「エロ」「ソシャゲ」「作画」がキーワード!? 今期深夜アニメから読み解くアニメ界のトレンド

「エロ」「ソシャゲ」「作画」がキーワード!? 今期深夜アニメから読み解くアニメ界のトレンドの画像1『ウィザード・バリスターズ~弁魔士セシル』公式HPより。

「おたぽる」新春特別企画『新作深夜アニメ怒涛の第1話全レビュー!!』(参照)から約二週間――。1月も末となり、読者のみなさんも今期のアニメでお気に入りが定まってきた頃合いのはず。今回は前回のレビューを踏まえ、その後、筆者の気付いたいくつかのポイントを軸に追加レポートします!

■やっぱりムフフに期待したい! 今期注目のセクシーアニメは?


 深夜アニメといえば、やはりちょっとエッチな要素を期待してしまうのは人間の性。新作アニメで美少女が登場する作品は数あれど、男の子だったら、学園コメディ物の『中二病でも恋がしたい!戀 』『のうりん』『ディーふらぐ!』『ウィッチクラフトワークス』『生徒会役員共*』、正統派ラブコメ物の『いなり、こんこん、恋いろは。』『ニセコイ』『未確認で進行形』……といった健全な作品群とは一線を画す、煩悩直撃アグレッシブな作品に出会いたいもの。

 そうした希望に応えられるのは、以前の記事で紹介したように『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』『桜Trick』『GO!GO!575』『マケン姫っ!通』の4作品。原作がニトロプラスのマスコットキャラということで下馬評の高かった『そにアニ』は、その後もホノボノ日常系アニメ路線を貫いており、惜しくも下落扱いとなりました。さて4作品のその後の展開について、追加解説をしてみたいと思います。

 一番過激な描写でぐぐっと期待値をあげていた『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』ですが、ついにBPOの青少年委員会で審議入りとなる事態に(外部サイト参照)。『「22時台の中高生が視聴してもおかしくない時間帯で、女子高生が自慰行為をするなどの性表現のあるアニメが放送されている」などの視聴者意見が多数あった』との理由。

 文面だけ見ると視聴者的には大変結構なサービス番組に思えてしまいますが、これを受けて第5話からTOKYO MX及びサンテレビの放送時間と曜日が深夜帯へ変更に。MXは毎週火曜25時30分から、サンテレビは毎週土曜日26時からとなります(BS11は放送時間の変更はなし)。これによって関東地方では日本テレビの『HUNTER×HUNTER』、テレビ東京の『うーさーのその日暮らし 覚醒編』『ハマトラ』の裏番組となり、一気に火曜深夜がアニメ激戦区に。まぁ内容的に視聴者は被っていない気もしますが……。

 さて本編のお話。最新の4話ではもちろんエロ描写もありますが、兄妹の心の交錯を描いた意外とシリアスな展開で物語に引き込ませませ、なかなかの好印象。これは意外と純愛物へ化けるかも知れません。次回5話は水着回なのでここから視聴をスタートしてもいいかもですね。

 今回の騒動で「性表現のあるアニメ」としては太鼓判を押された形になるわけで、今後もスタッフにはより一層の発奮を願いたいものです。

 そして、TOKYO MX準拠では1月いっぱいの全4話で完結してしまうショートアニメ『GO!GO!575』。3話では主人公2人にメガネっ娘・与謝野柚子も加わってまさかの迫撃! トリプル入浴シーンが! ほかの登場人物は一切出てこない究極のセカイ系百合アニメと化しています。

 アニメ本編は終了してしまいますが、2月からは正岡小豆役の大坪由佳さんと小林抹茶役の大橋彩香さんお二方が鎌倉の名所をレポートする『とくばん!575』が同じ時間帯で放映。さらに3月からは『GO!GO!575』本編の再放送が行われるとのことでまだまだ楽しめますよ~。

『キミキス』……ではなかった、『キスダム』……でもなかった、百合カップルのめくるめくキスの世界を描く『桜Trick』。こちらは第3話になっても、相変わらず主役2人をいかなる状況でキスに持ち込むか? を主眼に構成されるため、シチュエーション変化のバリエーションで楽しめます。第3話では園田優の姉、生徒会長で眼鏡キャラの美月が登場。高山春香との仲を勘ぐられた優が真っ赤になって否定するなど、小ネタも良し。本作は30分2話構成なので、1クール作品でも20通り以上の百合キスといちゃいちゃシーンが楽しめる、大変コストパフォーマンスに優れたアニメではないでしょうか。

 さて前回のレビューでは、最後にやって来た大物として大プッシュした『マケン姫っ!通』なのですが、基本的にギャグ半分の作風なので、エロティックな実利を求める向きにはやや辛いかもしれません。とはいうものの、第2話も基本はやりたい放題の御意見無用状態。地上波で風呂場でのソープモドキプレイは大丈夫なんでしょうか? 女生徒キャラのうち今のところ主人公タケルにぞっこん状態なのは2人ですが、この先の流れではおそらく4人にまで増えハーレム状態になるはずで、そこも期待できそうです。

 こうした作品はエッチ描写・シリアス描写・ギャグ描写の配分に失敗すると一気に失速するので、金子ひらく監督には現在のバランス感覚を保って最後まで完走していただきたいと切に願います。しかしボンテージの縛り責めプレイが毎週あるのは、やはり監督の趣味なんでしょうかね……?

■さらに深まるソーシャルゲームと新作アニメの蜜月時代?


 先日、本サイト「おたぽる」でも記事にしたソーシャルゲームとアニメの親和性の問題(参照)。実は今期の新作では、放映開始と同時にソーシャルゲームのリリースが番組内CMで告知される作品が、かなり多いように感じました。

 例えば『ニセコイ』はKONAMIから『ニセコイ マジコレ!?』として、『バディ・コンプレックス』はバンダイナムコゲームスから『バディ・コンプレックス 戦場のカップリング』として、『Wake Up, Girls! 』はgloopsから『Wake Up, Girls! ステージの天使』として、『銀の匙 Silver Spoon』はカヤックから『ポケット酪農2~大蝦夷農業高校銀匙購買部~』として、『スペース☆ダンディ』はバンダイナムコゲームスから懐かしのアーケードゲーム『ギャラガ』とコラボした『スペース☆ギャラガ』としてリリースされています(一部、リリース予定)。ほかにも現在準備中との噂がある作品も……。

 昨年後半では『ワルキューレロマンツェ』や『WHITE ALBUM2』『ダンガンロンパ』『BLAZBLUE ALTER MEMORY』など、それなりにゲームを原作とする作品が放映されていたのですが、今年に入ってからは『みんな集まれ!ファルコム学園』と『GO!GO!575』程度。テレビゲーム原作のアニメが連発されていた90年代からするとウソのようですが、土日の朝や平日夕方に放送されるキッズ向けアニメはともかく、主たる視聴者が高校・大学生から20代の若者に集中している深夜アニメは、ソーシャルゲームの狙うターゲットと丸被りしており、この傾向はますます強まりそうな気配。

 すでに春から放映予定の『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』をモチーフにしたバンダイナムコゲームスの『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ』や、モバゲー発のアニメ『神撃のバハムート GENESIS』など、着々と来期以降の“アニメ×ソシャゲー”に関するニュースも届いています。

 視聴者の側からすれば面白い作品が見られるに越したことはないのですが、かつて初代Xboxでいきなりアニメ『ゼーガペイン』のゲームがリリースされたような剛気な時代を思い出すと、ちょっぴし寂しい気分になりますね。

■アニメの原点・作画アクション重視の作品が増加?


 今期は梅津泰臣監督による鳴り物入りの『ウィザード・バリスターズ~弁魔士セシル』はもとより、『ノラガミ』や『スペース☆ダンディ』など、劇中のアクションやバトルシーンに作画枚数を多く取り、見せ場にしている作風の作品が多く感じます。

『ノラガミ』は1回完結の話の中で、メインのストーリーとギャグ、後半のCGと手描き作画のマッチングした大バトルで、クライマックスへとバランスよく進む構成が大変見やすい印象。

『スペース☆ダンディ』は激しく動く回・ストーリーメインで動かない回を交互に配置してメリハリをつけている感じで、制作サイドの工夫が見受けられます。以上の共に2作品はボンズ制作で、「シュアで安定した作品創り」というブランドイメージ通りの仕上りと感じました。

 さて本命の『ウィザード・バリスターズ~弁魔士セシル』は、3話を過ぎてもバリバリ動きまくり。使い魔・ナナジーニィと主人公・セシルの微エロ描写もあったりと、全方向へ目配せをしている感がありますね。制作会社のアームスは、アダルト作品を制作するためにスタジオ旗艦(現・ぴえろプラス)から分社化してスタートした会社ですが、近年は深夜枠の“肌色多め作品”中心にシフト。そうした中でも今作はクリエーター主導の制作体制を敷き、手描き作画も3DCGも相当なクオリティアップを図っているように見受けられます。シナリオ面がいまだ迷走気味なのがなんとも残念な感じですが……。

 そんな中、ひたすら女性キャラの巨乳が上下左右にはじけ飛ぶ作画に集中する『マケン姫っ!通』も、もちろん視聴者へ向けて最大限の努力を惜しまない作品といえるでしょう。

 ともあれ、早くも制作の遅れから放送休止がささやかれる作品もある中で、鑑賞に耐えうるクオリティのアニメを作るには、潤沢な資金と制作期間が必要という基本中の基本が再確認された冬の新作群でありました。



 以上、今期深夜アニメ全作品の視聴を続けた筆者なりの発見を、3つの切り口に分けてレポートしてみました。「おたぽる」読者の皆さんも日々のアニメを漫然と消化するだけでなく、自分なりのテーマを持って角度を変えた視点からアニメを視聴すると新しい発見があると思いますよ!

 それでは、引き続き楽しいアニオタライフを!!
(文/出口ナオト)

■2014年1月期新作アニメ全1話レビュー“深夜アニメ 闇夜の千本ノック”一覧
【5日(日)放送開始の深夜アニメ】はこちら
【4日(土)、6日(月)放送開始の深夜アニメ】はこちら
【7日(火)、8日(水)放送開始の深夜アニメ】はこちら
【9日(木)放送開始の深夜アニメ】はこちら
【10日(金)放送開始の深夜アニメ】はこちら
【11日(土)放送開始の深夜アニメ】はこちら
【12日(日)、15日(水)放送開始の深夜アニメ】はこちら

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