『復讐教室』第2巻 復讐規模が少しだけアップ…だけど相変わらず感情移入ができない……

 小説・コミックを中心とした日本最大級の投稿コミュニティ「Eエブリスタ」発のサスペンススリラー(……なのかな?)である『復讐教室』の第二巻が発売された。

 さて、一巻の終わりでようやく人が死ぬ事件が発生し(不可抗力だったけど)、復讐らしい復讐劇が開始され、期待が募った第二巻だが、結果はやはり消化不良……。第八話(劇中では第八人目)でターゲットにされた五十嵐隼人というチビデブのオタク少年に仕向けた復讐は正直、復讐でもなんでもなかった。第二巻で復讐らしい復讐を受けたのは川本大輔に対してのみ。

 川本大輔には五寸釘を敷きつめた落とし穴に落とすという、大人気ソリッドシチュエーションスリラーの『SAW2』でアマンダが注射器のつまった穴に放り投げられて全身注射針だらけになる非常に痛いシーンを思い起こさせたが、せいぜいそれくらい。川本大輔は二巻冒頭で主人公藤沢彩菜をレイプしたし、そのくらいの罰は受けて当然だ。

 『復讐教室』はあくまで学生が起こす復讐劇なので、どうしても『SAW』シリーズのような大規模な装置を導入するなんてのは設定上無理が出るだろうし、学生ならこの程度しかできないかと思える規模でとどまってしまうのもうなずけなくはないが、いまいち物足りなさを感じてしまうのは藤沢彩菜に感情移入できないのも原因にあるだろう。

 なんと言うか……レイプされてもかわいそうと思えない。どんなひどい仕打ちをされても飄々としすぎてる。良く言えば冷静、計算高い。悪く言えばキャラ設定がその場で都合よく切り替わっているように感じられてしまう。復讐の時は復讐キャラ、いじめられている時はいじめられているキャラ、というようにキャラが切り貼りされた印象なのだ。これがもっと二重人格的に上手く描写されていれば変わってくるのだろうが、残念ながらそれがない。これは原作の小説にのっとっているからなのだろうか。

 ここまでほめることなく書いてしまったのだが、第二巻の終わりで新たな展開が垣間見れ、物語に恋愛による嫉妬からの殺人という展開が顔をのぞかせた。『ドクムシ』が非常にスリリングな作品なだけに、第三巻以降はバトルロワイヤルよろしくハードな描写が展開されることを期待しようじゃないか。
(文=Leoneko)
 

復讐教室 (双葉文庫)

復讐教室 (双葉文庫)

原作はもっと設定に無理があるようです。

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