【新春コラム】元日は“初夢マンガ”を読んで幸せになろう!!

 ……さてと、と私は一息つく。こうなれば、当然第3位は茄子が出てくるマンガだ。それさえ見つかれば、「なんか年始に良さそうな縁起のいいマンガを紹介する記事をくださいよ」とか、あまりにノーアイディアな編集のごり押しで書かされているこの原稿ともお別れだ。僕は清々しい気持ちでタバコに火を付けながら茄子が出てくるマンガについて思いをめぐらせ始めた。

 茄子が出てくるマンガなんて、別に珍しいものではない。たとえば、黒田硫黄の『茄子』(講談社)。茄子をモチーフにしたオムニバスシリーズで、収録作「アンダルシアの夏」は映画化もされている。当然茄子は出てくるが、ドラマ自体は自転車レースを中心に展開されていくという、なかなか異色の作品で、黒田硫黄らしい独特の読後感が楽しめる。まさに傑作で、お正月に読むにももってこいだ。

 また、名作品集『棒がいっぽん』(マガジンハウス)に収録されている、高野文子の「奥村さんのお茄子」。「25年前のある日の昼に茄子を食べたかどうか」という質問から進んでいく奇想天外な物語は、予想外に次ぐ予想外で読者を引き込んでいく。この作品をじっくり読み解いていくなんてお正月もいいだろう。

 パッと思いつくだけでもこれだけあるのだから、楽勝だ。早速、「(この原稿を書いている2013年の)年末は何日まで仕事してますか?」と聞いたら「31日ですよ……!!!」と血走った目で答えてくれた担当編集に電話をする。黒田硫黄でどうだろう。

 しばらく僕の話を聞いていた担当編集は、こう答えた。

「小林さんはそれでいいんですか?」

 意味がわからない。いいのかもクソもない。そもそも「年始だから富士山、鷹、茄子の出てくるマンガを紹介する」という記事自体がどうしようもないのだから。

「もっとあるはずです。あるでしょう? 茄子が主人公のマンガとか」

 ダメだ。担当がおかしくなった。前々からおかしいとは思っていたけれど、年末の忙しさでとうとう本格的に理性を失っている。茄子が主人公のマンガってどういうことだ。そんなの、本当にあるかわからないし、あっても手に入るかどうか怪しい。

「探すべきです。マンガの可能性はこんなもんじゃないはずです。探さねばなりません」

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