「ジャンプ」黄金世代の執念か!? ゲーム『魁!!男塾』発売に見る「ジャンプ」の“先祖返り”

2014.02.26

 最近、“女子力”などをはじめ、女性の話題ばかりが多く、めっきり男性が弱くなったなぁ、どこかに男の血がたぎるようなイベントやゲームがないかなぁと思っていたら、なんと明日、2月27日にPS3用ソフト『魁!!男塾~日本よ、これが男である!~』が発売になるではないか!

『魁!!男塾』(以下、『男塾』)は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1985年から91年にかけて連載されていた、宮下あきら氏による人気マンガ。作品の舞台は、不良少年たちをスパルタ教育で叩き直す「男塾」。そこで、10代に見えない屈強な少年たちがオリジナル拳法を駆使し、なんかすごいバトルを繰り広げるという内容で、その男臭さも相まって多くの少年読者たちに支持された。また、オリジナル拳法に説得力を持たせるため、架空の出版社「民明書房」の書籍から解説を引用する形を取った演出は、いまだにファンの間で語り草になっているほどである。

 それにしても、なぜ今『男塾』なのか? 連載も随分前に終わっているし、続編の『曉!!男塾 青年よ、大死を抱け』も10年に「スーパージャンプ」での連載を終了している。でも、そういえばゲームでいうと、2011年に『聖闘士星矢戦記』、昨年10月には『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』が発売されたり、今年3月19日には「ジャンプ」の歴代ヒーローたちが集結する『Jスターズ ビクトリーバーサス』が発売になるなど、「ジャンプ」黄金期を担ったマンガの関連作品は立て続けにリリースされている。

 それにアニメでは、『聖闘士星矢Ω』(テレビ朝日系)が放送中で、『ドラゴンボール改』(魔人ブウ編)も4月から放送開始となるなど、近年は「ジャンプ」系コンテンツの“先祖帰り”が進んでいるようにも思える。これは、一体なぜなのだろうか?

 まず考えられるのが、『男塾』や『聖闘士星矢』が連載されていた「ジャンプ」黄金期世代の読者が、今もゲームをプレイしている世代だということ。ちょうどファミコンが発売された時期に小学生だった今の30代中盤~40代が、その世代にあたる。

 また、一時期、CMソングにやたらTHE BLUE HEARTSの曲が使われていたように、その世代のメーカー側スタッフも、ちょうど社内でそれなりの立場となり、ある程度好きなことができるようになってくる。そこで、自分たちが思い入れのあるタイトルをチョイスできるようになったのではないだろうか?

『魁!!男塾~日本よ、これが男である!~』を見ていても、限定の超豪華版に同梱されているフィギュアはなぜか男爵ディーノだし、大豪院邪鬼は原作初登場時のデカイver.で登場するし、戦闘中のパワーゲージは「押忍シリンダー」に「璃輝度(リキッド)」が溜まる仕組みだし、ゲームシステムをいちいち「民明書房」が説明しているし……とにかく『男塾』愛の熱い作品に仕上がっている。これもきっと『男塾』の洗礼を受けた漢たちの手によるものに違いないと確信している。

 また『男塾』だけでなく、『聖闘士星矢 ブレイブ・ソルジャーズ』も『Jスターズ ビクトリーバーサス』も、メーカーはバンダイナムコゲームス。もともと合併前のバンダイは、『聖闘士星矢 黄金伝説』、『ファミコンジャンプ 英雄列伝』、『魁!!男塾 疾風一号生』、『ドラゴンボール 神龍の謎』といった、「ジャンプ」系の名作ゲームを手掛けてきたメーカーだ。

 もしかしたら、この“先祖返り”はこれらのファミコンソフトに影響されてバンダイ入りしたスタッフたちが、その想いを今になって作品として世に送り出せる立場となった結果なのかもしれない。だとしたら、なんたる執念か……。

 とにかく、やたらと「ジャンプ」マンガのゲーム化に力を入れているバンダイナムコゲームスの今後のタイトルに、個人的に注目していきたいと思う。
(文/高橋ダイスケ)

魁!!男塾~日本よ、これが男である!~
PS3用ソフト
メーカー:バンダイナムコゲームス
価格:通常版・ダウンロード通常版 7480円(共に税込)
   数量限定生産版 1万4980円(税込)

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