「若手アニメーター等人材育成事業」はJAniCAから日本動画協会へ 一般社団法人アニメミライの未来は?

「若手アニメーター等人材育成事業」については、そもそも初回10年からのJAniCAの採択についても順風満帆ではなかった。当時、某SF映画になぞらえた怪文が出回っていたが、怪文としてボカすまでもなく異論激論で紛糾していたので、覚えている人も多いだろう。JAniCAを07年に創設したスタジオライブ代表・芦田豊雄さんは、11年に他界した。芦田さんはテレビシリーズ『魔神英雄伝ワタル』などで知られたアニメーターである。今回の新たな動きに対し、生きていたら何を思うだろうか。

 本事業は動画協会の受託となったことで、クリエイター側から制作会社側の運営へ移行することになった。そこまで劇的な変化はないものの、今後の動向が気になるところである。ちなみに動画協会は、11年に東京国際アニメフェアのクリエイターズワールド出展者を対象とした「アニメ・パイロット版作品 制作支援プロジェクト」を実施したこともある。またアニメミライ2013では、クリエイターズワールドにも出展経験のある者が監督する作品が発表後に差し替わる事態が起きていた。それだけに法人格を持つ個人や中小企業にも門戸が開くことが期待される。

 とはいえアニメーター育成であるので、監督よりも作画監督(以下、作監)がキモになっている。ただでさえ人材不足のところに、本事業で腕のあるアニメーターが作監として拘束されてしまうのは本末転倒ではないかとの意見もある。その観点からすると大好評を得た『リトルウィッチアカデミア』のように、連作化にメドがつくような企画でないと割に合わないかもしれない。

 このほかアニメーター育成に関しては、本事業とは別の「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」内でも行われている。こちらには森ビルが受託した一環として実施されている「アニメーションブートキャンプ」がある。大学生および専門学校生を対象とした合宿形式のワークショップで、業界一流のアニメーターが指導するとあって侮れない。

 なお、先に「今回は行われないのではないか?」と噂されていた理由として、JAniCAとは別に、1月22日に一般社団法人アニメミライの設立が発表されたことも背景にある。同法人は、今春からの活動開始を表明していた。これまで完成した作品の権利は、全て制作した各社に帰属するため、今後こちらでは、引き続きそれらの作品のプロモーションが行われることになるに違いない。仮にこちらでも企画の公募が開始されるとなると、選択肢は増えることになるが今のところ不明だ。
(文/真狩祐志)

■日本アニメーター・演出協会
http://www.janica.jp/
■日本動画協会
http://www.aja.gr.jp/
■アニメミライ
http://animemirai.jp/

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