悟空から孫悟飯に変えたのだと思うが、孫悟飯は、主人公としては優等生すぎるし、背負っている過去も特にない。ちょっと魅力が足りなかったと思う。

 新キャラクターとしては、悟飯の弟の孫悟天が登場した。セル編の時に、悟空がチチに仕込んだ子供である。性欲全くないように見えて、やることやってるよな〜悟空。クリリンも17号と結婚したし、ベジータ&ブルマもツンデレ夫婦だが仲睦まじい感じ。なにげに幸せになってるキャラが多いな。
 
 ……ただし、ヤムチャ以外。

 で、「孫悟飯だけでは『ドラゴンボール』を支えきれない!!」と判断したのか、すぐにあの世から、孫悟空が戻ってくることになった。『ドラゴンボール』における死後の世界は、ブラジルに出張中のお父さんくらいの感覚である。

 悟空の主人公としての貫禄はさすがで、登場するだけで急に面白く感じられるから不思議だ。

 舞台は天下一武道会。全員で飛行機で移動する時、チチが隣りに座ったヤムチャに、

「ヤムチャさんは出場しねえのか?」

と話しかけている。

「出るわけありませんよ ハジかくだけですからね」

と、敬語で答えるヤムチャ。初めて会った時、チチの後頭部をぶん殴って気絶させてたのとかもう忘れちゃってるんだろうなあ。ヤムチャも作者も。

 天下一武道会には途中で横槍が入り、ラスボスである魔人ブウの封印が解かれることとなる。

『ドラゴンボール』においての戦闘は、持っているパワーが強いほうが勝つという、単純なものだ。『ジョジョの奇妙な冒険』や、『ハンター×ハンター』の戦闘のように、工夫や相性で勝負が決まることはほとんどない。そのため、とにかくものすごい勢いでパワーアップのインフレが加速していく。

 初期の『ドラゴンボール』では亀仙人がぶっちぎりで強かったが、ブウ編になってはもう、普通のお爺さんと変わらないほど差が開いてしまった。地球人としては最強、悟空の盟友として頑張ったクリリンも、ブウ編ではほとんど活躍なし。敵であるブウ、サイヤ人の悟空、ベジータ、サイヤ人の息子である悟飯、悟天、トランクスがいかに強くなるかの話だ。

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