これはエロなのか？ ウツなのか？ 闇堕ち展開に視聴者も困惑する『キルラキル』

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――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー！　これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『キルラキル』
第20話「とおく群衆を離れて」

『キルラキル』公式HPより。

【今週の極私的見どころ！】
　纏流子（CV:小清水亜美）の闇堕ち展開にも、アイデンティティクライシスでメンタル崩壊からの無理打ち洗脳の挙句のヤサグレみたいな、まあ不良少女的には王道なのでしょうが、なんかモヤッとするわけです。

　純潔を強引に着せられるところの流子、筆者はあれは完全に無理打ち描写だと思いました。もともと、黄長瀬紬（CV:小西克幸）の初対決でボコられる流子とか、『キルラキル』はセクシャルな暴力表現がけっこう多いなあとは思ってたんですが、ちょっと今回はさすがに「うーん」と思ってしまったわけです。

　とはいえ、着せ替えが起こる展開はやっぱり熱いんだわな。

【今週のオススメ度】
★★★☆☆
（前回のあらすじはこちら）

「生命繊維のバケモノ」だと暴かれた流子はアイデンティティクライシスで、ひどくヤサグレてしまいました。父の仇を討つために旅を始めたはずの流子でしたが、自分を生命繊維のバケモノにしたのもまた父・纏一身＝羅暁の前夫・総一郎だったのですから、無理もありません。

　まさに「触るものみな傷つける」状態。満艦飾マコ（CV:洲崎綾）の説得も、美木杉愛九郎（CV:三木眞一郎）の気遣いにも耳を貸さず、逆に、美木杉を「全部知ってて、涼しい顔して、腹の中ではバケモノ娘とせせら笑ってたんだろう！」と怒鳴りつけます。たしかになー、10代の少女にこういうのはツラいよなー。こうして大人を嫌いになり、斜め目線が身につき盗んだバイクで走りだすんだろうなー。そんな感じで、流子はバイク屋からロケットカウルのバイクを盗み、鬼龍院羅暁（CV:朴ロ美【注：ロは王へんの路】）や針目縫（CV:田村ゆかり）をぶっ潰すため本能字学園へと向かうのでした。

　さて、大阪のNB秘密基地で反攻の機会を伺うNBメンバーと四天王達でしたが、犬牟田宝火（CV:吉野裕行）が本能字学園のシステム侵入、囚われた皐月の様子を察知するのに成功します。そこで、聞こえたのが足の指に仕込んだ秘剣・縛斬の爪が地面を削る音。この音、ウェブでも「一体なんなんだw」という声が上がりますが、ともあれ「反逆の爪を研ぐ音」だそうで。皐月の眼がビカっと光るや否や、以心伝心とばかりビカっと目を輝かせる四天王たち。どうも反撃の狼煙のようです。

　美木杉も、NBの最後の切り札「裸の太陽丸」を起動！ところで「裸の太陽丸」とはなにか？　それは地下秘密基地の真の姿、「ダイグレン」（『天元突破グレンラガン』）みたいな船です。

　その「裸の太陽丸」で四天王とNBもまた、皐月奪還作戦のため本能字学園へと向かいます。

　さて、本能字学園では、流子が懐かしのゴンドラで学園校庭へと突入。縫との戦いになりますが、流子はあっさりと縫の心臓を片太刀バサミで貫きます。血を吐いて倒れるかに見えた縫、しかし、次の瞬間には「なーんてね」と、自分の心臓を取り出すのです。その心臓がまたキラキラ光る生命繊維の心臓。実は針目縫もまた生命繊維の子宮の中で育ったバケモノだったんですね！　こんなんじゃ、もう驚きませんよ。

　戦いの最中に、縫に生命繊維のしつけ糸を縫いつけられていた流子。必死な抵抗も虚しく、糸に誘われて神衣・純潔を強引に着せられ、さながらレイプの様相。その上、羅暁に偽物の幸せな記憶まで植え付けられアヘ顔で闇堕ちする流子。実況民もエロなのかウツなのか、どうしていいのかわからない様子。偽の記憶に表れる安直で平凡な家族こそ、流子の本当に求めていた幸せだったのかと思うとたまりません。

　一方の皐月は縛斬の爪で鎖を断ち切り脱出、本能字学園へと突入した四天王たちに連れられ、「裸の太陽丸」の美木杉たちと合流します。皐月の奪還に成功し大阪へ戻ろうかというその時、「裸の太陽丸」に近づく謎の高速移動物体が。船の甲板に降り立ったのは、神衣・純潔を着た流子。アヒャヒャと笑い「ぶっ壊してやるよ！　なにもかもな！」と叫ぶその顔はまさにゲス顔！　完全にダークサイドです。筆者などは、この流子を、『スターウォーズ・帝国の逆襲』でのルークの別ルートだったのかな、と思いながら見てしまいました。

　そのゲス流子の前に現れたのは、なんと神衣・鮮血を身につけた皐月。皐月+鮮血の姿を認めた流子は、これまたゲス顔で「へえ。そうくるかぁ、お前たち二人が手を組んだわけだぁ」といかにもゲスい声でつぶやくのです。

　鮮血を着た皐月に、ヤサグレた流子がもっとヤサグレてしまう！　でも、この卑屈な感情に耐えられず惨めさが裏返り開き直って、ゲスに追い打ちがかかる感じ、10代の多感さには付きものじゃないでしょうか！　そういう意味では、ぐっとくる第20話でした！

　それにしても、黒髪ロングにスケバンセーラー服の皐月には賛否両論のようですが、筆者は個人的に「ちょっと胴長短足過ぎやしないか」と思ったのでした。

　今回から次週予告はウェブ限定になりましたが、3月1日夜現在まだアップされておりません。こ、これは、まさか…と思うのは筆者だけではないようで、ウェブのみなさんも、あの、例の、終盤に来ての作画崩壊の再来を懸念されているようです。そこら辺もまた楽しみです。
（文／尾野スミ）