やっぱり『風立ちぬ』? 『銀魂』の大番狂わせに期待!! “2013年最高のアニメ”発表の時が迫る!

 日本最大のアニメ展示イベント「Anime Japan2014」の開催が、いよいよ今週末(3月22、23日)に迫ってきたが、その裏でアニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2014」が3月20日から23日にかけて、TOHOシネマズ日本橋で開催されている。(22日の授賞式・レセプションは東京ビッグサイト・レセプションホールで行われる)

「東京アニメアワードフェスティバル2014」では、過去1年間の間に制作されたアニメーション作品やアニメ制作者に対する表彰が行われる予定だが、やはり日本の多くのアニメファンが気になるのは2012年11月1日から2013年10月31日の1年間に日本国内で上映・放映された全アニメ作品の中からもっとも優秀な作品を表彰する「アニメ オブ ザ イヤー部門」の結果だろう。

 この投票に参加できるのはアニメ業界関係者、そして一般視聴者たち。東京国際アニメフェアで開催されていた過去のグランプリ受賞作品を見れば、『おおかみこどもの雨と雪』(2013年)、『コクリコ坂から』(2012年)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2008年)といった錚々たるタイトルがズラリ。ここで表彰された作品こそ、名実ともにその年を代表する名作といっても過言ではないだろう。

 さて、そこで本年度のノミネート作品を見てみると、劇場映画部門には『風立ちぬ』、『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』、『劇場版あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ』。テレビ部門には『進撃の巨人』、『宇宙兄弟』といったタイトルが並ぶ。

 そこで、今回はどの作品ノミネート作品のレビューと、どの作品がグランプリを獲得するのかを勝手に予測してみたい!

『風立ちぬ』(監督:宮崎駿、公開:2013年7月20日公開)

 実在した同名の航空技術者をモデルにした主人公・堀越二郎の飛行機にかける情熱を描いたヒューマンドラマ。興業収入120億円突破、アカデミー賞長編アニメ映画賞へのノミネートなど、輝かしい記録を打ち立てたヒット作であり、宮崎監督の私小説ともとれる物語は作家論的にも見るべきところはなかなか多かったのではないだろうか。

「嫁を泣かせても仕事に生きる」的なマッチョイズムが主に団塊の世代のお父ちゃんたちのハートをキャッチしたり、戦争賛美という批判の声が上がったり、反戦映画的なメディアで取り上げられたりと(実際には、そんな政治的な思想が盛り込まれた内容じゃないんだけど)一般層へのアピールも大成功した感がある。

 アニメアワードの過去受賞作を見たところ、スタジオジブリ作品──とりわけ宮崎駿監督作品は、例外なくその年のグランプリを受賞している。さらに本作を持って宮崎監督は長編アニメ制作の引退を表明したことで、話題性も十分。というわけで、グランプリの大本命は本作である。

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』(監督:新房昭之、2013年10月26日公開)

 対抗馬としてあげたいのが本作だ。もはや日本のアニメーションにおいては古典的な題材ともいえる「魔法少女もの」というジャンルを、虚淵玄によるハードなストーリー、蒼樹うめによるかわいらしいキャラクター、劇団イヌカレーによるナイトメア的なビジュアルなど様々なフックを用いることで、見事に更新してみせたテレビシリーズ(2011年放映)の続編。テレビシリーズは、これ以上ないくらいに完璧なラストを迎えた『まどか☆マギカ』だけに、その続編がどんなものになるのか……。多くのアニメファンが注目した本作だが、その結末は誰もが予想しない衝撃的なものだった!

 まさに日本のアニメらしいハイブリッドな仕上がりの本作は、グランプリ受賞の対抗馬。言うなればウェルメイドな『風立ちぬ』とハイブリッドな『まどか☆マギカ』という、日本のアニメーション2大潮流の激突ともいえる。

『劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ』(監督:藤田陽一、2013年7月6日公開)

 あえて言おう。『銀魂』が大穴であると! 「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載中のマンガを原作としたアニメ版『銀魂』は涙と笑い、そして熱血が入り乱れた少年マンガの王道を行く作品。本作は、そんなアニメ版の完結編と銘打っているだけあって、総決算とも言える大作感バリバリの仕上がり。興行収入も17億円を突破と好調だった。

 さて『銀魂』といえば、時折過激な時事ネタ、風刺ネタをブッ込んで視聴者の度肝を抜いてきた「問題作」としての側面もあることを忘れてはならない。ここで『銀魂』がグランプリを受賞しようものなら、現在連載中の原作マンガ本編でネタにしないわけがない! 東京アニメアワードの「アニメ オブ ザ イヤー」受賞という、最高のネタを『銀魂』がどういじるのか? それを見るためだけに、グランプリをあげてもいいんじゃないだろうか。いいと言ってくれ。頼む。

 その他のタイトルについても触れておこう。

『劇場版あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(監督:長井龍雪、2013年8月31日公開)は、テレビシリーズの人気を受けて制作された総集編映画だ。作品の人気、話題ともに申し分はないが、追加カットがあるとはいえ「テレビシリーズの総集編」という点でやや不利な気もする。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(監督:庵野秀明、2012年11月17日公開)もまた内容・話題性共に十二分だったのだが、すでにシリーズ第1弾『序』が過去にグランプリを受賞している点、そして、間違いなく大ヒットを記録するであろう完結編の公開が、今後2015年冬予定として控えている点から考慮すると、今回の受賞は見送られ、次回作で受賞する可能性が高い。

 次に、わずか2作品ながらテレビ部門のノミネート作品を見てみよう。

 こちらは『宇宙兄弟』(監督:渡辺歩、読売テレビ・日本テレビ系)、『進撃の巨人』(監督:荒木哲郎、MBS・TOKYO MXほか)という、共に講談社のマンガ原作アニメの一騎打ちという面白い状況だ。ディープなアニメファンとしては『進撃の巨人』一択だろうが、さまざまなメディアミックスが行われ、宇宙開発振興の一翼も担っている『宇宙兄弟』の社会的な影響力も見逃すことはできない。こちらの結果にも注目である。

 なおこの結果は、3月22日に発表される予定だ。どの作品が2013年日本のアニメ界の頂点に立つか? 注目である。
(文/有田シュン[シティ・コネクション])

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