イギリス最強のオタクスタッフたちが再結集!? 中年男たちが宇宙人と戦う珍映画 『ワールズ・エンド』の“大胆な結末”

2014.04.17

(C)Focus Features

 先週末に封切られた映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』が、ここ日本でも盛り上がっているようだ。アニメとゲームの影響をモロに受けたカナダのカルト・コミックを実写映画化した『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010年)など、徹底したオタク志向のコメディ映画によって熱狂的な支持を獲得してきたイギリスの映画監督、エドガー・ライト。その彼が、日本でも大ヒットを記録した『ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン!‐』(07年)の面々――サイモン・ペッグやニック・フロストといった仲間たちと再び一堂に会して撮り上げた新作映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』。“オタク志向のコメディ映画”とはいってみたものの、それは果たしてどんな映画なのだろうか?

 往年のポリス・アクション映画に対する“憧れ”をストレートに表明しながら、いつの間にか死屍累々のゾンビ映画になっていくという、ほとんど“入り口”と“出口”の異なる素っ頓狂な内容が話題となった『ホット・ファズ』。それと同じように今回もまた、その内容は決して一筋縄ではいかない盛りだくさんなものとなっている。一見すると、いわゆる“再会(リユニオン)もの”であるようにも思える本作。もはや中年となった男が昔の仲間たちと再会し、かつてのようなバカ騒ぎを繰り広げるといった物語。しかし、決してそれだけには終わらないのが、この最強トリオ――「エドガー・ライト(監督・脚本)×サイモン・ペッグ(主演・脚本)×ニック・フロスト(主演)」の真骨頂なのである。

「自由が欲しい。好きなことをやれる自由だ。酔っぱらって騒いでやる!」――そんな威勢の良い言葉で幕を開ける本作。とはいえ、主人公ゲイリー(サイモン・ペッグ)を取り巻く状況は、必ずしもパッとしたものではない。齢40近くにして未婚&子なし、それどころか日々の仕事もままならない状況。どちらかといえば、最悪の状況である。「こんなの本当の俺じゃない!」。いわゆる“中年の危機”に陥った彼がふと思いついたのは、かつて仲間たちと一緒にトライするも成し遂げることのできなかった“あること”に、再挑戦することだった。思えば、あそこが人生の分かれ目だった。あれを達成していたら、俺の人生、きっとこんなじゃなかった!

 そんな勝手な思い込みのもと、昔の仲間たちを訪ね歩くゲイリー。しかし、久しぶりに現れては昔のままの傍若無人っぷりを披露するゲイリーに、アンディ(ニック・フロスト)をはじめとする旧友たちは、ただ困惑するばかりである。とはいえ、彼らもまた、必ずしも今の生活に満足しているわけではなかった。代わり映えのしない日常を打ち破る非日常の経験を、彼らも心のどこかで求めていたのだ。やがて、ゲイリーの説得に渋々応じた一行は、“あること”を成し遂げるべく、懐かしの地元へと舞い戻って来る。ところで、“あること”ってなんなのか? それは、“一晩で12軒のパブをハシゴ酒すること”である! えっ、そんなことなの?

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