SFお決まりのループ回で親の愛を描いた『スペース☆ダンディ』 視聴者は絶賛!!

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『スペース☆ダンディ』
第10話「明日はきっとトゥモローじゃんよ」

1403_spacedandy10.jpg『スペース☆ダンディ』公式HPより。

【今週の極私的見どころ!】
 今回はSF設定を用いて、脚本・演出共に『スペース☆ダンディ』的でありながら、ちょっと良い話。ループもの好きの筆者には、ドンピシャ! 細やかな地方都市・郊外の雰囲気がよく出ていて、胸を突き刺されました!

【今週のオススメ度】
★★★★☆
(前回のあらすじはこちら)

 今回は第10話にして、アバンでは世界観の説明から! この宇宙では現在、ゴーゴル帝国とジャイクロ帝国という2つの帝国が覇権を争っているとのことです。「今さらかよ!」と、ネットの視聴者も総ツッコミ。ともあれ、そんな抗争の最中、ジャイクロ帝国は「伝説巨大兵器アレー」を稼働させることに成功したのです! って、アレーはどう見ても『伝説巨神イデオン』のイデオンです、本当にありがとうございました。かたや、ゴーゴル帝国も「最終破壊兵器コレー」で迎え撃ちます! しかし、速攻で敗北。ゲル博士(CV:石塚運昇)も「早すぎたんだ…」と、『風の谷のナウシカ』のクロトワばりに愕然とします。爆散したコレ―からは太陽エネルギーが流出し、宇宙の彼方をさまよっていきます……。

 ところ変わって、相変わらずダラダラと自堕落に過ごすダンディ(CV:諏訪部順一)一行。未登録宇宙人を探す途中、アロハ・オエ号の調子が悪くなり、たまたま近くにあった(CV:吉野裕行)の地元・ベテルギウス星で修理をすることとなりました。

 いざ訪れたミャウ(家ではミーくんと呼ばれてます)の実家は、ありふれた大家族。ミャウはその家の長男で、ミャウ父(CV:山路和弘)は町場の旋盤工とのこと。ダンディ一行は、宇宙船の修理が終わるまでミャウ家に滞在することに。ミャウの家でくつろぎながら、ダンディはミャウがこの星を出て行った理由を尋ねます。

「こんな星、ジャスコ以外何もないし…」

 そう答えるミャウ。「ジャスコあんのかwww」と視聴者が突っ込む中、ミャウ家のカレンダーに先の太陽エネルギーが降りかかります! 夜が明けて7月8日、次の日にならないと部品が届かないというアロハオエ号の修理を待ちながら、一行は閑散とした町を散策。旋盤工として働く父親を横目に、スナックで酒をあおります。そこには、ミャウの元クラスメイトで、クラスのアイドルだったケイティちゃん(CV:松来未祐)がホステスとして働いていました。そこに、ミャウのお父さんが来店。なんでも、ミャウのお父さんはいつもスナックでミャウの自慢話ばかりしているそうです。宇宙を股にかけて大活躍をしているとか……。あぁ、切ない……。

 そして夜が明けて、7月8日。だらだらして、アロハ・オエ号を見に行って、ミャウ父の働く姿を見て、スナックで飲んだくれて……ってあれ? そう、実は暴走した太陽エネルギーのせいで、色々あってこの世界がループに突入してしまったそうなのです! しかし、バカ、ボンクラ、ポンコツのダンディ一行はループに気づきません。先のことがなんとなくわかる超能力が身についた! と浮かれる一行は、ナレーション(CV:矢島正明)にそれでは話が進まないと叱責され、ついにループしていることに気づくのでした。

 ループ回だとわかるや視聴者は、ループする一日を8話にわたって見せられるという、伝説の『涼宮ハルヒの憂鬱』「エンドレスエイト」回を想起し、阿鼻叫喚!! ちなみに、筆者は「エンドレスエイト」も楽しめましたし、視聴者も挙げていた『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』しかり、ループものが大好きなので、ワクテカ状態です!

 はてさて、明日が来ないことにはブービーズにも行けないということで、ダンディはループからの脱出を試みます。コンビニ前でたむろするミャウの学生時代の友達の車を借りて宇宙へ飛び立つも爆散! 何事もなかったかのようにまた同じ一日が始まります。

「僕、嫌ですよ。なんでここでずっと同じ日を繰り返さないといけないんですか! この星にいたくないから、出て行ったのに…」

 かつては父に憧れを抱くも、大人になってこの星に嫌気が差していたミャウ。実家で思い出の品(『機動戦士ガンダム』アムロの父、テム・レイの回路そっくり!)を見ながら、物思いにふけります。

 次の日……じゃなかった、同じ日、ミャウは父親の工場を訪れていました。ふと父の仕事を手伝い、熱心に働く父を間近で見るミャウ。ミャウが初めて作ってみたネジは当然不格好なものですが、そんなネジを見てミャウと父は笑い合います。「毎日が同じことの繰り返しのような日々も悪くないかもしれない」そう思い始めるミャウ。

 そんな時、ひょんなことから一行はミャウ家のカレンダーがめくれないことに気づきます。そう、実はこのカレンダーがめくれないせいで明日が訪れなかった! こうして、人類とカレンダーの明日をかけた壮絶な戦いが始まります。

 カレンダーをめくろうと必死な息子の姿を見て、ミャウ父は「めくれば明日が来るかな」と語りかけます。あれ? なんでミャウ父はループしてることを知ってるんでしょうか……? そんな細かいことは気にせず、ミャウ父は、旋盤工の熟練の技術によって、ついにカレンダーをめくり、明日を迎えることに成功するのです! 謎の感動が視聴者を包みます!

 旅立つミャウの背中に、「でっかい宇宙を見てこい」と送り出すミャウ父。ミャウはまた宇宙の大海原へと旅立ちながら、また自堕落な生活に戻るのでした……。



 寂れた地方都市で、繰り返される単調な毎日。それはミャウのような若者にとって退屈なものに映ったのでしょう。かつて憧れていた父親の背中も小さく見え、きっと宇宙に行けば刺激的な毎日があると夢想する。宇宙とは“東京”みたいなものなのですね。でも、地元でこつこつ毎日を過ごす親があってこそ、子どもは宇宙に飛び立っていける。ミャウ父が家族のために積み重ねていた毎日の仕事が、ミャウの旅立ちを後押します。親の愛というものは偉大ですね。

 SFではお決まりのループを、単調な日常と結びつけて描いた今回。視聴者も「良い話だった!」「今日の話は一番好きかもしれない」と大絶賛!! なんとも実家に帰りたくなる回でした! こういう当たり回があるから、『スペース☆ダンディ』の視聴はやめられません!
(文/中目黒日向子)

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