“人外ヒロイン”ブームはなぜ起こった? ブームを牽引する「COMICリュウ」副編集長が制作の舞台裏を語った

■恋の“障害”としてのモンスター娘

――ただ、『モンスター娘のいる日常』に関していえば、ケンタウロスなんかはともかく、蜘蛛をベースにしたアラクネのキャラクターなんかも出てきますよね。あの辺はなかなかハードルの高いキャラクターだなと思ったんですが……。

猪飼 まず大切なのは、オカヤド先生がこれを「かわいい」と思って描いていることですね。で、それを見た我々も、作家さんほどのフェティシズムを持っているわけではないかもしれないけれど、かわいいと思って見ているわけですね。本当に「イヤだ!」と思ったら編集者として通してないと思うんですけど、そう思ったことはないんですよね。ケモナー向けだからということではなく、普通のマンガの普通のヒロインとしてかわいいかどうかで考えて通しています。その結果、読者さんにも通用した、と。なので、作家さんご自身にはもちろんあると思いますが、僕のほうはとりわけフェティシズムの観点から考えているわけではないんですよね。

――確かに、僕も最初に思ったほど抵抗なく読めましたね。

猪飼 むしろ、『モンスター娘のいる日常』に関しては、「モンスター娘である」という設定が、ある種の不自由さとして機能しているのが大きいんじゃないかと思うんです。

――“不自由さ”とは?

猪飼 オカヤド先生が元々ネットで描いていた作品がまさにそうですが、要するにそのモンスター娘といかにエッチをするかということがテーマだったわけですね。構造的にどうやれば満足できるのか、お互いが通じ合えるのかという話ですね。普通の男女がやれば、ごく普通のことですが、そうじゃない部分がありますから。『モンスター娘のいる日常』ではエッチまでは描けませんが、本質的には共通する部分があると思うんですね。肉体的にも、精神的にもわかり合い、通じ合うための大きな障害があり、それを乗り越えて人と人が向き合い、つながっていく。それは、ある意味BLや百合がよく描いているテーマですが、モンスター娘というものを通して、そういうテーマがわかりやすく表現できている。

――なるほど、造形というより、コンプレックスや障害として機能していて、それが恋愛というテーマを鮮明にしていると。

猪飼 そうですね、コンプレックスというのも確かにある。「私、こんな体だけど、いいの?」みたいな。それを「かわいい」と言ってくれる、その奥にある内面をちゃんと見てくれる、みたいなところに惹かれるわけです。だから、王道のラブコメなんだと思います。

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