日本アニメの起源を求めて…メディアミックスを探る産学共同プロジェクトは何を産むのか?

 3月11日に東京大学本郷キャンパスの情報学環・福武ホールにて、東京大学大学院情報学環 角川文化振興財団メディア・コンテンツ研究寄付講座開設記念シンポジウム「メディアミックスの歴史と未来」が開催された。

 まずイベントのタイトルが長すぎて何が何やらという気もするが、簡単に解説すると、東京大学大学院情報学環とは東京大学が2000年に大学院として創設した研究組織。それに対してKADOKAWAグループの現会長である角川歴彦氏が理事を務める、角川文化振興財団が寄付を行い、マンガ、アニメ、ゲームなどの日本の文化的コンテンツを学問的に研究する事になったのだ。それがこの「メディア・コンテンツ研究寄付講座」である。

 本イベントのプレスリリースにも「第一線のクリエーターやコンテンツ産業の現場の担い手とコラボレーションし、アミューズメント・メディアを学問的に研究するための新しい学術領域の開拓をめざします」とある。つまりこの「メディア・コンテンツ研究寄附講座」とは、オタク産業の学術的な研究と世界に対する文化発信や交流、人材育成などを目的としており、今回はその第1回目のシンポジウムとなる。本稿では、そのシンポジウムの様子を簡単ながら、紹介しよう。

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 第1部は、発表パネル「東アジア・アニメーションの『起源』」。日中韓それぞれのアニメーション黎明期の作品に“起源”を求めて各国の研究者が発表をするというもの。日本は『桃太郎 海の神兵』(1945年)、中国は『鉄扇公主』(1938年)、韓国は『ホンギルトン』(1967年)といずれも古典作品ばかりだが、この3つの中では中国の『鉄扇公主』が一番古く、中国・上海での公開期間中に日本軍が進駐したタイミングもあって一部では「日本で初めて公開された長編アニメーション」ということになっている。日本の『桃太郎 海の神兵』にしても太平洋戦争中といった戦時のアニメーションであり、1967年に作られた『ホンギルトン』もまた、朝鮮戦争後にクーデターを起こした朴正煕政権下で公開されている。このあたりのセレクションと内容から「戦争とアニメ」に“起源”を求めるのかと思いきや、現状はこれらの作品のディティールを掘り起こす基礎研究の段階のようである。

 さらには発言を求められた、情報学環で特任教授を務める大塚英志氏からは「海賊版無法地帯となっているアジアでは、オリジナルという概念自体がそもそも違う」というちゃぶ台返しな発言が出るなど、なかなか綺麗にはまとまってくれない(笑)。結局は、先駆者であるディズニーからの模倣と各国独自の工夫を加えた上での起源ではあるが、そうした起源の追求は今後も続けられるとのことだ。

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