“アニメ戦国曜日”はどれを見る?新作深夜アニメ怒涛の第1話全レビュー!!【9日木曜編】

 大大好評! 2014年放映開始のアニメ1話を総レビューしてオススメ作品をコンセルジュする「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」!! 今回はもう大変な怒涛の本数が押し寄せる9日木曜編をお送りします! ※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

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【9日(木)放送開始の深夜アニメ】

■『未確認で進行形』
第1話「何事も最初が肝心です」

1401_1_review_unknown.jpg『未確認で進行形』公式サイトより。

「まんが4コマぱれっと」連載の荒井チェリーの4コマを原作に藤原佳幸監督、アニメーション制作・動画工房でアニメ化。女子高生・夜ノ森小紅は16歳の誕生日に自分の許婚と呼ばれる無口な若者・三峰白夜とその妹・真白に出会い、同居することに。小紅の姉・紅緒が加わり、奇妙な共同生活が始まるのだった。

 今期の中ではまったり日常系に属する作品か。一日の終りにのんびりと視聴してそのまま眠るにはちょうどいい作風なのですが、TOKYO MXでの放映時間は22時台なのでリアルタイムで試聴するとちょっと時間が早いかもしれません。

 シリーズ構成と脚本を担当するのが『AIR』『Kanon』『CLANNAD』といった一連のKey作品のアニメに携わった志茂文彦さんなので、女の子の細やかな感情を描く展開に期待できそう。藤原佳幸監督は、アニメーター出身で3、4年前まで原画メインで活動されていた方で『みなみけ』作画監督や『ゆるゆり』原画などを担当。テン年代に入ってからは作画と演出、双方の活動を始め『GJ部』で初監督に。今回の抜擢はまさに適材といえるのでは? とはいえ、激しいアクションやドラマチックな展開のある内容ではないので、こういう作風に合わない人には30分が退屈に感じるだろうと思われます。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『のんのんびより』『きんいろモザイク』



■『銀の匙 Silver Spoon(第2期) 』 
第1話「八軒、副部長になる」

1401_1_review_silver.jpg『銀の匙 Silver Spoon』公式サイトより。

「週刊少年サンデー」連載の荒川弘の原作マンガを、出合小都美監督とA-1 Picturesによってアニメ化。13年7月から放映された1期からの続編となる。不本意ながらも大蝦夷農業高等学校(略称エゾノー)に入学した八軒勇吾は、進学校出身であるコンプレックスや他の生徒の目指す将来の夢とのギャップに悩みながらも全寮制のエゾノーで高校生活を送る。やがて友人たちとの交流を通じて、徐々に八軒も変わりはじめてゆく。

 1期で監督・音響監督を務めた伊藤智彦氏に変わり、副監督だった出合小都美氏が監督昇格となった第2シーズン。夏休みが明けた所からストーリーが始まる。なんというか、フジの『ノイタミナ』枠が開始された時に謳われていた「OLが深夜帰宅して一息ついてテレビを付けた時に見たくなるような深夜アニメ」のコンセプトに回帰したような作品。フジファブリックによるオープニング曲もシャレオツ感倍増。ただ原作マンガに何も足さず何も引かず忠実に映像化してゆく作風ともいえるので、マンガを越える感銘が生まれるかどうか? がポイントでしょうか。この進み方だとエゾノー祭あたりがクライマックスになりそうですが……。それとやはり週刊少年誌に連載のマンガ原作なので、ゴールデンタイムでも放送でよかったのでは。

 一期から引き続き、本編終了後に聖地巡礼を禁じる様なテロップが流れたが、実在の農業高校の全面協力の下に取材をしているのでこれはやむを得ない処置と思われます。我慢我慢。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『もやしもん』『ゴールデンタイム』



■『ストレンジ・プラス』 
第1話「THIEF」

1401_1_review_strange.jpg『ストレンジ・プラス』公式サイトより。

「COMIC ZERO-SUM」連載の美川べるの原作マンガを脚本・演出も手がける西川貴史監督と株式会社セブンによってアニメ化。荒れた町に事務所を構える美国探偵事務所。ここに所属する探偵エージェント恒・巧美兄弟、正宗、美羽のドタバタアクションを描く。

 5分アニメとあなどるなかれ、声優キャストが関智一・福山潤・置鮎龍太郎・雪野五月などなど異様に豪華! これは以前発売されたドラマCDのキャストを踏襲しているため。監督の西川貴史氏はスタジオワンパック出身のアニメーターで(現在はスタジオセブン所属)、最近では18禁アニメのキャラデザ・作監も数多く手がけています。脚本・演出も兼ねるクレジットからすると、原作マンガから直接コンテを起こしているのでしょうか…?

 基本、内輪ウケ悪ふざけ感ビンビンの仕上りではありますが、この癖のあるノリが合えば初心者にもじゅうぶん笑える作品だと思います。たとえば青髪美少女かと思いきや、ショタ女装しているキャラクター(28歳)だったり、やたら「尻!尻!」と連呼して実際画面にも謎アイテム・オシリ(アダルトグッズ?)があふれたり… 普通のエロ目当ての男性アニメファンにはお勧めできないですが、その壁を乗り越えられれば、ズッコケ下ネタギャグアニメとして結構楽しめる(はず)。

 本作のお尻へのこだわりは、「COMIC ZERO-SUM」100号記念として【ストレンジ・プラス 巧美”しり”マウスパッド】として一迅社オフィシャルで商品化もされていることからも明らか(現在は販売終了)。興味のある人は検索してみましょう。

 エンドカードはゴージャスに峰倉かずや先生が担当。掲載誌「COMIC ZERO-SUM」繋がりの縁で高山しのぶ先生や高河ゆん先生も描くかも? 描かないかも。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『ヴァイスクロイツ』『けんぷファー』



■『GO!GO!575』 
第1話「この街全部、抱きしめて。」

1401_1_review_575.jpg『GO!GO!575』公式サイトより。

 セガのゲーム『うた詠み575』を原作に安斎剛文監督と制作会社レイデュース、C2Cによってアニメ化。女子高校生の正岡小豆と小林抹茶は平凡な日常から抜け出すために、日々の出来事や感動を575形式にして歌うという変わった活動をはじめる。それに興味を持った同級生の与謝野柚子も加わって…?

 ノーマークでいきなり飛び出した百合アニメのダークホース! 女の子2人がイチャイチャくっつきながら会話してるだけ、最後はともに入浴シーンも!(修正アリ)短い尺の中で百合好き要素をググッと濃い口に抽出したエスプレッソ的アニメとして大傑作じゃないでしょうか。なぜ川柳を読まなくてはいけないのかは全然理解できませんでしたが。

 アニメーションキャラクターデザインと作画監督を務める佐古宗一郎さんは『鋼の錬金術師』シリーズなどに参加している実力派で、今作では『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』のかんざきひろさんが手がけるキャラデザをアニメに落としこんでいます。『俺妹』ファンもこれならOKのはず。しかしPSVitaとiOS用アプリとしてリリースされる肝心のゲームのほうは、サンプル動画を見てもよくわからない。音ゲーなのか文字遊びなのか……。

 このアニメ化をきっかけに『GO!GO!575』はさまざまな展開・関連商品が控えているようで、特にゲームの提供楽曲にはボカロ関係者が多数参加しておりなかなか期待できそうですが(参照)、アニメは全4話なので1月中に放映が終わってしまうため、劇中で全然流れない可能性大。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『ゆるゆり』シリーズ、『パラッパラッパー』



■『魔法戦争』 
第1話「真夏の魔法少女」

1401_1_review_magicwar.jpg『魔法戦争』公式サイトより。

 MF文庫J刊行、スズキヒサシ原作のライトノベルを佐藤雄三監督とマッドハウスによってアニメ化。高校生・七瀬武は学校内で見覚えのない制服の少女が倒れているのに遭遇する。その少女・相羽六は崩壊世界から逃げ延びてきた魔法使いだった。彼女の力を受け自らも魔法使いになってしまった武は、同じく魔法使いの力に目覚めた友人たちと共に戦いの中へ身を投じるのだった。

「魔法」と称されているけれども実際はいわゆる能力者バトルジャンルに属する本作。主人公が身につけた最上級の魔法が攻撃系ではなく回避魔法・直感回避(ストライクヴィジョン)というあたりが目新しいかもしれないです。有名な「当たらなければどうということはない」ってやつですね。

 原作は、ライトノベルのメイン読者層へ向けた、いかにもド直球的作品なので、アニメ版でも今後「そうそう、これこれ!」的な設定・キャラ配置・ストーリー展開・決めゼリフが続出する予感がします。が、それを恥ずかしがらずに受け止めるピュアなでっかい中二病感性の持ち主なら存分に楽しめる一作なのではないでしょうか。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『灼眼のシャナ』シリーズ、『緋弾のアリア』



■『Z/X IGNITION』
第1話「PHASE1」

1401_1_review_zx.jpg『Z/X IGNITION』公式サイトより。

 ブロッコリーと日本一ソフトウェアによるトレーディングカードゲームを、原作に山口祐司監督とテレコム・アニメーションフィルムによってアニメ化。異次元扉から現れる謎の存在・ゼクスと人類との戦闘が始まって数年後。神戸に突如、謎の軍が出現し無差別攻撃を開始。高校生の天王寺飛鳥は謎の少女から受け取ったカードデバイスの力によって否応なくゼクスとの戦いに巻き込まれていくのだった。

 トレーディングカードゲームの世界観をベースにオリジナルストーリーを展開する本作。先行して2年ほど前から「Vジャンプ」誌上でもマンガ版が連載されているがそれとも異なるストーリーのようです。骨子は契約者がモンスターを召喚・使役して戦わせるおなじみのフォーマットなので、要は物語に則してバトル描写がどれだけ面白いかにかかってくるのですが、残念ながら相当とっちらかった印象。個人的には『キスダム』のカオスな冒頭の展開を思い出しました。

 敵・味方入り乱れて相当数のキャラクターが出て来ますが声優キャストは相当豪華な印象。こちらを目当てに視聴するのも当然アリだと思います。

 すでに発売済のカードゲームやPS3版ゲームに加え、オンラインゲームやフィギュアの発売などマルチな展開が発表されている本作ですが、販促アニメに徹するなら商品が欲しくなるキッズ層が見ることが出来る朝や夕方の時間帯に放映しないとあまり意味無いような気が……。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『アクエリアンエイジ Sign for Evolution』『ファンタジスタドール』



■『桜Trick』 
第1話「桜色のはじまり/やきそばとベランダと女の子」

1401_1_review_sakura_trick.jpg『桜Trick』公式サイトより。

「まんがタイムきららミラク」掲載の原作・タチの4コママンガを、石倉賢一監督とスタジオディーン制作によってアニメ化。美里西高校に入学した高山春香と園田優は大の親友同士。春香は自分だけが優の「特別」な友達でありたいと願っていた。2人の絆を確かめ合うために優が提案した特別なこと、それは女同士2人でキスすることだった……。

 ガチ百合アニメとして前評判の高かった本作。共学校のはずなのに男子生徒は背景扱いの作画だったり、主人公2人と親友だけの世界であることが強調される演出。ところが最大の売り? であるキスシーンは、尺も長めでわりと生生しい描写。全体がふんわかムードの空気系なノリで進んで来ていたのに、そこだけガチンコになったような違和感が。これはけっこう評価が分かれるポイントかなと感じました。さりげに乳揺れ作画も多いし、18禁作品のような性描写はこの作品にはそぐわないような気がします。もうちょっと女性視聴者も納得できるような「同性に恋してしまった女の子の切ない恋心」を匂わせるべきではないかと……。

 石倉賢一監督は『ひだまりスケッチ×☆☆☆』『まりあ†ほりっく あらいぶ』『D.C.III~ダ・カーポIII~』など美少女アニメを数多く手がけておられる方なので、そのあたりのさじ加減がわからない人ではないと思うのですが。初回なのでサービス過剰に暴走してしまったのでしょうか?

 一方でキャラデザイン・総作画監督の坂井久太さんは女の子大好き・アイドル大好きで知られる女性アニメーターなのでドンピシャ適任という印象。最近では『ローゼンメイデン(新)』や『さんかれあ』のキャラデザと総作画監督、『STEINS;GATE』のキャラデザ・総作画監督をテレビ版・劇場版共に務めた才人。直近では今作と平行して『そにアニ』1話原画もやられていたようで驚きです。あの『NEEDLESS』の百合全開なエンディングも担当されたと知れば、思わず膝を打つコアなマニアもいるのではないでしょうか。

 ともあれスタッフのチョイスはベストなセレクトと思われる本作、今後の成り行きを暖かく見守っていきたい印象です。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『ゆるゆり』シリーズ、『おにいさまへ…』



■『pupa』
第1話「羽化」

1401_1_review_pupa.jpg『pupa』公式サイトより。

「月刊コミックアース・スター」連載、茂木清香の原作マンガを望月智充監督とスタジオディーン制作によってアニメ化。長谷川現と夢の兄妹は、家庭内暴力から互いを守り信頼しあって生活していたが、あるきっかけから謎のウィルスpupaに感染した夢は異形の怪物と姿を変えた。妹を守るため、現は残酷な選択を自らに課すことを決意する。

 このところ躍進目覚ましいアース・スター・エンターテイメントが送るホラーテイストのアニメ。CMの「コミックス累計50万部突破!」の文言が誇らしくも目に眩しいですね。

 さてこの『pupa』、10月期の放映が予定されていたはずが延期され、これまた突然5分枠で放映開始された模様。何やらきな臭い事情を背後に感じすにはおられません。そんなこんなで舞台背景も人物関係も説明されぬまま、唐突に始まった本編は、仲良し兄妹が一緒に帰ろうと公園で待ち合わせしてたら『俺の妹がこんな化け物のわけがない。』状態に! つづく! といったブツ切り状態の内容。どう考えても本来の放映形態ではない感じなので、一本の作品として鑑賞したい人は3月末発売のソフト化を待ったほうが賢明かもしれません。グロテスク描写も黒いフィルターで制限掛かっていますし。

 望月智充監督は30年以上のキャリアを誇るベテランで、魔法少女ものや『ヤミと帽子と本の旅人』『桃華月憚』『ローゼンメイデン(新)』などの美少女アニメの中に、時折ギラリと光るダークな演出を差し込む通好みの作風で評価の高い方。人間ではなくなった兄妹の哀しい宿命を描く本作にはなかなかの適役に思えますが、むしろ直裁的なグロテスク全開路線で行くのなら、かつて『ジェノサイバー 虚界の魔獣』『聖獣機サイガード』などの超絶バイオレンスOVAで日本と世界のアニメファンのド肝を抜いた大畑晃一監督にお任せするのが正解ではないかと感じました。

【こんな作品のファンにもオススメ】
『エルフェンリート』『なるたる』

 やっと半分まで来た本レビュー、次は“あの”『Wake Up, Girls! 』(週間レビューはこちら)を含む10日金曜編です! お楽しみに!!
(文/出口ナオト)

■2014年1月期新作アニメ全1話レビュー“深夜アニメ 闇夜の千本ノック”一覧
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