アニメ『ピンポン』が、10周年を迎えた「ノイタミナ」を革新する!?　深夜アニメ第1話全レビュー!!【10日(木)編】

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【2014年 春の新作アニメ特集はこちら】

　4月より放映開始された深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ　闇夜の千本ノック」！　※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

■『ピンポン THE ANIMATION』
第1話「風の音がジャマをしている」

『ピンポン』公式HPより。

　小学館「ビッグスピリッツコミック」刊、松本大洋原作の原作マンガを、湯浅政明監督と制作・タツノコプロによりアニメ化。

　星野裕（ペコ）は自由奔放かつ自信家な性格の持ち主。月本誠（スマイル）は感情を表に出さないクールな男。子供時代ペコに誘われ卓球を始めたスマイルだが、今では二人とも片瀬高校の卓球部に所属している。ある日、近隣の辻堂学院高校に中国からの強豪卓球留学生がやって来るとの噂を聞きつけた二人は、放課後の部活をサボって偵察に出かけることにしたのだが……。

　フジテレビ系列で深夜アニメのオルタナティブな可能性を模索してきた「ノイタミナ」が10週年を迎えました。次のステージへ向けた新たな第一作ともいえるのが、この『ピンポン』です。

　いやーこれは凄い。一見して画面の情報量に圧倒されます。多用される斜めパースの構図、震えたような描線など湯浅政明監督作品の特徴を兼ね備えながらも、背景の着彩タッチなど仕上がりはあくまで松本大洋作品の味わい。両者の持ち味がシームレスに融合しながら、新たなアニメ作品として成立しているというミラクルな仕上がり。これはシリーズ構成と絵コンテを湯浅監督自身が担当し、原作を読みながら直接コンテに起こすという手順を取っているからだと思われます。

　キャスティング面でもスマイル役に若手のホープ・内山昂輝さんを配するのに対し、もう一人の主人公ペコには、歌舞伎囃子方の仕事もこなす異色の新人・片山福十郎を起用するなど、意外性のある試みをしています。ペコの演技はいい感じに力が抜けつつも、やる気が無いわけではないという絶妙な高校生感が出ていると感じます。

　これは新たな名作アニメの定番、スタンダードが生まれた予感がします。「夜中にテレビつけたら変なアニメやってるけど面白いなこれ？」という、一般人への喚起を促す意味では最大級のフックを持っている逸品です。またアニメ制作の現場にいる業界人にとっても、注目すべき一作であるのは間違いないと思いました。

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（文／出口ナオト）

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