『スペース☆ダンディ』は“日常系”の対極!? ポップコーン・ムービーとしての魅力

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『スペース☆ダンディ』
第6話 「パンツとチョッキの戦争じゃんよ」

1402_spacedandy6.jpg『スペース☆ダンディ』公式HPより。

【今週の極私的見どころ!】
 お掃除ロボのQT(CV:佐武宇綺[9nine])のドライな感じが可愛く思えてきました。特にダンディ(CV:諏訪部順一)のイカしたグッドポーズを無視するという、高度なスルーツッコミ……!

 また、作画の凄さに定評のある同作ですが、今回はなんと原画が2人のみ!! 『カイバ』や『四畳半神話大系』といった湯浅政明監督の作品で作画監督などを務めた三原三千夫さんと、『ハイスクールD×D NEW』で作画監督などを担当した田中宏紀さんです。田中さんは手振りの激しい乙女走りや自由自在のアングルなど、特徴的なぬるぬる作画に定評があります。特に今回、最後のサーフィンシーンは必見!

【今週のオススメ度】
★★★☆☆
(前回のあらすじはこちら)

 未登録宇宙人を探して辿り着いた惑星・エデン。この星は1万年も前から戦争が続き、渡航禁止となっているのでした。この惑星特有の間欠泉にアロハ・オエ号がやられ、QTが修理をする一方、ダンディとミャウ(CV:吉野裕行)はそれぞれ未登録宇宙人を探すことに。

 すると、お互いグロテスクな宇宙人に捕まってしまいます。ダンディが捕まったのは、パンツを履かない者を許さないパンツ星人(CV:宝亀克寿)で、ミャウを捕まえたのは、胸をあらわにしながらパンツを履く者を糾弾するチョッキ星人(CV:大川透)でした。なんでもこの“パンツ派”と“チョッキ派”で1万年もの間戦争を続けているとのことでした。しかも、長年の戦争で同胞はことごとく戦死し、お互い残るは一人のみ。決められた時間の中で、ドッグファイトを繰り広げ、なぜかダンデイとミャウも殴り合いの死闘を繰り広げます! この2人はバカなのか? いや、バカでした……。

 とにかく共に未登録宇宙人を見つけた2人。両者を宇宙人登録センターに連れて行くため、QTは「和平会談」を提案します。長き時間の中で、戦争の理由も形骸化していた宇宙人たちにもっと楽しく生きることを提案し、なんとか和解する方向へと導いていきます。それにしても、説得の際にダンディ×パンツ星人、ミャウ×チョッキ星人が怪しいムードを醸し出しているんですが……。これは薄い本が厚くなりますね!

 和平会談当日、これによりこの惑星での長き戦争は終わりを告げ、歴史的な終結を迎えることとなります。和平にあたって、お互いの最も大事なものを交換することに。パンツとチョッキを交換しようとする両宇宙人ですが、直前で交渉決裂! 血を血で洗う戦い(?)によって、2人とも命を落としてしまいます。死に様が結構グロい……。

 しかし、今わの際に両宇宙人はタダでは死ぬものかと惑星破壊ミサイルを発射! エデン崩壊の危機です。QTはアロハオエ号を緊急発進させ、避難。「あなたのことは忘れません。ご冥福と成仏を祈ります。アーメン、ナンマイダー」と、ダンディとミャウを置いてけぼりに……。と思いきや、ダンディの部屋でホコリをカブっていたサーフボードを投下! ダンディとミャウはシティ・ポップな曲をバックに星の海で華麗なチューブライドを魅せるのでした! 行こう、銀河の彼方へ……つづく!!



 あれ!? 終わり!? というのが、見終わっての率直な感想でした。前回の挿入歌「知りたい」に続き、「星屑のパイプライン」もすごく良い曲でしたが……。まるで楽曲のMVと化す演出に、新海誠監督の『秒速5センチメートル』を思い出してしまいました。また、ネットでは、空をサーフィンするというところから、同じくボンズ制作の『交響詩篇エウレカセブン』を連想する人も多かったようです。

『スペース☆ダンディ』は、キレイにまとまった脚本や細かに入るギャグ、超クオリティの作画など、すごく高水準のアニメなのですが、良い意味でも悪い意味でも「後に残らないお話」という印象。以前から「日曜夜にサクッと楽しめて良い」といった評価の声があるように、意図されたハイクオリティな“ポップコーン・ムービー”です。

 ただ、昨今の潮流として、キャラの魅力を十二分に引き出すための物語という“キャラ萌え”モノか、謎や伏線を散りばめては次週への引きを作るような造りの多いアニメ界。いわゆる“日常系”が一種のシットコム【編注:登場人物と舞台がほぼ固定で、主に一話完結型のコメディ】のようなものなので、その対義的なスラップスティックという意味で、『スペース☆ダンディ』は“日常系”の対極にあるといえるかもしれません。となると個人的に気になるのは、DVDやBlu-rayといったパッケージ売り上げなどの市場的な評価。『スペース☆ダンディ』が売れれば、アニメ業界でドタバタコメディの復権も考えられるかも?

 それと、ゴーゴル帝国の姿が全然見えないんですが……ゲル博士(CV:石塚運昇)はどこに行ったのでしょうか? 敵、味方入り乱れてのドタバタ劇も早く見たいです!
(文/中目黒日向子)

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