ライトノベル・レビュー

アニメ放送直前『魔法科高校の劣等生』(電撃文庫) “俺TUEEEE”系原作ライトノベルの魅力は?

■『魔法科高校の劣等生
【読みやすさ】★★☆☆☆
【妹萌え度】★★★★★
【ハーレム度】★★★☆☆
【バトル爽快度】★★★★☆

――オンライン小説から電撃文庫へ。

 空前の大ヒット『ソードアート・オンライン』(KADOKAWA/川原礫)に続き、オンライン小説としては2作目の書籍化となるライトノベル『魔法科高校の劣等生』(KADOKAWA/佐島勤)が、2014年春ついにアニメ化されます!!
 
 原作は、ウェブサイト「小説家になろう」にて累計3000万PVを超えたオンライン小説です。テーマにある“魔法学園”という構想は、「『ハリー・ポッター』や『魔術士オーフェン』からの影響が大きい」と原作者談。また、佐島氏自身が「この小説は、SFジュブナイル小説を意識して書いている」と語るように、現代ラノベの作風としてはやや型破りでしょう。魔力と科学が融合したファンタジーもの、とだけ聞けば流行りのラノベに感じるかもしれません。しかし、「人間の潜在能力である“超能力”を100年後の未来では“魔法”と呼ぶようになった」とする設定の作り込み方は圧巻! 組み立てられていく独自の科学的証明には、いつか本当にそんな未来が訪れそうな気さえします。

 ただ、説明的な文章が多く、少し読みづらいのが残念なところ。会話や戦闘シーンにスピード感があるだけに、急ブレーキをかけられたような感覚に陥ります。一方で、化学や物理学が好きな人にはこの説明的な部分が面白いようですね。

 とはいえ、ラノベに欠かせない“萌え”は健在。特に「妹」というキーワードに心弾む読者には夢のようなストーリーに違いありません。“100人が100人振り返るほどの可憐な妹”が兄妹の一線を越えんばかりに兄を慕っている――なんて実際に兄のいる筆者には空恐ろしい設定も、物語として読めば妄想全開で面白い!!

 しかし、同作において筆者が一番惹きつけられるポイントは、“萌え”ではなく主人公が絶対的強者であり続けるところ。いわゆる“俺TUEEEE”系で、『ソードアート・オンライン』の主人公よりさらに純度は高めといえます。それでいて決して熱くならず、どこまでも淡々と向かい来る敵をいなしていく描写がスタイリッシュです。

 アニメでは、魔法発動時の演出や、魔法と体術を融合させたバトルのスピード感などに期待しています。CAD(術式補助演算機)という、スマホ型や拳銃型の端末を使用して発動する魔法は、筆者の想像の中ではどこか電子的。オールドスタイルの魔法に当てはめるなら、拳銃が杖、スマホが魔法の書といった役割なのかもしれません。同作ならではの“魔法”については言葉で説明されても想像しづらい部分が多く、映像で見るほうがより作品の世界観に浸れそうな気がしています。心配なのは、電子機器を使って魔法を発動する様子が「放電」に見えてしまいそうなところ。せっかくの「魔法」という設定が生きるよう、そのあたりの描写がどのように差別化されているのかにも注目したいと思います。

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

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