「表現の自由」を守ってくれる都知事は誕生しなそう? AFEEが都知事選候補者へのアンケート結果を公表

1401_tochiji_afee.jpg「AFEE」公式HPより。

 果たして都知事選は「表現の自由」にどのような影響を及ぼすのか? 都知事選において、争点のひとつである「表現の自由」に関して、山田太郎参議院議員が名誉顧問を務める「エンターテイメント表現の自由の会」(AFEE/坂井崇俊代表)が行った、都知事選候補者への青少年健全育成条例に関するアンケート結果が公表された。

 このアンケートは「表現の自由」をめぐる問題の中でも、2010年に騒動となった「東京都青少年の健全な育成に関する条例」に関する問題に質問を絞ったものだ。アンケートでは「本条例について、さらなる改正が必要と考えますか」「本条例の規制のありかたについてどのようなものが適当であると考えますか」「本条例により、創作/表現の自由が自主規制等により失われていると考えますか」「青少年の健全な育成と表現の自由の関係についてご自由にご記入ください」の4つの質問がなされた。

 まず、大手マスコミによって主要候補と目される4者の中で、回答があったのは、細川護煕候補と宇都宮健児候補の2人。舛添要一候補は多忙なため「アンケートへの回答が難しい」との回答。田母神俊雄候補からは、回答がなかった。

 細川候補と宇都宮候補が回答したのは、共に「青少年の健全な育成と表現の自由の関係についてご自由にご記入ください」のみ。細川候補は、ここに「就任後、検討します」と記す。対して、宇都宮候補は、この欄で長文を記す。

「<前略>現行の青少年健全育成条例そのものを見直し、真正面から子どもの権利保障を謳う「子どもの権利条例」を制定し、子どもの人権保障を全うするという視点で、インターネット利用の仕方や児童ポルノコミック等のあり方を考えるべきと考えます。その議論の中で、質問1~3に記載されているような具体的な規制や線引きのあり方が決めらていくものと考えています」(<前略>以下、原文ママ)

 一見「表現の自由」の問題への理解を示しているようだが、さまざまな疑問を感じる文章だ。「児童ポルノコミック」は、書き方の誤りだとして、注目したいのは「その議論の中で~」の部分。議論を行う中で線引きを示していくという態度であり、どうも歯切れが悪い。2012年の都知事選で「表現の自由都市」を公約のひとつに掲げた地点から、後退しているとも見て取れる。ここには、前回の都知事選との事情の違いがある。

 今回の選挙では、反・脱原発をめぐる候補者の一本化交渉をめぐり、前回、宇都宮候補支持を表明した著名人の多くが、細川候補支持へと移行した。それだけでなく、前回、宇都宮候補を支持した澤藤統一郎弁護士は、自身のブログで選対事務局の内情を暴露し、徹底批判を展開しているのだ。澤藤氏の主張によれば、社民・共産党が支援しているのに宇都宮候補の事務局には革マル派とおぼしき人物が存在するとし、カオスかキメラかという状況を伺わせた。

 田母神候補は無回答だが、主要4候補の中では、誰が当選しても「表現の自由」において、先にあるのは長い戦いのスタートだといえる。

 現在回答が戻ってきている中で、最も回答が濃いのは、家入一真候補だ。家入氏は「マンガを読んだり、夜ダンスを踊ったりすると犯罪が起きるというような考え方は間違っていると思います<後略>」と記しており、東京都において今起こっている問題への理解度は高いと推測される。

 投票日まであと10日を切り、選挙戦は舛添候補がリードする情勢。細川候補の脱原発は争点とならず、宇都宮候補は内部のゴタゴタが露呈してしまっている。このまま、投票日まで舛添が逃げ切るのか、あるいは田母神都知事の誕生もあり得るのか? それともほかの候補が台頭してくるのか? 都知事選の行方にさらに注目してきたい。

 なお、AFEEでは引き続き、ドクター・中松候補、マック赤坂候補、鈴木たつお候補にも同様の公開質問状を送付している。
(取材・文/昼間 たかし)

■AFEE:都知事選候補者からの青少年健全育成条例に関するアンケート結果
http://afee.jp/2014/01/29/432/

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