三角関係に悩んでみたいお前らに送る美少女ゲーム原作アニメ3選!

2014.02.11

「キミキス pure rouge」HPより

 バレンタインが近い。お前らの中には今年はチョコをもらえるのか? 本命のあの子は誰かにチョコをあげるのか? とこんな悩みを抱える始める人もいるはずだ。

 お前らだけではなく、ごくごく一般男性で恋人がいない人でも、そもそもチョコをもらえるかどうかソワソワしてものだ。しかし、中にはカチンとくる悩みを持つ者もいる。

 そう、イケメンだ。

 イケメンの中には複数の恋人を抱えているヤツがいる。そういうヤツの悩みはチョコをもらえるかどうかではない。2月14日を「どうやって乗り切るか」だ。恋人が複数いる場合、誰とどう過ごすかが問題になってくる。複数の恋人がいるとはいえ、本命とはその日に会っておきたい。だから他のキープたちは全員後日、もしくは14日に会うとはいえ少ししか時間を割かない……などなどイケメンたちによって作戦は様々。実際、最高7人の女性と同時に付き合っていたというツワモノに話を聞くと、

「バレンタインだけじゃないっすよ。クリスマスとか、そういうイベントの時はマジ大変。女ってああいうイベントごとが好きじゃないっすか。女をキープしておくにはそういったイベントごとを邪険にしないことっすね。だから男からすれば大変になるんだけどさ、場合によっては命がけになるから調整にはすっげー気を使うっす」(27歳 某IT会社 営業職)

と実に腹立たしいコメントを臆せずくれた。

 二次元の彼女たちとの生活に慣れてしまうと、次元を上げるのがかなり難しくなるので、いますぐ上記のようなヤツの真似するのは難しいことかもしれな。しかし複数の恋人がいなくても、誰を選べばいいのか分からない……なんて苦しみを味わってみたいものだ。

 だが、それは本当に簡単なことではない。だったら、やっぱりてっとり早く二次元の中で恋人を選ぶ苦労を味わおうじゃないか。二次元最高!

 ということで恋愛に苦しむアニメをチョイスしてみることにした。とはいえ、そんなアニメは無数にあるために、美少女ゲーム原作アニメで、三角関係もの、と勝手に縛りを入れてみる。美少女ゲーム原作で三角関係ものは総じてシナリオの完成度が高いものが多く、放送終了後も人気なものが多くDVD販売などが好調なものが多いからだ。

 観たことある人は久々に観直してイライラするものよし。観たことない人はぜひこの機会に観て悶絶してみよう!

●原作レイプでファンからは総スカン!? 最終話のドンデン返しに大ブーイング!? でも別モノと思えば完成度は高かった『キミキス ~pure rouge』

 

 

キミキス pure rouge DVD-BOX

 原作レイプという言葉があるが、『キミキス ~pure rouge』は原作を大きく改変したという意味ではまさに原作レイプだった。この作品はPlayStation2用美少女ゲーム『キミキス』を原作にしている。発売元は『アマガミ』や、最近では『フォトカノ』での記憶も新しいエンターブレインだ。原作は攻略ヒロインが複数いる典型的な美少女ゲームの形態を取っているが、『キミキス~pure rouge』は1本の純粋なラブストーリーの展開をした。あらすじを簡単に説明しよう。

 主人公“真田光一”は一年の頃からクラスメイトだった星乃結美に片思いしていた。互いに意識し合っているのだが、これまで接点など無くほとんど会話もなかった。そんなある日、光一の幼なじみで一つ年上の水澤摩央が、フランスから帰国子女として戻ってきて、真田家に居候することになった。同じ学校に転校した摩央は、隣の席の寡黙な甲斐栄二が、大学に行かずにサックス奏者になる夢を持っていることを知り、彼に興味を持つようになる。光一と摩央は家族同然で育ってきたものだから、お互い恋愛意識はないと思っていた。光一は結美と、摩央は甲斐と、それぞれの恋を進めていくのだが――。

 アニメ版のキミキスは誰かの攻略ルートをアニメ化したわけではなく、オリジナルストーリーの路線を取った。そのために設定の変更が余儀なくされている面があり、それが悪い方に捉えられて原作レイプとされる要因となってしまった。ではゲーム原作とアニメ版ではどこがどう違うのか簡単に挙げてみよう。

◆原作での主人公“相原光一”がなぜか“真田光一”として、名前の部分だけ踏襲したキャラに変更。そして原作主人公の名字であった“相原”は“相原一輝”として第二の主人公的に登場。

◆メインヒロインである“水澤摩央”がなぜかフランス帰りの帰国子女。“甲斐栄二”というアニメオリジナルキャラと恋仲になっていく。

◆メインヒロイン“二見瑛理子”が感情なさすぎ。サイボーグレベル。

 細かい部分を挙げればきりがないが、ざっと思いついたのはこの辺りだろうか。

 ファンにとっての最初の衝撃は、主人公がオリジナルキャラだった点だろう。なぜ名字と名前を分離させてしまったのか? アニメ版の場合、真田光一と水澤摩央、相原一輝と二見瑛理子の三角関係が主軸となり話が進む。便宜上、真田光一が主人公ではあるが、真田と相原のダブル主人公として制作側はとらえているようだ。だから原作主人公の“相原光一”の名前を分離させ、二人の全く新しいキャラを作り上げたのだろう。また、ヒロインたちの設定をアニメ用に改変したのも悪い方向へ捉えられてしまったようだ。人気キャラの設定変更は特にファンにとってはデリケートな問題なのだろう。アニメオリジナルキャラ“甲斐栄二”も原作ファンからすれば、「ポッと出のキャラが俺たちの大好きなキャラをかき乱すな!」というような思いからか、あまり好意的に受け入れられなかったようだ。

 しかし、これらの意見、視点は原作を基準にしているからであり、原作との差異を考えなければ『キミキス ~pure rouge』のシナリオ完成度は高いと思われる。物語はあくまでも高校生の日常生活から逸脱しない範囲で進み、なおかつ葛藤、人間関係、ドンデン返し、切なさ、悲しさ、楽しさ、等々ラブストーリーに必要な要素は全て詰め込まれた正統派だ。女性向け学園ラブストーリー漫画のような展開が繰り返される。いま思えば、アニメオリジナルキャラにしてクール&人づきあいが不器用のサックス奏者というてんこ盛り設定の甲斐栄二は、女性向け恋愛漫画にこそ相応しイケメンだった。

 全24話の2クールだったこともあり、場当たり的な展開はない。美少女ゲーム原作でありながら、いわゆる萌え要素も少なかった。水泳大会の回はあったものの、萌えアニメの定番的な水着回や入浴シーンなどもない。これらはシナリオで勝負しようとした結果だったのだろう。毎回エンディングへの入り方も絶妙だった。本編ラストとクロスしながらSnow*が歌う『願い星』、Suaraが歌う「忘れないで」が挿し込まれる瞬間に悶絶する視聴者は多かっただろう。

 原作ファンも一旦先入観をゼロにして観直してみてもらいたい。登場人物を『キミキス』から借りたオリジナルラブストーリーとして考えれば、十二分に楽しめる作品なのだ。ちなみに2011年にDVD BOXが発売された。比較的安価で手に入るので一気に観直したい人にはオススメだ。アニメ放映時から指摘の多かった作画の乱れなどはDVD BOXでも健在であったが、これは味ってことで。

●合言葉は「誠死ね」 最終回がまさかの放映自粛!世の浮気野郎どもを震え上がらせた『School Days』

 

 

School Days Blu-ray BOX

 さてお次は『School Days』を挙げておこう。Overflowを一気にメジャーブランドに押し上げた大ヒット18禁美少女ゲームが原作である。徹底的な鬱展開と度肝を抜く壮絶バッドエンディングが大ヒットの要因にあるが、アニメ版でもそれは貫かれた。何かと話題になった作品なので、知っている方も多いかと思うが、改めて簡単にあらすじを紹介しておこう。

 主人公“伊藤誠”は隣のクラスの“桂言葉”に想いをよせていた。誠は携帯電でできる「好きな人の写真を待ち受けにして3週間、誰にもバレなかったら恋が実る」というおまじないをする。そんな誠の待ち受け画面に映った言葉の写真を同じクラスで隣の席の“西園寺世界”に見られてしまう。開始たった1日でおまじないを台無しにしてしまったことお詫びにと、世界は誠と言葉の仲を応援したいと二人の間を取り持つと言い始める。その日から誠の運命が大きく動き始める――。

 厳密に言えば三角関係がいきすぎて、主人公“伊藤誠”のクズっぷりと、それによって壊れていくメインヒロイン二人の西園寺世界と桂言葉の様子を恐々と眺める作品だ。最終回へ近づくにつれ常軌を逸していく言葉の言動に恐怖を覚え、誠に殺意を覚えた視聴者は多いだろう。それほどシナリオは良くできていた。筆者はこの作品に、少し古い映画だが、サスペンス映画の傑作『危険な情事』を観たときと似たような感覚を覚えたものだ。悲恋、ホラー、サスペンス、これらのキーワードにグッときて、まだ観たことのない方はぜひオススメしたい。しかし、キャラデザがかわいさ、ロゴなどもスタイリッシュさでだまされ、軽い気持ちで鑑賞すると、相当痛い目に会う。まさに閲覧注意。筆者は昨年発売されたBlu-ray Box発売を機に観直したのだが、何度観ても陰鬱な気分になる。でもそれが『School Days』の魅力なのだ。「中に誰もいませんよ」と現実に言われないよう、伊藤誠予備軍の男性がいたら心して生活していただきたいものだ。

 現在『School Days』を生み出したOverflowは美少女ゲーム開発から距離を置いている。過去にぬまきち氏をインタビューした記事が掲載されたが(※参照記事)、それによると『School Days2』の構想などもあったようだ。ぜひとも復活を果たしてもらいたい。その時は「バルス」並みに「Nice boat」とツイッターに投稿する人が多いだろう。

●原作忠実度100%? 観ていられない…でも観ずにはいらいれない…冬に見るべき新世代の悲恋鬱アニメ『WHITE ALBUM2』

 

 

WHITE ALBUM2 Blu-ray第1巻

 本サイトでも原作とアニメ版でどこが違うか徹底検証した『WHITE ALBUM2』を最後に挙げておく。昨年末に放送が終了したばかりなので記憶に新しい人も多いだろうが、バレンタインとは切っても切り離せない作品だ。というのもメインヒロインの一人である小木曽雪菜の誕生日がバレンタインデーと同じなのだ。改めてあらすじを紹介しよう。

 高校三年の北原春希は学園生時代最後の思い出を作るため軽音楽同好会へ加入し、学園祭のバンド発表を成功させるため、学園のアイドル小木曽雪菜を勧誘することに成功する。さらに、ピアノの天才である冬馬かずさもメンバーに迎える。バラバラだった三人は練習に練習を重ね、お互いを理解しあった末に学園祭で大成功をおさめる。三人は友情として心の底から結び合えた…はずだった。しかし、この日から三人の関係は残酷な悲劇へ変化していってしまう――。

 90年代、まだ美少女ゲームの地位がいまほど高くない頃の傑作『WHITE ALBUM』の続編だ。しかし『WHITE ALBUM』と『WHITE ALBUM2』のストーリーのつながりはない。両作品が同一の世界の延長線にあるという設定だ。『WHITE ALBUM』もすばらしい作品であったが、演出がやや文学的で、難解な雰囲気があった。しかし『WHITE ALBUM2』はストレートな学園ものだ。入浴シーンやパンチラ、ブラチラなどのサービスショット満載なのはご愛嬌だが、肝心のシナリオは実に重厚で、話が進むにつれて笑顔を浮かべられなくなる。特に学園祭成功後からその様相は強くなり、明確な三角関係が出来あがってからは、観ているのが辛くなってきてしまうのと同時に主人公“北原春希”に対してのいら立ちが増していく。

 ただやっかいなのが、春希自身はものすごく真面目で、自分を犠牲にしてまでも大切な人を守ろうとする姿勢を貫くことだ。決して二兎を追うわけじゃない。揺れ動く心と現実の狭間で苦悩と葛藤を繰り返す。それがヒロイン二人を傷つけていく結果になるのだが、何かを守ろうとする姿は主人公らしいたくましさを持っている。春希にいら立ちを覚えれば覚えるほど、この作品を楽しんでいることになるのだ。

 先に挙げた『キミキス』『School Days』に共通することだが、『WHITE ALBUM2』も曲が素晴らしい。オープニングを飾る『届かない恋』(編注:厳密には『届かない恋’13』)はそれ単体でも、メロディー、歌詞ともすばらしいのだが、シナリオとも深く絡むというギミックもあり、物語とシンクロした瞬間は涙ものだ。アニメ放映が終わったばかりで、Blu-rayマラソンが始まったばかりだが、見逃した方はぜひ観ていただきたい。

 アニメ版は原作のintroductory chapterまでしか描かれなかったが、『WHITE ALBUM2』の本編はその後のclosing chapterだ。Blu-rayなどの売れ行きによってはclosing chapterのアニメ化も現実を帯びてくるかもしれない。アニメ版を観て「これで終わり? この後どうなるの?」と感じた方も多いことだろう。closing chapterがアニメ化されることを祈ろうじゃないか。

 ちなみにブランド元であるAQUAPLUSでは『WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー』応募者全員プレゼントWキャンペーンなるものを開催している。『WHITE ALBUM2 同好会ラジオCD』のシリーズを5枚購入か、昨年開かれた「WHITE ALBUM2 CONCERT」のBlu-rayと『WHITE ALBUM2 VOCAL COLLECTION』のCDを購入するともらえるらしい。もらえる条件のハードルが少々高い気がするが、応募者全員にプレゼントなら仕方がないかしれない。原作ファンならマストアイテムだ。まだまだ『WHITE ALBUM2』の冬は終わらない。
(文=Leoneko)

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