島田 実はね、今は安定しているけれど、リリースから半年くらいまで、ものすごくグラグラするときがあった。それはどういうときかっていうと……「Dモーニング」では、リリースからずっと毎週「Dモーニングオリジナル」と銘打って、過去のものを復刻させたりとか、毎号いろんなことをやり続けていたんですね。でも、安定してきたからといって、毎週淡々と――悪くいえばルーティン的に出し始めると、もう途端にグラグラしだすわけ。わかりやすいのは、夏休みとかお正月に、合併号という形で雑誌が1週休むでしょう? どこの雑誌でもそうですけど、合併号で休むと、次の号は数パーセント部数が落ちるんです。そういうセオリーが雑誌には必ずある。その数パーセントがその頃の「Dモーニング」の規模だと、極端なダメージなんだよ。1週間空いたら、読者は冷たいんだなって(笑)。
――へー! 一週間空いただけでユーザーが離れてしまう、と。
島田 やっぱり「Dモーニング」は“雑誌”なんですね。アプリになろうが、定額になろうが、あくまで“雑誌”。雑誌の命は何かといったら、まずは毎週面白いこと。とにかくいつも新しいものに挑戦していって、毎号それを続けていかないと、すぐに飽きられちゃうんだなっていうのがよくわかった。「Dモーニング」は雑誌の基本に立ち返らせてくれた感じですね。それで始めたのが、「REGALO(レガロ)」という毎週読み切りで新作をずっと載せ続けるって企画。極論ですが、一番の理想は毎週新連載が始まることなんですよ。
――面白いですね、僕は逆だと思っていたんです。月額課金だから忘れて、延々と課金し続ける人がいるだろうと。でも、実際はそんなシビアなんですね。
吉村 ガラケー時代のように、(更新の)プッシュ通知とかをしなければ、休眠会員もいるかもしれないですけど、そもそもの狙いが「休眠会員がいないものにしたい」なので。もうイヤっていうほどプッシュされるわけですよ。
――確かに、更新をプッシュ通知されるから、会員になっていることを忘れないですよね。
島田 「Dモーニング」を無料でDLしてくれた方は、まず先週号を一冊丸ごと試し読みできるんですが、そこから有料会員に移行する割合がすごく高いんですよね。
――リリース当初、有料会員への移行率が14%とおっしゃってましたけど、今でもかなり高い数字を保っているんですね。
吉村 変わってないですね。
島田 とんでもなく高くて、それに今は解約する人の率も極度に少ない。しかも、有料会員のほとんどがアクティブユーザーなんです。会員になったけど見ていないって人の割合が、すごく低い。これだけの方が毎週欠かさず読んでくださってるのって驚異的ですよ。それが一番うれしいな。
後編では、「Dモーニング」配信の舞台裏と、「Dモーニング」が持つ“雑誌”としての哲学を直撃!
【後編へ続く】(1月10日公開予定)
(取材・構成/小林聖)
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■小林 聖
フリーライター。マンガ専門サイト「nelja」編集長。年間のマンガ購入量はだいたい1000冊ほど。専門はラブコメ・恋愛マンガ全般。ツイッターアカウントは@frog88。
【マンガライター・小林聖が行く! ウェブ×マンガの現場 バックナンバー】
・第1回 「となりのヤングジャンプ」(集英社)【前編】【後編】
有料マンガ雑誌「Dモーニング」の実情を編集長らが激白!「人件費を抜けば回収できてます(笑)」のページです。おたぽるは、人気連載、漫画、マンガ&ラノベ、連載、講談社、ウェブ×マンガの現場、Dモーニング、モーニング、島田英二郎、インタビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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