ジャレコのようになりませんように…名門ブランド・アトラスの社名復活にかかる期待

2014.02.25

「アトラスネット」より。

 名門ゲーム会社の名称復活を手放しで喜ぶことが出来るのか? 『女神転生』シリーズをはじめとする名作をリリースしてきたゲーム会社・アトラスの社名が4月から復活することが発表された。

 アトラスは2006年に、インデックス・ホールディングス社による株式公開買い付けを受け入れて子会社化。10年に吸収合併され会社名としては消滅した。ところが、昨年になりインデックス社が民事再生法の適用を申請。同社のゲーム事業やコンテンツ関連事業はセガが取得することとなった。その直後に開催された13年の東京ゲームショウでは、セガブースでさっそくアトラスのゲームグッズが販売されたことも話題となった(参照)。

 セガの発表によれば、4月1日付けで子会社となっているインデックスの社名をアトラスに変更する予定だ。

 長らく親しまれたアトラスの社名復活を喜ぶファンは多い。ただ、まだまだ手放しでは喜べない。果たして、同社のゲームが、かつてのようにファンを熱狂させてくれるかは未知数だからだ。

 ゲーム業界において、長年親しまれた社名が買収によってコロコロ変わった事例として知られるのはジャレコだ。

 ジャレコは、ファミコン時代には『燃えろ!!プロ野球』などの名作を次々とリリースした強力なゲーム会社であった。ところが、00年に同社は香港からやってきた外資系企業パシフィック・センチュリー・サイバーワークス (PCCW) に買収され、社名をパシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン株式会社(PCCW Japan)に変更することとなる。PCCWは、香港の大富豪・李嘉誠の次男・李沢楷が創立した会社で、00年当時は香港テレコムを買収したことで知られていた。同社がジャレコを買収した目的は、当時勃興しつつあったインターネットを利用したコンテンツ配信事業を行うため。そのため、ゲーム会社であったはずのジャレコは、社屋を六本木に移転して社内にスタジオが設けられることとなる。

 しかし、この事業は芳しくなく、その後05年にはイギリスの投資会社に買収されたり、オンライゲーム事業を始めたりと迷走が続いた。09年に全株式を1円で、オンラインゲームの運営を行うゲームヤロウ株式会社に売却し、現在はその子会社になっている。

 この間10年あまり、ゲーム会社にもかかわらず開発部門の大規模なリストラを行い、ジャレコ社内は大混乱。労働組合も結成され、東京ゲームショウの際には、会場前で彼ら労働組合が会社を批判するビラまきを行ってる光景も見られた。

 まさか、復活するアトラスにはこんな酷い事態は起こらないだろう。けれど、やはりゲーム会社は人気のコンテンツをリリースできてこそ成り立つもの。すでに人気シリーズ『ペルソナ』の最新作『ペルソナ5』などの製作が発表されているが、セガ傘下となっても変わらぬクオリティの作品をユーザーに提供できるのか? アトラスの今後に、注目が集まっている。
(文/緑林 学)

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