『鬼灯の冷徹』の攻めたパロネタに期待！新作深夜アニメ怒涛の第1話全レビュー!!【10日金曜編】

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　大好評！　2014年放映開始のアニメ1話を総レビューしてオススメ作品をコンセルジュする「深夜アニメ　闇夜の千本ノック」!!　今回は 10日金曜編をお送りします！ 　※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

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【10日（金）放送開始の深夜アニメ】

■『のうりん』
第1話「厨脳ラブストーリー」

『のうりん』公式サイトより。

　GA文庫刊、白鳥士郎原作のライトノベルを大沼心監督とアニメーション制作SILVER LINK.によってテレビアニメ化。「のうりん」の略称で呼ばれる岐阜県立田茂農林高等学校。そこに通う畑耕作は、クラスメイトの過真鳥継・中沢農・良田胡蝶ら2年A組の仲良しグループともに愉快な日々を過ごしていた。が、大ファンのアイドル・草壁ゆかの引退報道を聞き大ショック。しかし時を同じくして草壁ゆかにそっくりの転校生・木下林檎がのうりんにやって来たのだった。

　期せずして『銀の匙』同様、実在する農林高校をモデルにしている本作。ですが、こちらはドタバタ学園恋愛コメディの趣であって、農業専門知識の勉強になる様子はない模様。GA文庫からアニメ化される作品は『這いよれ! ニャル子さん』にせよ『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』にせよ、ほぼ必ず漫画・アニメ・特撮・ゲームなどからのパロディを積極的に取り入れる傾向があるのですが、本作もかなりのやりたい放題な印象。アバンタイトルからして　田村ゆかりさん演じるアイドル草壁ゆかのライブシーンから始まって王国民大勝利！　な感じ（しかし会場のステージのCGはかなりよく出来ていたと思います）。MCトークもかなりそれっぽいセリフ回しでした。

　ほかにも他アニメネタと思しきギャグがチラホラと。担任のアラフォーの戸次菜摘（べっき なつみ、愛称はベッキー）先生に『ぱにぽにだっしゅ！』の斎藤千和さんをキャスティングするあたりは確信犯でしょう。しかしながら、舞台となる美濃加茂市は市を挙げて『のうりん』をバックアップする姿勢をしてしています。アニメ化する以前から地元鉄道で原作ラノベとタイアップするポスターを作ったり、昨年には「宇宙最速上映会in岐阜」と銘打った地元先行上映会も行っています。聖地巡礼による地元の観光効果を期待しているようですが、ハイテンションギャグと深夜アニメらしいエロ描写も多々見られるこの作品。鬼が出るか蛇が出るか？

　余談ですが岐阜県はなぜかアニメ作品の舞台に設定される事が多いようで、本作をはじめ、『ひぐらしのなく頃に』シリーズ、『氷菓』、『星空へ架かる橋』　『僕は友達が少ない』シリーズ、『恋愛ラボ』、先日アニメ化が発表されたばかりの『僕らはみんな河合荘』……などが岐阜県内各地の市町村をがモデルとされているようです。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『バカとテストと召喚獣』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』

■『Wake Up, Girls! 』
第1話「静かなる始動」

『Wake Up, Girls!』公式サイトより。

　原案・監督を山本寛、Green Leaves原作のオリジナルストーリーをOrdetとタツノコプロによってアニメ化。『時はアイドル戦国時代。これは、この荒波を生き抜く7人の少女達「Wake Up, Girls！」の物語である』

　いろいろな意味で放映前から注目を浴びていたヤマカンこと山本寛監督が地方アイドルグループの活動をテーマに送るオリジナル新作テレビアニメ。映画とテレビとの同時公開が話題を呼びましたが、実際は劇場版はテレビの前日譚。見ていないと話がわからないというほどではありませんが、映画はクリスマスまでの出来事、1話はお正月からスタートするので、知識として頭に入っているに越したことはない感じ。実はOPの歌のバックの映像が劇場版のざっくりした短縮版あらすじになっています。

　ネタバレにこだわらない方は本サイトの記事（参照）を読むのもいいかもしれません。

　さて筆者は映画版も見ておらす、予備知識ほとんどなしでの状態で1話を見たのですが、なんとも説明不足かつ彩りに欠ける感じだなあ、という印象を受けました。シリアスな作風に合わせたリアル志向のキャラデザも、別に萌えを強調した青髪ピンク髪デカ目のマンガキャラにせいやぁ！　とは申しませんが、もう少し似顔絵的というか、各キャラの違いがわかるポイントがほしい気がしました。ただでさえ初見の視聴者には誰が誰だかわからない状態ですし……。

『冬の仙台』が舞台ということで、背景も曇りや雪景色が多く地味で寒々しい。町中の通行人も誰も居ないのはなぜなんだろう……。

　いろいろと評判になったライブのダンスのシーンは、3Dかモーションキャプチャだと思ったので手描きのアニメートだと知って脱帽しました。今、これだけの細かい動きを付けられるアニメーターさんを連れて来られたのは、まじめに評価に値すると思います。よく見ると一人ひとりのダンスが微妙にタイミングがずれてるんですよ。ただ雪の降る真冬の12月の仙台で、ミニスカートの下が生パン一丁のガッツある女子高生はさすがにいないんじゃないでしょうか？

　ストーリーの基本は「夢だったアイドルをやめざるを得ないドン底の悔しさ」から這い上がりグループ活動を再開して人気を得るまでを描く、という一般人にもわかりやすいスポ根的王道青春モノだと思うので、1話のツカミの力不足はなんとも残念というか。見続けないと良さがわかってこないアニメだと思うので、今週以降も（特に一般層に）話題となってほしいと感じました。

　あと放送の合間で流される「アニメディア」のCMは、なんかホノボノとしてしまう出来ですね。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『アイドル伝説えり子』『LEMON ANGEL PROJECT』

■『鬼灯の冷徹』
第1話「地獄大一番／地獄不思議発見」

『鬼灯の冷徹』公式サイトより。

　講談社刊「モーニング」連載の江口夏実の原作マンガを鏑木ひろ監督とWIT STUDIOによってアニメ化。人口爆発や悪霊の凶暴化により、地獄は人材不足による大混乱に陥っていた。そんな中、閻魔大王に代わってさまざまな問題の後始末を影で行っているのは、第一補佐官・鬼灯。ドSで冷徹な鬼灯のもとには、今日も面倒な厄介事の仕事が回されてくるのだ。

　舞台は地獄、主人公は鬼、ということで妖怪物やホラーアニメかと思いきや、毒舌主人公がブツクサ悪態を付きながら淡々とオフビートな調子で地獄の職務をこなすコミカルアニメ。地獄の仕事もサラリーマン的に描かれているし、むしろ毛色の変わったギョーカイ物の趣も。

『聖☆おにいさん』とか、派手なアクションを抜いてあっさりさせた『銀魂』とかの味わいでしょうか。オープニングが始まるやいなや稲川淳二のナレーションで笑いを取りに来るところもあざとい演出。しっかり笑ってしまいましたが。オープニング自体も八大地獄を数え唄にした不謹慎上等！　なノリの良い曲。テレビ番組や芸能人、某バンクの白いお父さんなどなどをネタにした際どいチキンレース系ギャグ連発も『銀魂』を思わせます。

　しかし最もヤバイギャグはエンディングでしょう。某ラック方面のお偉いさん作曲による、有名テレビ番組テーマ曲をモロにパロった一曲。この先、怒鳴り込まれて差し替えになるか、ならないかを期待してしまいます。

　今期の中では人を選ぶ感じがあるものの、手の込んだ背景とCGのマッチングや声優さんのキャストの妙など、全体的に原作のキモを上手に押さえてアニメ化した良作だと思います。基本、女性ファンに向けた作風だと思うのですが、シニカルなひねくれギャグが好きな男性にもオススメ。筆者もいつ地雷を踏んで謝罪テロップが出るかを楽しみに、視聴を続けようと思いました。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『地獄少女』シリーズ『働きマン』

　今回はここまで！　次回は11日（土）の周回遅れで始まった新番をレビューします！
（文／出口ナオト）

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