“ミニシアターVS.シネコン”の構図に異変!? “攻防”から“興亡”が課題の映画館運営事情

 そうした事例のなかに、メディア企業が運営する映画館が出てきたのも興味深い。昨年「キネマ旬報」(キネマ旬報社)の運営で千葉県柏市に「TKPシアター柏」が開館、今年は4月26日に「映画.com」の運営で神奈川県厚木市に「映画.comシネマ」が開館になる(「TKPシアター柏」はJRと東武の柏駅に位置する柏高島屋ステーションモール内にあった「柏ステーションシアター」を改装、「映画.comシネマ」(デジタルプラス)は同じく4月26日にオープンするアミューあつぎ内に新設したものになる。なおアミューあつぎの立地は厚木PARCOの跡地で、厚木PARCO内には「厚木テアトルシネパーク」があった)。

 また大手の東宝でも1987年から有楽町の「シャンテシネ(現:TOHOシネマズシャンテ)」など、小規模興行の作品を扱う映画館も運営していたが、2003年開館の「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」も東京国際映画祭の会場となっているなどで、ミニシアター系の作品を意欲的に扱っていることが知られている。そして新宿コマ劇場跡に来春開館する「TOHOシネマズ新宿」も六本木と同様のコンセプトになる予定である(今春開館した「TOHOシネマズ日本橋」では、こけら落としとして東京アニメアワードフェスティバルが開催されたことでも注目されたが、同時期に東京ビッグサイトで開催されたAnimeJapan 2014との移動の関係上、来年の会場は埼京線が直通している新宿のほうが便利ではないかとも囁かれている)。

 映画館の運営については、ミニシアターと大手シネコンとの構図でも語られやすいが、それ以前に映画館全体の来客数が大幅に減っていることが根本的な問題となっている。“劇場”と呼ばれながら映画しか扱っていなかったところでも、ネット中継によるライブビューイングなどの多目的化で、皮肉にも面目躍如といった感もある。こうした背景から系列の枠を超えた作品上映のケースのように、すでに各館の攻防よりも映画興行業界全体の興亡に関わる対策が急務となっている。

 個々の対策でなく連携の事例としては、6月6日から8日の3日間、池袋で初開催される池袋シネマチ祭がある。こちらは「シネマサンシャイン池袋」「池袋シネマ・ロサ」「新文芸坐」「池袋HUMAXシネマズ」「シネ・リーブル池袋」の5館をメインに、後援には東宝、東映、松竹、KADOKAWAなどの名も並んでいる。当イベントはどちらかというと地域振興ではあるものの、一連の映画館の運営事情を踏まえて眺めると、また異なる側面が見えてくるに違いない。
(文/真狩祐志)

■吉祥寺バウスシアター
http://www.baustheater.com/
■シネマパニック宮古島
http://zumi-miyako.com/cp/
■池袋シネマチ祭
http://www.cinemachi.jp/

アニメ映画ヒットの法則

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ミニシアターからヒットした作品もいっぱいありますし。

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