“描けるマンガ喫茶”に、プロアマ問わず漫画家が結集! 名古屋発『漫画空間』の魅力を直撃!

『漫画空間』の東京進出を思いついてからの加藤さんの動きは早かった。すぐさま上京し、高円寺で物件探し。10月には現在の物件に出会い、その物件を3~4社で競り合うなか、本店の内藤さんに「『漫画空間』の看板を貸していただけないでしょうか?」と直談判。「今まで何件か同じようなお話を頂いたのですが、加藤さんは本気度が違いました。うちのコンセプトに共感していただき、ビジネスとしてのポテンシャルの高さに魅力を感じていただいたのも嬉しいですね。可能性はアイデア次第で限りなく広がりますから」(内藤さん)

 同時に店長の件を深谷さんに打診。それまで面識のなかった2人だが、ひと目で深谷さんの人柄にほれ込んだという加藤さん。

「照れますね(笑)。だけど、最初に(高円寺店の)店長の話があったのは、僕ではなく漫画家の樹崎聖さんなんですよ。彼が09年に書いた『10年メシが食える漫画家入門 悪魔の脚本 魔法のデッサン』(アフタヌーン新書)が売れて、地方講演の話が舞い込むようになり、名古屋の『漫画空間』ともつながりができたのが縁で。ただ、樹崎さんは漫画業界活性化を謳う漫画元気発動計画を主催している方なので、ネット番組の制作やプロデュース業に手いっぱい。そこで、『東京デザイナー学院の同僚に、ちょうどいい人がいる』と僕に話を振ってくれたんです。それが11月下旬あたりかな」(深谷さん)

 その後、無事に物件を押さえ契約。約3週間で内装工事を終えたという。加藤さんが初めて『漫画空間 名古屋本店』を訪れてから約4カ月半後の2月16日、『漫画空間 東京高円寺店』は産声をあげた。初期費用にかかったのはおよそ1000万円。最初の目論見から数百万円オーバーしたが、今後は大阪日本橋店や東京2号店、札幌店を計画中だという。

 オープンまでの経緯があまりに早いことに正直、驚いた。加藤さんは「出会いは水もの。行動を起こさなければ、流れていってしまいますから」と経営者らしい顔を覗かせるが、当の深谷さんに躊躇はなかったのだろうか?

「実は最初に東京デザイナー学院の講師の話を頂いた時も、僕が人に漫画を教えるなんておこがましいと思っていたんです。漫画って自由な発想が求められるものなのに、人に教えられるものなのかな? とも。ところがいざ始めてみると、教科書的教えは存在しなくても、ひとりひとりの生徒の『ここをこうしたい、ああしたい』に応えてあげることができると分かったんです。自分がマンガを描く上での気付きもあるし、講師の仕事が面白くなってきたところで、今度は生徒の質問に継続して応えてあげられないことにジレンマを感じるようになってしまった。現在の勤務体制は週1コマなんですが、例えば生徒のネームを見てあげても、1週間あいだがあけば当然生徒は別の先生にその先の展開について質問に行きますよね? そこで違う答えが返ってきたら生徒は混乱してしまう。だけど、僕が常に学校に居たら、その先生と僕の意図することが実は同じだと説明してあげられるし、混乱を回避できるじゃないですか。そんな思いを抱えていたタイミングでお話を頂いたので、“常にその場所に居る人”になるのも面白いかなと思ったんです」(深谷さん)

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