大規模事故の懸念も拭えず…コミケの企業ブースに東ホール移転の噂

1312_comiketsp.jpg写真はコミックマーケット84の様子。

 開催の度に、大混雑が必然となっているコミックマーケット。その中でも、近年あまりに参加者が押し寄せて混乱が絶えないのが、企業ブースだ。この問題を解消すべく、ついに企業ブースが東ホールへ移動するとの噂も関係者の間で出ているという。

 企業ブースは、コミックマーケットの会場が有明の東京ビッグサイトに移転したコミックマーケット51から本格的に開始されたもの。当初は、出版社などが在庫を廉価販売する場所という形での使用が多かった。その初期には、同人の場にそぐわないという批判も見られたが、やがて定着。出展社はコミケ限定商品を販売することが常態となり、企業ブースを目当てに来場する参加者も急増した。それと共に、企業ブースの行列は大きな問題となった。

 企業ブースが配置される東京ビッグサイトの西館4階は、極めて使い勝手の悪い場所である。本来、この階は多数の入場を想定しておらず、入場導線が少ないためだ。そのため、コミケが有明に移転した当初から、西館4階での同人サークルの配置は想定されていなかった。しかし、コミックマーケット準備会としても、東京ビッグサイトだけを借りないというワケにはいかず、使用料捻出のために企業ブースを設けたという経緯がある。

 つまり、本来は企業ブースにあまり入場者が群がるとは想定していなかったにもかかわらず、大勢の人が押し寄せるようになってしまったわけだ。現状、大混乱が起きずに維持出来ているのは、行列を想定した準備会の導線の設計と参加者のスキルに依るところが大きい。

 それでも、これまでにも会場のキャパシティを超過するような待機列ができてしまい混乱する事態は幾度となく発生している。準備会の努力と参加者の意識の高さゆえに、これまで混雑に起因する大規模な事故が起きていないコミケだが、企業ブースに関しては「いつ事故が起きてもおかしくはない」と考える関係者は多いという。

 この問題を、解決する手段として考えられるのは、企業ブースの移転である。具体的には、待機列を形成しやすい東ホールへ移転することも、いよいよ視野に入れなくてはならなくなっているのだ。当然、それに対応する形で、コミックマーケットに出展される一部のジャンルについては、現在の企業ブースの場所である西館4階へと移転することになる。企業ブース目当ての人にはうれしい話だが、逆に移転させられるジャンルのサークルにとっては、不人気扱いされている気分になってしまうのは否めない。

 ただ、これはあくまで過渡期的な措置に過ぎないであろう。2020年の東京オリンピックのため、東京ビッグサイトの拡張はほぼ確実な情勢になっている。そのため、オリンピック後は会場のキャパが大幅に拡大され、混雑を解消できると考えられる。

 コミックマーケットの参加者のスキルが低下しているといわれる昨今、事故を避けるためには、こうした手段も取らざるを得ないだろう。ただ、それ以上に気になるのは、東京オリンピックの際、コミックマーケットの幕張での開催が混乱しないかどうかだが……。今後の準備会の采配を注視していきたい。
(文/利根川流)

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