「見る人のことを考えてない」トリップ感全開の『スペース☆ダンディ』9話に辛辣な声も!?

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『スペース☆ダンディ』
第9話「植物だって生きてるじゃんよ」

1403_spacedandy9.jpg『スペース☆ダンディ』公式HPより。

【今週の極私的見どころ!】
 前回、予告を見て湯浅政明監督が参加するのかと思ってしまったのですが、今回の演出を務めたのは、湯浅監督の『ケモノヅメ』や『カイバ』、『四畳半神話大系』などに参加していたEunyoung Choi(チェ・ウニョン)女史。『カイバ』などを彷彿とする画面作りでしたが、今回はもうトリップ感や浮遊感のあるサイケな画面に酔いしれましょう! ぬるぬると流体のような動きにBGMも相まって、普段刺激されない部分を刺激されますね!!

【今週のオススメ度】
★★★★☆
(前回のあらすじはこちら)

 今日も未登録宇宙人を探すダンディ(CV:諏訪部順一)一行は、実話誌「スペース実話」の情報を頼りに、植物が生い茂る惑星プランタに到着しました。なんでも、惑星プランタには「コードD」という超珍しい宇宙人がいるそうです。QT(CV:佐武宇綺[9nine])が瞬間転送機を操作して、ダンディ、ミャウ(CV:吉野裕行)を惑星プランタへと送り込みます。表情がコロコロ顔文字風に替わるQTが可愛い!! 回を追うごとにQTはどんどん可愛くなってきますね。

 若干テキトーな場所に転送されたため、ダンディとミャウは離れ離れに。たどり着いた先で、惑星プランタに住むモヴィという知能を持つ植物に捕獲されてしまいます。

 ダンディが連れて来られたのは、何かの研究施設のようなところ。そこで、ダンディは、Dr.H(CV:麦人)とその娘・033H(CV:金田朋子)に出会います。033Hと交流を深めるダンディ。ただでさえ脳がとろけそうな映像の中、金朋ボイスが脳に響きます……!

 一方のミャウですが、拘束された場所にモビィたちがどんどん食物を運んでくるのです。これは、歓迎されている……のでしょうか?

 植物と微生物しかいない惑星プランタは、近年進化した植物によって18の州に分かれた植物共和国になっているそう。北半球では、高い知能を持った植物が微生物・マイクロブを労働力として使っており、南半球に住むモヴィはより原始的な生活を送っていました。ダンディは北半球に、ミャウは南半球に転送されたようです。

 Dr.Hいわく、未登録宇宙人「コードD」が放つ強烈な匂いが、植物たちを早く大きく成長させたことによって、今の惑星プランタがあるそう。Dr.Hは、あまりに巨大過ぎるエネルギーを持つコードDを調査する必要があると感じていました。その強すぎる匂いから植物たちがやすやすと近づくことのできないコードDですが、人間であるダンディなら大丈夫かもしれない。目的が一致したダンディとDr.H、033Hは、共に立入禁止となっている北極のエネルギーセンターを目指します。

 途中、コードDをめぐってDr.Hと袂を分かったコカムカの妨害に遭いながらも、ダンディ一行は北極にたどり着きます。道中、一面に広がる植物たちが花粉を飛ばす受粉シーンは圧巻。しかし、ダンディの目が完全にイッちゃってます!! これは完全なバッドトリップなのでは……?

 はてさて、ようやく見つけたコードDは宇宙人ではなく、なんと石ころ(鉱石)。ダンディがコードDを奪取すると、微生物が倒れ始めるなど、惑星プランタ全体で異変が起こります。なんでも、隕石であるコードDの飛来によって、惑星プランタの植物は進化したものの、彼らはコードDをコントロールする術を持たなかった。そして、ダンディがコードDを奪取したことで、植物たちも元の姿へと戻っていってしまうのです。Dr.Hはダンディに「これは終わりではない。これは新しい始まり」と語りかけます。そして、物言わぬ植物になってしまうDr.Hと033H……。ダンディはひとり惑星プランタに立ち尽くします。

 宇宙船に帰還したダンディとミャウ。モヴィに食用として肥え太らされていたミャウでしたが、モヴィも元の植物となったため、なんとか食べられることもありませんでした。……でも、このミャウパートは必要だったんでしょうかね? 世界観描写のため、脚本の都合上という感じが拭えません。ともあれ、「植物にはもうこりごりだぜ」とダンディ。そんなダンディの頭に、宇宙船の椰子の木から実が落ちてきてエンド。



 ……視聴後は奇妙な感覚のみが残りました。多分、今回は画的にも脚本的にも、“惑星プランタという世界”を描くことに注力した回だったのではないでしょうか? ストーリーの大筋に関わってこないミャウパートは惑星内の文化の違いを描写するためにあって、Dr.Hとコカムカの軋轢も惑星プランタの歴史を匂わせるものでした。ギャグもほとんどなく、勧善懲悪のストーリーがあるわけでもなく、ただただ惑星プランタの世界を体験する映像、それが今回の『スペース☆ダンディ』。まさにトリップ(旅)感がメインの回でした。

 ネットでは、「想像力が刺激される」「なんだこの感動は」「独特な世界観が飽きない」といった好意的な感想がある一方で、「スタッフが作りたいものを作って、見る人のことを考えてない」「頭がおかしくなりそう」「いつものお笑いをやってくれ」など、辛辣な意見も目立ちました。しかし、「SF短編っぽい」「『スペース☆ダンディ』だからいい」という声もあるように、筆者も、“こんな回でもアリ”だと思わせる懐の深さが『スペース☆ダンディ』の魅力のように感じます。

 ただし、「『2001年宇宙の旅』のパクリ」という指摘もあったように、話の筋としては既視感が強かったかも。どうせなら2回に分けて、Dr.Hとコカムカの対立の話などを深めてもよかったのでは? 今後の『スペース☆ダンディ』に期待しましょう!
(文/中目黒日向子)

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