Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第9回

『ドラゴンボール』「クリリンのことかーーーっ!!」なかなか活躍できないストレスを一掃した超サイヤ人・悟空の登場

 しかし悟空のクリリンが殺された時の怒りはすさまじい。「ピッコロ大魔王編」でクリリンが殺された時も、後先考えずに敵を追ったが、今回はもっと激しい。1人称はオラからオレになったし、金髪になってしまった。

「おだやかな心をもちながらはげしい怒りによって目覚めた伝説の戦士…超サイヤ人孫悟空だ!!」

なんて、悟空らしからぬ、長い自己紹介までしている。さらに、最後には有名なセリフ

「クリリンのことかーーーっ!!」

と叫んで、クライマックスである。

 ……ヤムチャがナッパに殺された時は、

「ヤムチャのうらみ!!」

って言いながら、バカっと一発殴っただけだったのに。やっぱり兄弟弟子というのは、仲が良いものなんだろうか。

 超サイヤ人になった悟空は、終始フリーザを圧倒して勝利する。主人公の活躍がなかなか見られない……というストレスを長く長くかけた後、一気に見せた悟空の戦いはすさまじかった。

 あらためて読みなおして、この展開は例えば映画『必殺! III 裏か表か』や『許されざる者』などに似ていると思った。わざと主人公が活躍できないストレスを与え、最後に一気に見せる。下手をすると作品が退屈になってしまう可能性があるが、上手く行った時は、ビックリするほど効果的である。見終わった後のスッキリ感はたまらない。カラーで見る「フリーザ編」は、かなり強い迫力があったので、一度見てもらいたい。

 悟空がフリーザを倒し、スッキリした所で、僕も九州の大学に合格した。親から遠く離れての、一人暮らしの始まりである。九州に旅立つ新幹線の中、ウォークマンでゴダイゴを聞きながら、「ジャンプ」を読んでいたのをよく覚えている。

 「フリーザ編」で、大団円的な雰囲気があったので、中学校の頃から続いたドラゴンボールもさすがに最終回かな……? と寂しくなったが、幸いまだ続くことになった。

 次回は、「セル編」である。

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『裏仕事師 儲けのからくり』(12年、三才ブックス)『ホームレス大博覧会』(13年、鹿砦社)など。近著に、マンガ家の北上諭志との共著『デビルズ・ダンディ・ドッグス』(太田出版)、『ゴミ屋敷奮闘記』(鹿砦社)。
●公式ブログ<http://ameblo.jp/rumrumrumrum/

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