ライトノベル・レビュー

アニメ放送直前『魔法科高校の劣等生』(電撃文庫) “俺TUEEEE”系原作ライトノベルの魅力は?

 さて、そんなテレビアニメ『魔法科高校の劣等生』の気になる放送数は、2クール予定だとか。1クール目に文庫1・2巻の入学編、2クール目に文庫3・4巻の九校戦編になるのでは、というのが筆者の予測。ネットの声を拾ってみると、ファンの多くも見解は一致しているようですね。ただし、九校戦編は各文庫500ページもある大容量なだけに、「1クールで終わるのか?」と不安の声が上がっています。

 数ある見どころの中でも、筆者が一番楽しみにしているのは「九校戦」の模様です。全国にある魔法科高校第一校から第九校までが集まって行われる「学校対抗魔法競技大会」は、作者いわく「『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』における三大魔法学校対抗試合やクィディッチにインスパイアされている」とのこと。文庫で読んでいても迫力のあるその戦いは、映像で見てこそ面白いものでしょう。「文庫は読んでいない」という方にも、楽しめるエピソードだと思います。また、九校戦エピソードの裏で、秘密組織と熾烈な攻防を繰り広げる主人公の超人ぶりも見ものですよ。

 書籍化される前からラノベファンから人気の高かった同作。「もっと早くアニメ化されると思っていた」とのファンの意見はもっともでしょう。では、なぜ12巻も刊行されてからようやくアニメ化となったのでしょうか? それは、ここ数年のラノベ&アニメ人気が、あからさまな萌えとエロ、そしてハーレムに傾いていたからかもしれません。あらかた流行を堪能したラノベ&アニメファンに聞けば、「今求めているのは萌えとハーレムのない重圧なストーリー」と答える人が増えました。前述したように、同作にも萌えは存在します。しかし、それはあくまでストーリーの一環で、次々と登場する美少女たちともほとんどハーレム状態にはなりません。同作と時代のニーズがようやくかみ合った、それが「同作が今アニメ化となった理由」だと筆者は考えています。

 アニメのキャラクターデザインが発表され、ファンの間では「のっぺりしてない?」と不評の声が上がっています。確かにやや淡泊な印象もありますが、筆者は原作よりアニメ作画のほうが好み。これでテレビ放送中に作画くずれさえなければ言うことなしですね。

「魔法だからなんでもあり」といったご都合主義を一切排除し、「幸運に頼らず自分の力でトラブルを踏み越えていく物語」を綴っているという同作。丁寧に組み立てられていくピースは、最後にどんな画をファンたちに見せてくれるのでしょうか? アニメ化が吉とでるか凶とでるか、筆者も原作の一ファンとして見守っていきたいと思います!
(文/牧野絵美)

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魔法科高校の劣等生
作者:佐島勤
出版社:KADOKAWAアスキー・メディアワークス
レーベル:電撃文庫
巻数:12巻(続刊)

■アニメ『魔法科高校の劣等生』公式サイト
http://mahouka.jp/

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

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