──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。
#飛行機撮影現場で交わされるディープな用語 Vol.3
今回もまた、前回までに引き続き、飛行機撮影現場で交わされるディープな用語を。
今回は機種名についてお話していきたいと思いますが、最も一般的な旅客機の愛称は、やはり「ジャンボ」でしょうか。先ごろ、2014年3月末を持ってANAのボーイング747-400Dが定期便から退役し、多くのイベントが催されましたが、「ジャンボ」はこのボーイング747の愛称です。飛行機撮影の現場では、さらに型式名を分類するため、「400」や「クラシック(-100型~-300型)」などと呼ばれることもありますが、747全般を指す時には「ジャンボ」と言うのが飛行機好きの間でも定着しています。しかし、飛行機の話の流れからこの愛称が出るのは良いのですが、突然「ジャンボ引退するんだよ」などと言ってしまうと、ウチのオカンのように「あら……まだできそうなのにね」とゴルフの話と勘違いする人もいるので注意が必要です。
旅客機の型式名は、その多くが「A330-300」のように、先頭に社名(A=エアバス)、次に機種名(330)、最後に派生型などのダッシュナンバー(-300)で表されます。日本でよく見るボーイング社やエアバス社製の機体は機種名にある程度の規則性(ボーイング7◯7、エアバス3◯◯など◯の中の数字が変化しながらシリーズを形成してきている)があるため、撮影現場での呼び名もボーイング787であれば「ナナハチ」、エアバスA380であれば「サンハチマル」などと呼ばれています。さらに、ダッシュナンバーまで分かるように呼ぶ場合は、ボーイング767-300であれば「ナナロクサン」、エアバスA340-600であれば「サンヨンロク」と呼称。中にはボーイング777のように「トリプル(トリプルセブンの略)」と呼ばれるものもあり、このトリプルを型式名も含め呼ぶ場合は「トリサン(777-300)」と呼びます。
また、ANAの時刻表を見ると、以前はボーイング767を「B6(ビーロク)」、ボーイング727を「B2(ビーツー)」と記載していたため、最新のボーイング787も「B8(ビーハチ)」と呼ぶ人も少なくありません。ビーハチは良いですが、「ビーゴ(ボーイング757)」や「エーサン(エアバスA300)」というと、聞く人によっては用紙サイズを思い浮かべるかもしれませんね。その他、ジャンボと同様に愛称が定着している例(ロッキード L-1011=トライスター、An-225=ムリーヤ)もありますが、大抵は機種名の数字部分のみで呼んだり、社名のアルファベットを1文字だけに略して呼んだりする場合が多いようです。
最後に、スペシャルカラー機にも飛行機撮影現場ならではの愛称が付けられる場合があります。「ポケモ◯ジェット」など、そのまま呼ばれる機体も多いですが、2007年にANAが中国線就航20周年を記念してデビューさせた「FLY!パンダ号」は、見る角度にもよるのでしょうか……デビュー直後から「うしくん」「ホルスタイン」と呼ばれてしまっていたり、どこの航空会社とは言いませんが、カラーリングの模様が和彫りの刺青模様に似ているため「刺青ジェット」と呼ばれてしまう例もあったりします。もちろん、これらも飛行機を愛するが故の愛称。飛行機撮影現場では、こういった楽しい愛称を持ち寄り、ファンはみんなで楽しんでいたりするのです。
●A☆50/Akira Igarashi
フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中! ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。
「ホルスタイン」に「刺青ジェット」etc…親しみやすい愛称も飛び交う飛行機の呼称のページです。おたぽるは、人気連載、飛行機、連載、Akira Igarashi、A☆50、飛撮仕事人の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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