乙女が“処女”を連呼し、パンチラに興奮した時代…真にエロ過ぎる昭和エロ歌謡全集『ねえ興奮しちゃいやよ』

 私事だが、筆者はエロいCDが大好物である。微妙に髪の長いそに子みたいな表紙で話題となった『さあ、やってみよう~催眠オナニー入門~』(メディアックス)以来、その手のヤツはだいたい買っている。それに、エロいボイスドラマも大好きである。

 そんな筆者も驚く、新たなエロいCDが登場した。それが、『ねえ興奮しちゃいやよ ~昭和エロ歌謡全集~ 1928ー32』である。

 レーベルは、ぐらもくらぶ。数々のSP音源を復刻してきた保利透氏が主宰する、流行歌愛好者には知らない者はいないレーベルだ。これまでも『大名古屋軍歌』をはじめとして、独自のセンスで音源をセレクトしてきた保利氏。彼が、今回選んだのは“エロ”というわけである。

 それも単に“エロ”をキーワードにしただけではない。エロ・グロ・ナンセンスという言葉の下で、刹那的享楽が一大流行した昭和3年から昭和7年までにリリースされたレコードから厳選して収録されたものなのである。

 この後に続く暗い(とされる)時代に、日本人が目を背けがちなために、昭和初期の文化はあまり顧みられることはない。しかし、そこには大正ロマンとは、まったく異なる強烈な文化が存在した。

 そんな時代ゆえに、収録されている曲はタイトルからして目を見張るものがある。淡谷のり子の歌う「エロ行進曲」。川田定子の「尖端小唄」。藤田艶子「エロエロ行進曲」、二村定一「ほんに悩ましエロ模様」と、タイトルがすでにエロ、あるいはさまざまなものを妄想させるものばかりである。

 タイトルばかりじゃなく歌詞も、とんでもない。

~胸に合わせて ステップ踏めば
 触れる乳房に 血は血で踊る
(「ほんに悩ましエロ模様」)

~処女ですわ 
 わたし本当に 処女ですわ
(「アラ!失礼」)

~あれはパンツか そじゃないか
 エロ感娘のスカートよ
(「エロ小唄」)

 なんだ、このやりたい放題なのか投げやりなのか、ブッ飛んだ歌詞は! 会いたいのだか、会えないのだかよくわからん最近のJ-POPと比較すると、情熱的過ぎて鼻血が出そうになる。

 現在よりも性表現が厳しいとされる時代に、こんなに露骨な表現を実践する人々がいたことは、驚くよりほかない。どんな時代であっても、エロは不滅! そう強く感じさせる点にも、このCDの価値はある!
(文/昼間 たかし)

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