波平交代後の『サザエさん』が初放送 国民的アニメが抱える懸念とは…?

 1月に急逝した声優・永井一郎氏。逝去以来、話題になっていたのは、永井氏の代表的な役柄である『サザエさん』波平役の後任だった。これに選ばれたのが、声優の茶風林氏である。今月16日、茶風林氏が波平役を演じた『サザエさん』が、初めて放送された。ネットでは一部で「違和感がある」といった声もありながらも、「すぐに慣れそう」「最初だから変に感じるのは仕方ない」など、概ね好意的に受け止められているようだった。

 茶風林氏は、1961年生まれの52歳。『ちびまる子ちゃん』の永沢君、『名探偵コナン』での目暮警部役などで知られる人物である。まだ52歳だけに、波平の声はしばらく茶風林氏ということになりそうだ。しかし、『サザエさん』の声優交代について、懸念は尽きない。

 その理由は、『サザエさん』に出演するほかの声優の高齢化が進んでいるからである。『サザエさん』の放映開始は69年。主人公であるサザエの声は、放送開始以来、一貫して加藤みどり氏が演じている。また、タラオ役の貴家堂子氏、フネ役の麻生美代子氏も、同じく放送開始からのメンバーである。加藤氏は39年生まれの74歳。貴家氏は、41年生まれの73歳。麻生氏は26年生まれの87歳で、今なお現役を続行中だ。

 このように、『サザエさん』は長寿番組ゆえにレギュラーメンバーの高齢化が著しい。09年には、麻生氏が急病のため一回に限り代役で収録を行なったこともある。カツオやワカメについては、現時点で三代目の声優が務めている。これまで『サザエさん』は、声優が少しずつ交代していくという形で番組を継続してきた。今後も、番組が終わらない限り、聞き慣れた登場人物の声が変わる事態は避けられないだろう。視聴者としては、いつ突然声優が交代するのかと思うと心配が尽きない。

 長寿番組ゆえの悩みである、この“声優交代”を見事に解決したのが『ドラえもん』だ。『ドラえもん』は05年に、主要声優の一挙交代を実施。ドラえもんの声優は、長年親しまれた大山のぶ代氏から水田わさび氏へと交代した。もちろん、交代当時はさまざまな意見があった。やはり、“ドラえもん=大山のぶ代の声”というのは、現在の20代以上の世代にとって子ども時代から刻み込まれたもの。それゆえに、こうした世代の中では水田氏の声を「合わない」「違和感が強い」という意見も強かった。

 しかし、すでに交代から9年あまり。もはや、“ドラえもん=水田わさびの声”というのが世間には定着している。当然のことながら、最近の子どもたちの中では、むしろ大山の声に対して「昔のドラえもん」という見方が一般的となっている。

 このように『サザエさん』も、声優の一挙交代を行うのもひとつの手ではある。“サザエさん=加藤みどりの声”は定着しきっている。これが交代となれば、相当の違和感を与えることは間違いないだろう。ただ、永井氏のように突然の不幸などで、悲しまなければならない事態は避けたいもの。日本の国民的アニメたる『サザエさん』。45周年を迎えたという長き歴史ゆえに、こうした施策についても、一度真剣に検討すべき時期に来ているのかもしれない。
(文/隅田川留)

波平交代後の『サザエさん』が初放送 国民的アニメが抱える懸念とは…?のページです。おたぽるは、声優アニメ話題・騒動アイドル&声優の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!