「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」

『監督不行届』では「戦え!ウルトラマン」が聞きたかった!! 深夜アニメ第1話全レビュー!!【3日木曜編】

2014.04.06

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 本年最初の大型企画として「おたぽる」が放った「新作深夜アニメ怒涛の第1話全レビュー!!」がパワーアップして帰ってきました! 4月スタート、30作を越える新作アニメを片っ端から総レビューしてオススメ作品をコンセルジュする「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」の復活です!! スタートダッシュの今回は3日(木)編をお送りします! ※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

■『ブレイドアンドソウル
第1話「道」

 原作:NCSOFT、原案:エヌシージャパンによるMMORPG(オンラインRPG)を元に、竹内浩志監督とコンセプト設計・浜崎博嗣、アニメーション制作・GONZOでアニメ化。

 師匠ホンを殺した「濁気」の使い手ジン・ヴァレルに復讐すべく漂泊の旅をする女剣士アルカ。彼女もまた一撃必殺の技を持つ暗殺集団「剱一族」出身であった。旅を続ける中、さまざまな人々との出会いを重ねるアルカは、やがて自らの中に人間らしい感情を取り戻しつつあるのを感じてゆく。

 韓国やアジア各国でヒットし、他に類を見ないアクション性の高さが売りのMMORPG『ブレイドアンドソウル』。日本での正式運営はもう少し先になるらしく(現在はベータ版として稼働)、今回のアニメ化は宣伝活動の一環ということのようで、ゲームに負けずにバトル中心の構成となっています。

 とは言うものの第1話にしては作画クオリティも平均レベルで、またゲーム版キャラ原案であるキムヒョンテ氏のデザインとアニメ版キャラデザの印象もやや異なる印象。ストーリーの進行に従い女性キャラが多数登場するのも注目ポイントですが、『クイーンズブレイド』のような肌色多めキャラによるセクシーアクションに期待するとやや肩透かしになりそう。

 しかし「暗殺スキルを持つ主人公が仇を探し復讐の旅を続ける」というメインストーリーは、やり様によってはここしばらくなかった骨太なダークファンタジーに化ける可能性もあるので頑張っていただきたいところ。個人的にはMMORPGの販促アニメを実際のプレイヤーがゲームに集中する深夜帯に流してもあまり効果ないのでは……? と感じてしまいました(笑)。

 なんにせよ、かつてのゼロ年代には深夜アニメの牽引者、覇王ともいうべき怒涛の制作本数を誇っていたGONZO。故郷の深夜帯に錦を飾るべく満を持して帰ってきた! ぐらいの気概を感じさせてほしいところですね。

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■『僕らはみんな河合荘
第1話「たとえば」

 少年画報社刊「ヤングキングアワーズ」連載の宮原るりによる原作マンガを、宮繁之監督とブレインズ・ベース制作によりアニメ化。

 高校一年の宇佐和成は、親の転勤で一人暮らしを始める。引っ越し先の河合荘は古めかしい下宿ふうの作りだったが、大家である住子おばあちゃんの孫が同じ高校に通うあこがれの先輩・河合律であることが判明。律と一つ屋根の下での生活に期待が膨らむ宇佐だったが、しかし河合荘には正体不明の男・城崎や男運のない巨乳OL・錦野など奇妙な個性を持つ住人らも住んでいて……!?

 昨年夏に毎日放送系「アニメイズム」枠で放映された『恋愛ラボ』に続いて、宮原るり原作のアニメ第二弾となる本作。OPの絵コンテを担当したのが、ロボット物やアクション作品が多い米たにヨシトモ氏だったのにちょっとびっくり。作画面では背景の処理やキャラクターのトレス影などが、新海誠監督作品やアニメ映画『ねらわれた学園』を思わせるハイライトを強調した画面構成となっています。

 ヒロイン・律役の花澤香菜さんは、ここのところほぼ毎日どこかのアニメに出演されている超売れっ子ですが、今作では無口ながらもぽそっとつぶやくセリフ一言で宇佐のハートを萌え狂わせるクールな演技をみせており、この配役は悪くないんじゃないでしょうか。さらにキャスト面ではおばあちゃん役の小林沙苗さんも、普段は『いちご100%』北大路さつきや『デュラララ!!』矢霧波江など、美少女や若い女性役で活躍されてる方なので、結構意外性がある登用と言えそうです。

 深夜枠ですが美少女ぞくぞく登場のハーレムものではなく、ライバルとの三角関係もないので、まったりコメディとして女性でも楽しめる一作だと思います(錦野さん絡みで下ネタは連発されますが笑)。

 そうそう、1話のエンドカードは同誌で『ナポレオン』連載中の長谷川哲也さんが担当していたので、このまま「ヤングキングアワーズ」作家陣友達の輪で繋がっていくのか、こちらも興味深いところ。

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■『監督不行届
第1話「花園タックル」

『監督不行届』公式HPより。

 祥伝社刊「FEEL YOUNG」掲載の安野モヨコ原作マンガを、谷東監督とハイパーメディアエグゼクティブディレクターFROGMAN、アニメ制作DLEによってアニメ化。

 テレビ東京系で放映されているアニメ情報バラエティ『あにむす!』内のショートアニメコーナーとして、庵野秀明さんモデルの「カントクくん」、安野モヨコさんモデルの「ロンパース」、実際にご夫婦であるお2人の新婚生活を描いたエッセイマンガをフラッシュアニメで制作した本作。

 劇場映画『鷹の爪』のようなビッグバジェットからこのようなミニマムな仕事までもこなすあたり、さすがはフラッシュアニメ一本サラシに巻いて裸一貫出発して、ついに先日東証マザーズへ上場したDLE社だけのことはありますね。

 主役の2人を庵野監督作品に縁が深い山寺宏一さん・林原めぐみさんが演じていることも話題となっていますが、筆者は何度か庵野監督に取材させていただいた経験があり、結構ご本人の声も聞き慣れているのですが、カントクくんの演技は、一般に知られている『風立ちぬ』での庵野監督と声優・山寺宏一との合わせ技としてなかなかの域だと思いました。

 さて内容的には原作の1話をほぼそのまま映像化したという印象。難を言えば原作も掲載誌は一般女性向けマンガ誌でしたし、“普通の人の目線から見たオタク夫との異文化交流”という『ダーリンは外国人』にも通ずる内容なので、一般人が見られる時間帯での放送だともっとよかったかも……と感じました。

 エンディングは『ルパン三世』ファーストシーズンのパロディを元に、往年のアニメ特撮ソングを『あにむす!』進行役のアニメ大好きユニット・A応Pのメンバーが毎回カバーして歌う趣向。1話では「帰ってきたウルトラマン」でしたが、庵野監督的にはここはやはりNG版主題歌である「戦え!ウルトラマン」にしておくのが正しかったのでないかと……。さらには本編に出てきたオタクネタである「レッツゴーサザエさん、タイムスリップグリコ、同人誌、パンコパ、諸星大二郎」などについて図版と詳細な解説文で解説しているのですが、かなりぎっちりみっちりとつめ込まれているので大画面テレビかつHD画質でないと読み取れないような気がしました。

 ED後のアンノ夫妻とフロッグマンとの対話パートは連続ものとして続いていくようなので、ここはアニメオリジナル部分として期待出来そう。

 実質3分ほどの超ショートアニメなので「旧1号ライダーのスーツと言いながら、コンバーターラングの色が濃くてむしろ桜島1号ぽいじゃないか!」とか、「ミラーナイフのふり真似の手の角度がだいぶ違うぞ!」とか、オタクらしいツッコミをしながら試聴するのが正しい姿勢ではないでしょうか。

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 今回はここまで! 次回は4日(金)スタートの『蟲師 続章』『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』など4本をレビュー予定です。お楽しみにー!!
(文/出口ナオト)

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