アニメ界で花盛りのクラウドファンディングだが、失敗例も…プロジェクトの成否を分けるのは?

1401_kibounoki.jpg「希望の木製作準備委員会」公式HPより。

「CAMPFIRE」や「KickStarter」など……一般から資金を公募するクラウドファンディングが、世に定着しつつある。昨年は、色々と話題の多かったアニメ界隈でも、クラウドファンディングにおいて成果を感じさせる年でもあった。

 すでに完成してパッケージが発売されている作品では、湯浅政明監督の短編アニメ『キックハート』、目標額を大幅に上回り今後の完成が期待される作品では、吉成曜監督の短編アニメ『リトルウィッチアカデミア2(仮)』がある。このほか、吉浦康裕監督の長編アニメ『イヴの時間』の字幕翻訳や、東北応援キャラクター『東北ずん子』のボーカロイド化にも、多くの支援額が集まった。

 しかし、こうした成功例が見られるようにはなってきているものの、希望額に到達させるのが容易でない状況に変わりはない。その中には山本二三さんが企画した長編アニメ『希望の木』も含まれている。

 山本さんは『天空の城 ラピュタ』『火垂るの墓』『もののけ姫』といったスタジオジブリ作品などで美術監督を務めてきた絵師である。「山本二三展」が全国巡回中でもあるので、知っている人も多いだろう。

 この『希望の木』は東日本大震災の復興支援として、作家の新井満さんが著した同名小説をアニメ化するプロジェクトである。小説では岩手県陸前高田市にて、あの“奇跡の一本松”を軸に話が語られている。山本さんはこれを原作に、脚本や絵コンテなどで準備を進めていた。

 本作のクラウドファンディングで支援の対象としていたのは、まずはその脚本、絵コンテ、そしてパイロットフィルムについてであった。予定していたパイロットフィルムの尺がどのくらいであったのか定かではないが、4カ月余りで4715万円の設定は、かなりハードルが高かったように思われる。

 一口にクラウドファンディングサイトと言っても、各サイトで登録しているユーザーの数や層はさまざまである。そのため、成功するには協力を呼びかけている発起人とユーザーがうまくマッチングする必要もあるはずだ。上記の『キックハート』や『リトルウィッチアカデミア2(仮)』では、海外人気の高いアニメ監督の新作に対し、米国大手のクラウドファンディングサイト「KickStarter」を利用したということも、資金調達が成立した大きな要因であったに違いない。

 もちろん日本語人口よりも英語人口のほうが多いというのも、間口を広げる決め手にはなる。惜しくも満額に至らなかったプロジェクトでも、別のサイトでは達成した例もあるため、再チャレンジをしてみるに越したことはない。山本さんの取り組みがこのまま陽の目を見ないのはあまりにも惜しい。次なる展開を期待したいところだ。
(文/真狩祐志)

■『希望の木』公式サイト
http://kibounoki.com/

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